位相幾何学者の正弦曲線

数学、特に位相幾何学において位相幾何学者の正弦曲線(いそうきかがくしゃのせいげんきょくせん)はいくつかの興味深い性質を持つ位相空間の例としてしばしば取り上げられる。この空間は、半開区間(0, 1]上の関数sin(1/x)のグラフに原点を加えたものに、ユークリッド平面の位相から誘導される位相を入れたもの、すなわち

と定義される。

曲線の概形 編集

 

xが右から0に近づくにつれて、1/xの増加の勢いは増していく。ゆえに、このグラフ上を左に行くにつれ、正弦波の振動数が増していく。

性質 編集

位相幾何学者の正弦曲線T連結であるが、局所連結でも弧状連結でもない。Tは原点(0,0)を含むが、原点と関数のグラフ上の点とを結ぶ弧を作ることはできないからである。

空間T局所コンパクト空間の連続像である。実際、Vを{−1} ∪ (0, 1]とし、VからTへの写像ff(−1) = (0,0) かつ x > 0のときはf(x) = (x, sin(1/x)) と定めればよい。しかし、T自身は局所コンパクトではない。

Tルベーグ被覆次元は1である。

亜種 編集

位相幾何学者の正弦曲線の2つの亜種は、異なる興味深い性質を持つ。

閉じた位相幾何学者の正弦曲線は、位相幾何学者の正弦曲線に集積点の集合 を加えたものとして定義される。この空間は有界閉集合なのでハイネ・ボレルの被覆定理によりコンパクトである。しかし、位相幾何学者の正弦曲線と同様に、連結ではあるが局所連結でも弧状連結でもない。

拡張された位相幾何学者の正弦曲線は閉じた位相幾何学者の正弦曲線に集合 を加えたものとして定義される。この空間は弧連結ではあるが、局所連結ではない。

参考文献 編集

  • Steen, Lynn Arthur; Seebach, J. Arthur Jr. (1995) [1978], Counterexamples in Topology (Dover reprint of 1978 ed.), Mineola, NY: Dover Publications, Inc., pp. 137?138, ISBN 978-0-486-68735-3, MR1382863 
  • Weisstein, Eric W. "Topologist's Sine Curve". mathworld.wolfram.com (英語).