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利かずの駒並べ(きかずのこまならべ)は、条件に従って将棋盤に駒を並べる将棋パズルの一種である。盤上に40枚の駒をどの駒の利き筋にも他の駒がないよう配置するのが目的である。この問題において、二歩[1]行き所のない駒[2]の配置は認められている。このパズルの解は、3720通りある。

まずは駒を簡略化して考える 編集

簡略化のため、駒を以下に置き換える。

飛車(計2枚)は、縦方向のみ何マスでも動ける「縦」に置き換える。
角行桂馬(1マス前に動かせない駒。計6枚)は、動かすことのできない「石」に置き換える。
その他の駒(全て1マス前に動かせる。計32枚)は、全て「」に置き換える。通常の将棋と同様、動かせるのは1マス前のみである。
ここで注意すべきは、元の駒にできない動きができるようになった駒はないことである。つまり元の問題の解の駒を上記のように簡略化したものも解となるため、元の問題の解は簡略化した駒の解を元の駒に戻したもの以外存在しないということになる。

まずは2枚の「縦」を配置する。お互い同じ筋に配置できず、また、「縦」を配置した筋は全マス利き筋となり他の駒を配置することもできなくなるため、「縦」を配置した2列は使えなくなり、残り38枚を残り7列に配置することになる。

次に「歩」を配置する。1段目以外に配置すると、配置した場所のみならず1つ前のマスも利き筋となり計2マスが他の駒の配置に使えなくなるので、まずは使用するマスが1マスだけで済む1段目の7マスに全て配置する。これで使えるマスは残り7列×8段=56マスとなり、ここに残りの「歩」25枚、「石」6枚を配置しなければならない。

残ったマスでは「歩」1枚につき2マスを使うことになるため、25枚配置すると計50マス使うことになり、残りは6マスだけとなる。

残った6マスに、残った「石」6枚を配置すれば完成である。

結果、利きを減らして簡略化した駒であっても全てのマスを駒の配置もしくはその利き筋に使ってやっと完成することが分かる。よって元の問題も当然全てのマスを使用することになり、いかにギリギリで難しいかを示している。

縦と石を飛、角、桂に戻す 編集

飛車、角行、桂馬はそのままで、その他の駒を全て歩兵に置き換えた場合の解は、以下の13通り及び左右反転の鏡像の計26通りである。 [3]

有効解A
有効解B
無効解1A
無効解1B
無効解2A
無効解2B
無効解2A'
無効解2A’’
無効解3
無効解3'
無効解3’’
無効解3’’’
無効解4

太字の歩は、金に置き換え可能であるが、元の問題の解になるためには最低でも6枚は必要である(金が4枚ある他、玉(2枚)の動きにも金の動きが全て含まれているため)。しかし6枚以上あるのは上記13種類のうち有効解の2種類だけであり、あとの11種類の無効解は5枚以下しかないため元の問題の解としては不適切である。

歩6枚を金に置き換える 編集

上記の有効解2つはどちらも金に置き換え可能な歩がちょうど6枚なので全て金に置き換えると以下のようになる。

有効解A
有効解B

なお、太字の金は玉に置き換え可能な金で、太字の歩は銀に置き換え可能な歩であり、元の問題の解になるためにはそれぞれ最低2枚、4枚必要であるが、それぞれ4枚、10枚あるので十分足りている。但しまだ完成ではなく、歩4枚をさらに香4枚に置き換えなければならないが、香に置き換えられる歩は最上段の5枚だけであり、香に置き換えなくて良いのは1枚だけである。最上段の5枚のうち銀に置き換えられない歩が1枚だけあるが(下線付きの歩)、この歩を香に置き換えるかどうかで歩を銀に置き変える制約の大きさが大きく変わる。

解の総数を求める 編集

有効解A・B共に解の総数は同じなのでまずは有効解Aベースの解の総数を求める。

まずは歩を銀と香に置き換える場合の数を求める。

下線付きの歩を香に置き換えない場合、残りの最前列の歩を全て香に置き換えなければならないので、銀に置き換えられる歩は最前列以外の6枚だけで、このうち4枚を置き換えるので6C4=15通り

下線付きの歩を香に置き換える場合、残りの最前列の歩のうち3枚を置き換えれば良い。そして銀に置き換えられる歩は最前列以外の6枚の他に最前列の香に置き換えなかった歩を選ぶこともできる。よって4C3×7C4=140通り

以上より歩を銀と香に置き換える場合の数は15+140=155通り

金を玉に置き換える場合の数は、玉に置き換え可能な4枚のうち2枚を置き換えればいいので4C2=6通り

よって有効解Aベースの解は155×6=930通りであり、有効解Bベースの解も合わせると930×2=1860通り、そしてこれらの左右反転の鏡像も全て解になるので全ての解の総数は1860×2=3720通りとなる。

関連項目 編集

脚注 編集

  1. ^ 将棋駒全40枚のうち18枚が歩であり、将棋盤は9筋しかないため、この問題では必然的に二歩が発生することは自明である。
  2. ^ この問題の解では、結果的に行き所のない駒は必ず発生する。
  3. ^ 利かずの駒並べの全解探索” (2014年4月17日). 2014年4月17日閲覧。