中川 雅之(なかがわ まさゆき、1963年1月31日 - )は、石川県出身の現調教師、元騎手地方金沢所属)。

中川雅之
基本情報
国籍 日本の旗 日本
出身地 石川県
生年月日 (1963-01-31) 1963年1月31日(61歳)
騎手情報
所属団体 石川県競馬事業局
勝負服 胴赤、そで黄
初免許年 1983年
免許区分 平地
騎手引退日 2012年
通算勝利 15,995戦2,743勝(地方)
15戦0勝(中央)
経歴
所属 石川県競馬事業局
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金沢の元調教師・中川一男は実父。

愛称「マーチャン[1]

経歴 編集

小学生の時は片道1時間程を徒歩で通学し[2]、基礎体力を養った。子供の頃から馬術を習いながら父の厩舎を少し手伝っていたが、高校2年時に父から「お前将来どうするんや」と言われて騎手を目指す[3]。卒業後に1年浪人してから地方競馬教養センター短期講習を受講[3]し、1983年に免許を取得。

父の厩舎から1983年4月16日にデビューし、同日の金沢第2競走・タマペール(5着)で初騎乗を果たすと、同25日の第1競走・エスエムシンセツで初勝利を挙げる。1986年に自身初のリーディングジョッキーに輝くと、1990年1996年2004年2005年にも獲得[4]

1991年には増沢末夫小島貞博楠孝志吉沢宗一菅谷正巳を抑えて中央競馬騎手招待を制し、1996年には石崎隆之船橋)・井上俊彦北海道)・吉田稔愛知)・小牧太兵庫)・菅原勲岩手)、1997年には鮫島克也佐賀)・川原正一笠松)・森川一二三新潟)・嬉勝則福山)・内田利雄宇都宮)を抑えてオールジャパンリーディングジョッキー連覇を達成。

1998年にはアラブのアイカンセンプーで黒百合賞・農協牛乳杯・中京スポーツ賞を制したほか、アラブグランプリ・北國アラブチャンピオン2着となる[5]2000年にはトラベラーで北國王冠中日杯を制し、ダートグレード競走にも積極的に参戦して、日本テレビ盃東海菊花賞3着と活躍[5]

2003年1月7日の金沢第1競走3歳では父の管理するバーニングスマイルで勝利し、金沢所属(当時)として3人目、現役(当時)としては山中利夫に次ぐ地方通算2000勝を達成[1]。常にリーディング上位争いを演じる頼れるベテランとして関係者からの信頼も厚く、同年6月にはアラブスプリントカップをサクセスフレンドで人気に応えて逃げ切り快勝すると、7月の日本海ダービーではマジックワルツで好位から叩き合いを制し勝利を収めた[1]。サクセスフレンドでは2001年に北國アラブチャンピオンを制したほか、石川テレビ杯、アラブ大賞典も制す[5]

2004年10月名古屋で行われた金沢・笠松・愛知・兵庫のリーディング上位騎手による個人・団体戦「名古屋ジョッキーグランプリ」において優勝し、地元では重賞制覇こそ無かったものの97勝をあげ、1996年以来8年ぶり4度目のリーディングジョッキーとなった[6]

2005年にはセンパツトモで園田クイーンセレクションを3番手追走から向こう正面で捲くりを決め、直線では2着に7馬身差を付ける独走で圧勝した[7]

2006年はチヨノドラゴンで名古屋東海クイーンカップを道中好位追走から差し切り勝ちすると[8]、地元のサラブレッド大賞典では好位追走から2周目3コーナーで先頭に立って後続を突き放して圧勝し[9]、笠松の白銀争覇も制して東海地区では2戦2勝[10]とした。中日杯ではタフネスゴールドで2番手追走から早めに先頭に立つと、直線も後続を突き放し快勝[11]

