二階 (松本清張)

松本清張の短編小説

二階』(にかい)は、松本清張短編小説。『婦人朝日』1958年1月号に掲載、1959年2月に短編集『危険な斜面』収録の1編として、東京創元社より刊行された。

二階
作者 松本清張
日本の旗 日本
言語 日本語
ジャンル 短編小説
発表形態 雑誌掲載
初出情報
初出 『婦人朝日』1958年1月
出版元 朝日新聞社
刊本情報
収録 『危険な斜面』
出版元 東京創元社
出版年月日 1959年2月15日
装幀 伊藤明
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1965年1977年にテレビドラマ化されている。

有川博による朗読CDが、2003年に新潮社より発売された。

あらすじ 編集

竹沢幸子の夫・英二は2年近く療養所にいたが、治癒の見込みはなかった。夫の懇願に負け、幸子は夫を自宅療養に切り替え、付添いの看護婦を頼んだ。看護婦・坪川裕子は経験も長く、その世話は行き届いていた。

印刷屋の仕事に忙しい幸子は、あまり夫の寝ている二階に上っていく暇がなかった。それは頼みにできる付添い看護婦をつけた安心もあるからだと幸子は信じていた。しかし幸子の心には、階段に足をかけるたびに、素直に上れない躊躇が起きた。幸子には、看護婦というよりも、一人の女が、二階で夫とひっそりと向かい合っているという意識が起こっていた。理由のない不安であった。実際、坪川裕子は常に忠実で慎み深かった。にもかかわらず、夫と看護婦のいる二階の圧迫に、幸子の心は追いつめられていく…。

エピソード 編集

  • 著者は「階上と階下に隔絶された夫婦の場合を心理的に構成したものである」と記している[1]

テレビドラマ 編集

1965年版 編集

1965年10月19日関西テレビ制作・フジテレビ系列(FNS)の「松本清張シリーズ」枠(火曜21:00-21:30。早川電機工業一社提供)にて放映。

キャスト
スタッフ
関西テレビ制作・フジテレビ系列 松本清張シリーズ
前番組 番組名 次番組
ある小官僚の抹殺
(1965.10.12)
二階
(1965.10.19)
弱味
(1965.10.26)

1977年版 編集

二階
ジャンル テレビドラマ
原作 松本清張『二階』
脚本 服部佳
監督 柳井満
出演者 十朱幸代ほか
製作
プロデューサー 石井ふく子
制作 TBS
放送
放送国・地域  日本
放送期間1977年2月6日
放送時間21:00 - 21:55
放送枠日曜劇場
回数1
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1977年2月6日TBS系列の「東芝日曜劇場」枠(21:00-21:55)にて放映。視聴率21.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)[2]。現在はDVD化されている。

キャスト
スタッフ
TBS系列 東芝日曜劇場
前番組 番組名 次番組
ゆきづりの朝
(1977.1.30)
二階
(1977.2.6)

脚注・出典 編集

  1. ^ 『松本清張全集 第37巻』(1973年、文藝春秋)巻末の著者による「あとがき」参照。
  2. ^ 林悦子『松本清張映像の世界 霧にかけた夢』(2001年、ワイズ出版)参照。