二元化合物(にげんかごうぶつ、: binary compound)とは、全く異なる2種類の元素を含む化合物である[1][2]共有結合性二元化合物には、 (H2O)、一酸化炭素 (CO)、六フッ化硫黄 (SF6) などがある。イオン結合性二元化合物には、塩化カルシウム (CaCl2)、フッ化ナトリウム (NaF)、酸化マグネシウム (MgO) などがある。

二元酸 編集

水素の二元化合物には、水素原子が一般的にはハロゲンと結合した二元酸 (: binary acid) がある。これらはフッ素塩素臭素ヨウ素アスタチンなどを含む。ハロゲンの他には硫黄セレンテルルポロニウムヒ素などがある。

二元酸が無水物であれば、水素と結合している元素名の語幹を「〜化」に変え、その後ろに「水素」をつけて呼ぶ(例:硫化水素 (H2S)、臭化水素 (HBr))。

二元酸の水溶液は、二元酸の名称の後に「酸」をつけて呼ぶ(例:フッ化水素酸ヨウ化水素酸)。ただし、「塩化水素酸」は一般に「塩酸」と呼ばれる。

酸素窒素リンが水素と二元酸を作らないことは注目すべき点である。

共有結合性二元化合物 編集

共有結合性二元化合物は、陰性な元素の語幹を「〜化」に変え、その後ろにもう一方の元素名をつけて呼ぶ。化合物中に存在するそれぞれの原子の数を示すために、それぞれの元素名の前に漢数字を付加する(例:三塩化リン四フッ化炭素)。

一般にイオン結合性二元化合物では、原子の数は示されない。例えば、K2O は通常「酸化二カリウム」ではなく、「酸化カリウム」である。

イオン結合性二元化合物 編集

イオン結合性二元化合物は、両方の元素がイオンである、つまりカチオンとアニオンからなる化合物である。これらの化合物を名付けるときは、その構成を考慮しなければならない。ただし、イオンの数を明示する必要はない。

  • タイプ1 カチオンがただ1つの形状、または電荷をもつ場合
  • タイプ2 カチオンが多数の形状をとることが出来る場合
  • タイプ3 多原子イオンを含む場合

タイプ1の化合物が含むカチオンは、第1族元素のカチオン、第2族元素のカチオン、あるいは Al3+、Zn2+ のどれかでなければならない。

タイプ1 編集

(ほとんどの場合金属である)カチオンは後置し、(ほとんどの場合非金属である)アニオンは前置する。カチオン名はそのままの元素名をとる。アニオン名はその元素名の語幹を「〜化」に変える。例えば、Br は「臭化〜」となる。

Li+ と F で構成される LiF は「フッ化リチウム」となり、Ba2+ と O2− で構成される BaO は「酸化バリウム」となる。

タイプ2 編集

このタイプの化合物に含まれるカチオンは、遷移金属カドミウム、あるいは水銀のカチオンである。これらのカチオンは数種類の電荷をとることができるため、元素名の後ろにローマ数字で酸化数を付加する必要がある。例えば、Cu2+ は「銅(II)」となる。その後はタイプ1と同様に命名する。

Co2+ と O2− で構成される CoO は「酸化コバルト(II)」となり、Fe3+ と N3− で構成される FeN は「窒化鉄(III)」となる。

タイプ3 編集

同様に、カチオンは後置し、アニオンは前置する。多原子イオン名はそれぞれ固有の名称を使用する。例えば、NH4+アンモニウムイオン)と N3アジ化物イオン) で構成される NH4N3 は「アジ化アンモニウム」となる。

出典 編集

関連項目 編集