2007年にはリュウヨウを移籍後3連勝での読売レディス杯制覇[12]に導き、北國王冠ではマヤノオスカーでスタートから先頭に立ち、3コーナーあたりから後続を引き離して大差で勝利した[13]

2008年にはノーブルシーズで北日本新聞杯MRO金賞サラブレッド大賞典を制し、1996年のプライムキング以来12年ぶり2頭目の三冠を達成[14]。レースの時に遊ぶところがある[15]など気難しい馬であったが[3]、上手く乗って能力を引き出した[15]。北日本新聞杯は3コーナー過ぎから先頭に立つと、直線では後続を一気に突き放して、2着に8馬身差を付けた[16]。MRO金賞は先手を取って直線で後続を突き放し、2着に4馬身差を付けて逃げ切った[17]。三冠を決めたサラブレッド大賞典もスタートから先手を取り、直線に向いてリードを広げて快勝した[18]。三冠達成後の北國王冠では好位追走から早めに先頭に立つと、直線では後続を突き放し、初対戦の古馬を撃破[19]。2着に6馬身差の快勝劇を演じ、続く中日杯も好位追走から直線で抜け出して勝った[20]

2010年1月6日から3月5日まで大井・朝倉実厩舎所属として南関東に期間限定騎乗[21]2012年1月8日から2月13日まで福山に冬季交流騎乗で参戦。

2011年にはナムラダイキチでMRO金賞・サラブレッド大賞典の二冠を達成し、MRO金賞は地元馬3年ぶりの勝利で、サラブレッド大賞典は上がり36秒5の脚を使って4馬身差の完勝であった[22]。その間のオータムスプリントカップでは、移籍3戦目で6馬身ちぎられたジャングルスマイルに8馬身差付けて[23]、1分26秒4でレコード勝ちの圧勝[22]。MRO金賞は夏負けの影響で自信が無かったが、ゲートを出てからダッシュが付かなかったのを思い切って下げて外に切り替えたところ[3]、力の違いで制した。北國王冠では再戦となったジャングルスマイルと残り800mで完全に一騎打ちになり、3番手以降が遥か後方の大差となるほどのせめぎ合いが向正面から4コーナーへと続く[23]。残り400mでジャングルスマイルに馬体を合わせて激しく手綱を扱いて押すと、実況の大川充夫耳目社アナウンサー)が「うぅーん、これはいい物を見た! 並んだままゴールイン!」と声に出すほどの一騎打ちをゴール手前まで演じ、結果はクビ差2着であった[23]

その後は体力の限界を理由に引退を決意し[22]、2012年3月15日には平成23年度第4回調教師免許試験に合格[24]同31日から調教師に転身するため、同年限りで現役を引退。25日の金沢第4競走C級4組5組・オーミハピネスが最後の勝利、29日の金沢第11競走弓引き祭特別・ヒャクマンゴク(9頭中9着)が最後の騎乗となった。

引退後は調教師に転身し、2012年5月13日の金沢第8競走苺一会特別・フレアリングピュア(12頭中4着)で初出走、7月3日の金沢第1競走3歳B5・リズムディヴァインで初勝利を記録[25]。2年目の2013年には北日本新聞杯・フレアリングメテオで重賞初制覇を果たすと、イグレシアスがJBCイヤーの百万石ジュニアカップ、金沢ヤングチャンピオンを制す[25]2014年9月2日の金沢第7競走3歳B1・モッシュで100勝、2019年9月15日の金沢第1競走C級2組9・ニッポンダンジで500勝を達成[25]

2016年には門別では1走もせずに転厩してきたヤマミダンスが破竹の4連勝[26]を記録し、金沢シンデレラカップで重賞初制覇、笠松のラブミーチャン記念で他地区重賞初制覇、地元に戻ってヤングチャンピオンを制し5連勝を決める。2017年名古屋梅桜賞で2番手追走から2周目向正面で先頭に立ち、そのまま直線に入って後続を突き放し、5馬身差で圧勝する[27]

