予弁法(よべんほう、Prolepsis, プロレープシスプロレプシス)には、以下のように色々な意味がある。語源はギリシア語πρόληψις, prolambanein(先取りすること)。

修辞学の予弁法 編集

修辞学では、予弁法は未来の出来事を先んじて言及する修辞技法のことをいう。たとえば、実際にはまだ死んでいないが死にかけている登場人物を「死人」と表現することである。映画のような言葉を用いないメディアでも同じ技法(未来の場面をフラッシュ・インサートする)が使われるが、その場合はフラッシュ・フォワード(Flashforward)と呼ばれる。

一方で、異議の予想という意味もある。たとえば話し手が「ああ」と言い、聞き手が「だがそれは不可能だ!」と言うに違いない時、話し手は聞き手の異議を予想して、聞き手がそれを言う前に、自ら先んじて「ああ、だがそれは不可能だ!」ということである。つまり自分の意見に即座に自分で異議を唱える修辞技法である。この技法はより正確にいえばProcatalepsisと呼ばれる[1]

文法の予弁法 編集

統語論の構成単位の中のある要素を、論理的に対応するであろう場所の前に置く構文である。たとえば、「That noise, I just heard it again(その物音、私はちょうどそれをまた聞いた)」で、「That noise」は文法的には「it」の位置にあるのがふさわしい。

哲学のプロレプシス 編集

古代の認識論(とくにエピクロスストア派の)では、「プロレープシス(プロレプシス)」はいわゆる「予想、先取り」を意味する哲学的概念として使われる。たとえば、世界の真の知識に繋がることができる前理論的な概念、などである。

関連項目 編集

脚注 編集

  1. ^ prolepsis at humanities.byu.edu[リンク切れ]

参考文献 編集

  • Smyth, Herbert Weir (1920). Greek Grammar. Cambridge MA: Harvard University Press, p. 678. ISBN 0-674-36250-0.