不動王生霊返し(ふどうおういきりょうがえし)は土佐国に伝わってきた陰陽道いざなぎ流の呪詛返し。

概要 編集

現代に伝わる呪詛返しでは最も有名なものの一つ。不動明王に祈念して、呪縛をかけられた際の防御を目的とする護身の呪文である。大日如来の五字真言(おん・あ・び・ら・うん・けん・そわか)も含まれる。

全文 編集

もえんふどうみょうおう(不動明王)、かえんふどうおう(火炎不動王)、なみきりふどうおう(波切不動王)、おおやまふどうおう(大山不動王)、こんがらふどうおう(吟伽羅不動王)、きちじょうみょうふどうおう(吉祥妙不動王)、てんじくふどうおう(天竺不動王)、てんじくさかやまふどうおう(天竺逆山不動王)。

かやし(逆し)におこなうぞ。かやし(逆し)におこない(行い)おろせば(下ろせば)、むこう(向こう)はちばな(血花)にさかす(咲かす)ぞ。みじん(味塵)とやぶれ(破れ)や、そわか。

もえゆけ、たえ(絶え)ゆけ、かれ(枯れ)ゆけ。いきりょう(生霊)、いぬがみ(狗神)、さるがみ(猿神)、すいかん(水官)、ながなわ(長縄)、とぶひ(飛火)、へんび(変火)。

そのみ(身)のむなもと(胸元)、しほう(四方)さんざら、みじん(味塵)とみだれ(乱れ)や、そわか。

むこう(向こう)はしるまい(知るまい)。こちらはしりとる(知り取る)。むこうはあおち(青血)、くろち(黒血)、あかち(赤血)、しんち(真血)をはけ(吐け)。あわ(泡)をはけ(吐け)。

そくざ(即座)みじん(味塵)に、まらべや。てんじく(天竺)ななだんこく(七段国)へおこなえば(行えば)、ななつ(七つ)のいし(石)をあつめて(集めて)、ななつ(七つ)のはか(墓)をつき、 ななつ(七つ)のいし(石)のそとば(外羽)をたて(建て)、ななつ(七つ)のいし(石)のじょうかぎ(錠鍵)おろして、みじん(味塵)、すいぞん、おん・あ・び・ら・うん・けん・そわかとおこなう。

うちしき(打ち式)、かやししき(返し式)、まかだんごく、けいたんこく(計反国)と、ななつ(七つ)のじごく(地獄)へうち(打ち)おとす(落とす)。

おん・あ・び・ら・うん・けん・そわか。