騎手通算成績 編集

  • 地方 - 15995戦2743勝 勝率17.1%、連対率32.4%
  • 中央 - 15戦0勝 

主な騎乗馬 編集

斜体は地方交流競走。

  • ミスジヨオーマツ(1985年兼六賞、1986年黒百合賞)
  • フジアコー(1985年読売杯)
  • テルタノワケオー(1986年中日スポーツ賞)
  • カワキタダンデイー(1987年いぬ鷲賞)
  • アリラキング(1987年ことじ賞)
  • タマノシヤーク(1988年黒百合賞・石川テレビ杯)
  • フアインオー(1988年サラブレッド大賞典)
  • キシユウポルシエ(1989年ジェイティービー賞)
  • トモラツキー(1989年アラブ大賞典)
  • ビゼンツカサ(1989年3歳優駿)
  • シナノオーカン(1991年ことじ賞)
  • ハローダツシユ(1992年菊桜特別)
  • スズウイング(1992年いぬ鷲賞)
  • バンダムロード(1992年3歳優駿)
  • サツマコムスメ(1993年中日杯、1994年読売レディス杯)
  • アースフェアリー(1994年中日スポーツ賞)
  • ラガーペンダス(1995年スプリングカップ
  • ミスターベナ(1995年菊桜特別)
  • ユキノゴールド(1995年サラブレッド3歳優駿)
  • ナイスロング(1996年オールジャパンリーディングジョッキー)
  • タイカンホース(1996年あすなろ賞)
  • バンダムカリム(1997年ほくてつニューイヤーカップ)
  • トウカイフジ(1997年オールジャパンリーディングジョッキー)
  • ドラゴンエース(1997年百万石賞)
  • キムタツアンテール(1997年サラブレッド3歳優駿)
  • アイカンセンプー(1998年黒百合賞・農協牛乳杯・中京スポーツ賞)
  • トラベラー(1999年MRO金賞、2000年北國王冠・中日杯)
  • カツラギボーイ(1999年菊桜特別)
  • ヒシチーム(1999年ジェイティービー賞)
  • ホーエイショウハイ(1999年農協牛乳杯・中京スポーツ賞)
  • ヒノデソシアル(1999年北國王冠)
  • サンエスジュニア(2000年アラブウインターカップ)
  • サクセスフレンド(2001年北國アラブチャンピオン・石川テレビ杯・アラブ大賞典、2003年アラブスプリントカップ)
  • ケイアイジョン(2001年ジェイティービー賞)
  • マジックワルツ(2002年サラブレッドフレッシュカップ、2003年日本海ダービー)
  • センパツトモ(2005年ヤングチャンピオン、2006年園田クイーンセレクション・北日本新聞杯)
  • チヨノドラゴン(2006年東海クイーンカップ・サラブレッド大賞典、2007年白銀争覇
  • タフネスゴールド(2006年中日杯)
  • リュウヨウ(2007年読売レディス杯)
  • マヤノオスカー(2007年北國王冠)
  • ノーブルシーズ(2008年北日本新聞杯・MRO金賞・サラブレッド大賞典・北國王冠・中日杯、2009年百万石賞)
  • ナムラダイキチ(2011年MRO金賞・オータムスプリントカップ・サラブレッド大賞典)
その他

