数学の分野である代数学において、多元環などの中心 (: center, : Zentrum) は考えている構造の部分集合であって、乗法に関してすべての元と交換する元全体からなる。

群の中心 編集

  を群とすると、その中心は集合

 

である。

性質 編集

  の中心は部分群である。なぜならば、    の元とすると、任意の   に対して、

 

なので、  も中心に入る。同様にして、  も中心に入る。

 .

群の単位元   は常に中心に入る。 .

中心はアーベル群 正規部分群である。 特性部分群でもある、つまりすべての自己同型で不変である。中心は強特性 (strictly characteristic) でさえある、つまりすべての全射自己準同型で不変である。  がアーベル群であることと   は同値である。

中心はちょうど、  による共役、すなわち   が恒等写像であるような、  の元   からなる。したがって中心を中心化群の特別な場合としても定義できる。  である。

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  • 3次対称群英語版   の中心は単位元   のみからなる、なぜならば:
 
 
 
 
  • 二面体群   は正方形が全く動かないような平面の動きからなる。それは正方形の中心を中心とする角度 0°, 90°, 180°, 270°の回転と、2つの対角線および正方形の平行する辺の中点を通る2つの直線による4つの鏡映からなる。この群の中心はちょうど 0°と 180°の2つの回転からなる。
  • 実数を成分に持つ可逆 n×n-行列の乗法群の中心は単位行列の(0 でない)実数倍からなる。

環の中心 編集

R中心は環の元であってすべての元と交換するものからなる。

 

中心  R可換部分環である。環が中心と等しいことと可換であることは同値である。

結合多元環の中心 編集

結合多元環 A中心は可換な部分多元環

 

である。多元環がその中心と等しいことと可換であることは同値である。

リー代数の中心 編集

定義 編集

リー代数  中心は(可換な)イデアル

 

である。ただし   はブラケット積、つまり   の積を表す。リー代数がその中心に等しいことと可換であることは同値である。

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 .

参考文献 編集

外部リンク 編集