側頭骨茎状突起(そくとうこつけいじょうとっき、temporal styloid process)は、ヒト側頭骨にある尖状の突起[1]のことで、の直下に位置し、前方へ延伸し頬骨と接する。

左側頭骨の外面。茎状突起が中央底部に見える。
右の外耳と中耳を開いたところ。茎状突起は中央下に見える。
頭蓋骨の右側面。赤色で強調されている。

発生 編集

茎状突起は第二鰓弓軟骨軟骨内骨化して形成される[1]

構造 編集

茎状突起は側頭骨の細くとがった突起部で耳の直下にあり、側頭骨下面から前下方に伸び[1]て、咽頭に関係したいくつかのの付着部を形成している。

茎突舌骨靱帯は茎状突起の先端に始まり、舌骨下角に終わる。一部あるいは全部が骨化している事もある。

変異 編集

まれに茎状突起が病的に伸びすぎたり、茎突舌骨靱帯の骨化によって困ることがある。茎状突起が頭蓋底からのどに突き出た釘のようになっているために、咀嚼していると咽頭の組織がこすれ、これが舌咽神経を通じて痛みとして感じられる。首を回したり舌を延ばしたりしても痛むことがある。そのほか声の異常、咳、ふらつき、片頭痛、後頭部の神経痛、歯痛や下顎痛、副鼻腔炎や充血といった症状が出ることがある。

脚注 編集

  1. ^ a b c d e f g 森ら, p.71

参考文献 編集

  • 原著 森於菟 改訂 森富「骨学」『分担解剖学1』(第11版第20刷)金原出版東京都文京区、2000年11月20日、19-172頁。ISBN 978-4-307-00341-4