調教師通算成績 編集

主な管理馬 編集

斜体は地方交流競走。

  • フレアリングメテオ(2013年北日本新聞杯)
  • イグレシアス(2013年百万石ジュニアカップ・金沢ヤングチャンピオン)
  • ライブザドリーム(2015年サラブレッド大賞典)
  • ヤマノカミ(2015年金沢ヤングチャンピオン)
  • ヤマミダンス(2016年金沢シンデレラカップ・ラブミーチャン記念・金沢ヤングチャンピオン、2017年梅桜賞・北日本新聞杯・サラブレッド大賞典、2018年中日杯、2019年兵庫クイーンカップ
  • バンダイクブラウン(2017年加賀友禅賞
  • フウジン(2017年兼六園ジュニアカップ
  • アイオブザタイガー(2018年兼六園ジュニアカップ・金沢ヤングチャンピオン)
  • ニューホープ(2019年岐阜金賞
  • ハイタッチガール(2019年金沢プリンセスカップ・兼六園ジュニアカップ)
  • ベニスビーチ(2021年サラブレッド大賞典・加賀友禅賞、2022年兵庫クイーンカップ、2023年お松の方賞
  • ボサノヴァ(2021年金沢シンデレラカップ)
  • ヴェノム(2022年中日杯)
  • ハリウッドスマイル(2024年ノトキリシマ賞

脚注 編集

  1. ^ a b c 中川雅之~頑張れマーチャン~
  2. ^ 中川 雅之 騎手|ジョッキーインタビュー|地方競馬ならオッズパーク
  3. ^ a b c d 金沢競馬所属 中川雅之騎手インタビュー | 地方競馬の楽天競馬|日替わりライターブログ
  4. ^ 過去のリーディングデータ(PDF:65KB)
  5. ^ a b c アイカンセンプー・トラベラー・サクセスフレンド
  6. ^ TOPICS
  7. ^ 園田クイーンS、センパツトモ圧勝で5連勝 - 競馬ニュース - netkeiba.com
  8. ^ 東海クイーンC、金沢のチヨノドラゴンが差し切る - 競馬ニュース - netkeiba.com
  9. ^ サラブレッド大賞典、チヨノドラゴンが圧勝 - 競馬ニュース - netkeiba.com
  10. ^ 白銀争覇、チヨノドラゴン重賞3勝目 - 競馬ニュース - netkeiba.com
  11. ^ 中日杯、タフネスゴールドが連覇 - 競馬ニュース - netkeiba.com
  12. ^ 読売レディス杯、リュウヨウが移籍後3連勝 - 競馬ニュース - netkeiba.com
  13. ^ 北國王冠、マヤノオスカーが大差勝ち - 競馬ニュース - netkeiba.com
  14. ^ ノーブルシーズが金沢3歳三冠達成 | ニュース | 競馬ブック
  15. ^ a b 松野 勝己 調教師|ジョッキーインタビュー|地方競馬ならオッズパーク
  16. ^ 北日本新聞杯、ノーブルシーズが8馬身差で快勝 - 競馬ニュース - netkeiba.com
  17. ^ MRO金賞、地元のノーブルシーズが逃げ切り - 競馬ニュース - netkeiba.com
  18. ^ ノーブルシーズが金沢3冠達成 - 競馬ニュース - netkeiba.com
  19. ^ 北國王冠、金沢3冠馬ノーブルシーズが古馬撃破 - 競馬ニュース - netkeiba.com
  20. ^ 中日杯、3冠馬ノーブルシーズが制す - 競馬ニュース - netkeiba.com
  21. ^ 中川 雅之騎手(金沢)の南関東4競馬場における期間限定騎乗について
  22. ^ a b c 金沢の古豪、ナムラダイキチについて | 競馬コラム&ニュース「ウマフリ」
  23. ^ a b c 2600mの「いい物」 - 第59回北國王冠 | 競馬コラム&ニュース「ウマフリ」
  24. ^ 菅原勲騎手が調教師試験、小山紗知伽さんが騎手試験に合格 - 競馬ニュース - netkeiba.com
  25. ^ a b c 中川 雅之|調教師情報 | 金沢競馬 Official Website -KANAZAWA KEIBA
  26. ^ 2016年10月18日 金沢シンデレラC(GDJ) | 重賞ウィナーレポート
  27. ^ 金沢のヤマミダンスが5馬身差で圧勝/梅桜賞・名古屋 - 競馬ニュース - netkeiba.com

外部リンク 編集