世界チェス選手権(せかいチェスせんしゅけん、World Chess Championships)は、チェスにおける世界最高プレーヤーを決めるトーナメントである。

現世界選手権者丁立人

方式 編集

現行の大会は2年周期で開催されている。出場する選手は現世界選手権者と、1.FIDE主催の主要大会の決勝進出者 2. FIDE世界ランキングの上位者 3. 主催者推薦選手からなる挑戦者候補8名である。挑戦者候補8名が2回戦総当りのラウンドロビン方式トーナメントを戦い、成績最優秀者が現世界選手権者と選手権試合を行う。

選手権試合は連続する19日間で途中に5回の休養日を挟みながら1日に1試合が行われ、最大14試合を戦う短期集中開催である。持ち時間は40ムーブ(先手後手が各40手指了まで。以下同様)まで120分、40ムーブ終了後に各自60分追加される。61ムーブからは20ムーブごとに各自15分追加され、さらに1ムーブごとに30秒が加算されるフィッシャークロックルールとなる。対局に勝利すれば勝ち点1、引き分けの場合は両対局者が勝ち点0.5点を得、対局者の一方が勝ち点7.5点以上を得た時点で選手権の決着となり、勝者が新たな世界選手権者となる。

第14戦を終了して7対7の引き分けとなったときは、翌日にタイブレークを行う。タイブレークはまず最大4試合の早指し戦で争われる。持ち時間は初手から各25分に1手10秒加算のフィッシャークロックルールで行われ、先に勝ち点2.5点以上を獲得した者が選手権者となる。この早指し戦が2対2の引き分けとなったときは、さらに2試合を1セットとした超早指し戦を、サドンデス形式で最大5セット行って勝者を決する。持ち時間は各5分に1手3秒が加算されるフィッシャークロックルールであり、1セットで勝ち点1.5点以上を得た者が出た場合そこで決着とし、セットの勝者が選手権者となる。この超早指し戦も5セット連続で1対1の引き分けとなった場合は、1試合限りのハルマゲドンマッチを行い、勝者が選手権者となる。この対局の持ち時間は先手5分後手4分(60ムーブ終了後1手ごとに3秒加算)と先手有利の条件だが、代わりにこの対局では引き分けを後手の勝利として取り扱い、後手番の不利を埋め合わせている。

歴史 編集

それまでの世界チェス選手権は非公認大会であったが、公式の世界選手権は1886年からであった。しかしFIDEPCAとの対立で分裂。1993年から13年間、別々の世界選手権が開催されたが、現在は1つに統一されている。

歴代チェスチャンピオン 編集

公式チャンピオン (1886–1993) 編集

# 名前 年齢
1 ヴィルヘルム・シュタイニッツ 1886–1894   オーストリア=ハンガリー帝国 (ボヘミア)
  アメリカ
50–58
2 エマーヌエール・ラスカー 1894–1921  ドイツ帝国
  ドイツ
26–52
3 ホセ・ラウル・カパブランカ 1921–1927   キューバ 33–39
4 アレクサンドル・アレヒン 1927–1935
1937–1946
  フランス
  ソビエト連邦
35–43
45–54
5 マックス・エーワ 1935–1937   オランダ 34–36
6 ミハイル・ボトヴィニク 1948–1957
1958–1960
1961–1963
  ソビエト連邦 (RSFSR) 37–46
47–49
50–52
7 ワシリー・スミスロフ 1957–1958   ソビエト連邦 (RSFSR) 36
8 ミハイル・タリ 1960–1961   ソビエト連邦 (ラトビアSSR) 24
9 チグラン・ペトロシアン 1963–1969   ソビエト連邦 (アルメニアSSR) 34–40
10 ボリス・スパスキー 1969–1972   ソビエト連邦 (RSFSR) 32–35
11 ボビー・フィッシャー 1972–1975   アメリカ 29–32
12 アナトリー・カルポフ 1975–1985   ソビエト連邦 (RSFSR) 24–34
13 ガルリ・カスパロフ 1985–1993   ソビエト連邦 (アゼルバイジャンSSR)
  ロシア
22–30

統一チャンピオン (2006–現在) 編集

# 名前 年齢
14 ウラジーミル・クラムニク 2006–2007   ロシア 31–32
15 ビスワナサン・アナンド 2007–2013   インド 38–43
16 マグヌス・カールセン 2013–2023   ノルウェー 22–32
17 丁立人 2023–現在   中国 30-

関連項目 編集