中島郡

日本の尾張国にあった郡

中島郡(なかしまのこおり)は尾張国にあった。本項では美濃国中島郡を分割する前の歴史について述べる。

歴史 編集

古代 編集

中嶋郡とも書かれた。郡名は古代の地形にちなむ。

太神宮諸雑事記第一;垂仁天皇寿百卌に、次尾張国中嶋郡一宿御坐、国造進中嶋神戸、と記載され、尾張国造により、中嶋郡が中嶋神戸として、伊勢神宮領として寄進された。

927年成立の延喜式には中嶋(なかしま)郡との記載がみられる[1]

編集

938年頃に成立した和名類聚抄に「中嶋郡」の郷として掲載されているのは以下の通り[2]。ただし読みが特定できるものについては括弧内に記載した。

  • 美和(みわ)
  • 神戸(かんべ)
  • 拜師(はやし)
  • 小塞(おせき)
  • 三宅(みやけ)
  • 茜部(あかなべ)
  • 石作(いしつくり)
  • 日野[注釈 1]
  • 川埼(かわさき)

式内社 編集

延喜式神名帳に記される郡内の式内社

神名帳 比定社 集成
社名 読み 付記 社名 所在地 備考
尾張国中島郡 3座(大) 27座(小)
坂手神社 サカテノ (論)坂手神社 愛知県一宮市佐千原
(論)日吉社 愛知県稲沢市坂田町中畦
見努神社 ミヌノ
大神神社
(大神社)
オホムワノ 名神大 大神神社 愛知県一宮市花池 [1]
波蘇伎神社 ハソキノ
針熊神社 ハリクマノ
野見神社 ノミノ (論)野見神社 愛知県一宮市今伊勢町宮後
(論)浅井神社 愛知県稲沢市浅井町
浅井神社 アサヰノ 浅井神社 愛知県稲沢市浅井町
裳咋神社 モクヒノ
太神社
(太神神社)
オホムワノ 名神大 大神社 愛知県一宮市大和町於保 [2]
知除波夜神社 チチハヤノ
小塞神社 ヲセキノ (参)小塞神社 愛知県一宮市浅井町尾関
石刀神社 イハトノ (論)石刀神社 愛知県一宮市今伊勢町馬寄
(論)石刀神社 愛知県一宮市浅井町黒岩
(論)八剱神社 岐阜県羽島市桑原町八神
室原神社 ムロハラノ
高田波蘇伎神社 タカタハソキノ 高田波蘇伎神社 愛知県一宮市高田
大口神社 オホクチノ
売夫神社 ヒメフノ
真墨田神社 マスミタノ 名神大 真清田神社 愛知県一宮市真清田 尾張国一宮 [3]
川曲神社 カワノ 川曲神社 愛知県稲沢市子生和町北屋敷
酒見神社 サカミノ 酒見神社 愛知県一宮市今伊勢町本神戸
浅井神社 アサヰノ
久多神社 クタノ
堤治神社 ツツミハリノ
石作神社 イシツクリノ
千野神社 チノノ
塩江神社 シホエノ
布智神社 フチノ
宗形神社 ムナカタノ 宗形神社 愛知県稲沢市国府宮 尾張大国霊神社別宮
尾張大国霊神社 -オホクニタマノ 尾張大国霊神社 愛知県稲沢市国府宮 尾張国総社
大御霊神社 オホミタマノ 大御霊神社 愛知県稲沢市国府宮 尾張大国霊神社別宮
鞆江神社 トモエノ
凡例を表示

中世以降 編集

1586年天正14年)の木曽川の大洪水により、美濃国との境に流れていた木曽川が郡内のほぼ中央を流れるようになった。このため、豊臣秀吉の命により、1589年(天正17年)に新しい木曽川を尾張国美濃国の境とし、2国にまたがる郡となった。

郡区町村編制法の施行により、明治11年(1878年12月20日に尾張国に属する区域に愛知県中島郡、明治12年(1879年2月18日に美濃国に属する区域に岐阜県中島郡がそれぞれ行政区画として発足した。

関連項目 編集

先代
-----
行政区の変遷
- 1589年
次代
中島郡尾張国
中島郡美濃国

脚注 編集

出典 編集

  1. ^ 延喜式 : 校訂. 下巻 国立国会図書館デジタルコレクション”. 2020年11月2日閲覧。巻二十二 民部式 上 29ページ
  2. ^ 倭名類聚鈔 20巻3 国立国会図書館デジタルコレクション”. 2020年11月2日閲覧。43ページ

注釈 編集

  1. ^ 「日部(くさかべ)」との表記もみられる。