一般電役(いっぱんでんやく)とは、風俗営業法で定められた「ぱちんこ遊技機の型式試験」における遊技機区分のひとつで、デジパチ・羽根物・権利物のいずれにも属さず、且つ、電動式の役物(通称:電役)を搭載した機種全般のことを示す。

経緯 編集

1985年に施行された新風俗営業法に基づいて新たに定められたものだが、それ以前の各都道府県ごとに定められた遊技機規則においては、電動式役物(以下、「電役」と略す)を有するものは「電役機」あるいは「特殊電役機」、一方で電役を有さないものは「普通機」として分類されていた。

1985年以降は保安電子通信技術協会(通称:保通協)が一括して遊技機の型式試験を行う形となり、それまでの「電役機」あるいは「特殊電役機」といった区分は「デジパチ」「羽根物」「権利物」「一般電役」として細分化された。

電役の特徴 編集

電気の力を利用して作動するものだが、その特性や使用目的は種々多様である。

1.電動チューリップ

ソレノイド(電磁石)によって開閉動作を行う方式のチューリップで、従来の機械式チューリップとは異なり、開放中は一度に複数の玉を受け入れることができる。

2.大入賞口

一般に「アタッカー」と呼ばれるものだが、その形状や構造は様々でソレノイドやモーターの動力によって動作する。使用目的の違いから、チューリップとは大別される。

3.回転体

モーターの動力によって回転動作を行うもの。入賞球を誘導するもの、玉の軌道に変化を与えるもの、視覚効果を高めるもの、など目的は様々である。

4.貯留装置

入賞球を振り分ける目的とした役物に広く採用されており、玉の動きを留める効果として用いられている。

変遷 編集

1970年代以降、ゲーム性を高める目的として各メーカーから登場。

1970年代後半、インベーダーブームの影響を受け、より複雑な動作をするものが登場。

1980年代前半、デジパチ登場により、大量の出玉を獲得できる機種が各メーカーから登場。

1980年代中半、主に一発台としての営業に特化したものが普及し、一般台としてのゲーム性を主体にした電役機は次第に下火となる。

1980年代後半、主に一発台の認可が下りない地域では、その代用となる機種が登場。

1990年代前半、新要件化に伴い、ポスト一発台としてのゲーム性を持つ機種が登場。


以降、デジタル動作によって大当たり抽選を行う物が主流となり、大量出玉獲得を目的としたゲーム性に画一化される。

狭義 編集

狭義の一般電役は、一般電動役物のみを搭載する機種のことである。通常のデジパチでの一般電動役物は、電チューを開閉するための役割に使われるが、狭義の一般電役では(確率変動がないため)最大4個までの一般電動役物を搭載できる。

そのうち1個の役物を、デジタル抽選やVゾーン入賞などで抽選し、それが当選すれば役物が開放し、入賞した球で次の役物の抽選を行う。それら一般電動役物の連動によって出玉を得る仕組みである。

なお、かつては一発台のように1回の大当たりで4,000個以上の出玉を得ることも釘調整によっては可能であった。この時期の代表機種としては、1991年に発売された『フルーツパンチ』(大一商会)がある。デジタルの大当たりに連チャン性もあり、多くのホールに設置されていた。その後、遊技機規則の改正にともない、発売される機種は1回の大当たりの出玉が最大でもデジパチなみに抑えられることになった。連チャン性もなくなり、ノーマル並みの大当り確率となった。改正後の主な機種としては、『ナナシー』シリーズ(豊丸産業)や『オークス2』(三星)などがある。

広義 編集

2004年の新基準導入にともない、従来の機種種別が廃止されたことにより、狭義の一般電役に特別電動役物(一般的なデジパチの抽選システム)を併用する機種が登場した。

狭義の項目で説明した要件でいうと、2番目の役物が特別電動役物になり、この役物が高確率状態にある間、1番目の役物が高確率で当選する(いわゆる連チャン状態)。このシステムは特別電動役物がある点で狭義の一般電役とは異なるが、見た目の形状が同じなので「一般電役タイプ」と呼ばれる。

主な機種に、『CR奇跡の電役キャプテンロバート』(豊丸産業)・『CR42.195キロ』(奥村遊機)などがある。