加納輝石(かのうきせき、Kanoite)とは、鉱物珪酸塩鉱物)の一種で、単斜輝石のグループに属する。化学組成は(Mn2+, Mg)2Si2O6またはMnMgSi2O6。1977年、小林英夫島根大学)によって北海道熊石町館平(現・八雲町)から記載され[1]秋田大学の岩石学者、加納博に因んで命名された。

加納輝石(秋田大学附属鉱業博物館にて)

模式地においては、園石テフロ石と、角閃石パイロクスマンガン石の層に挟まれた、ピンク色を帯びた薄い褐色の薄い層として産出し[1]顕微鏡下で小さな結晶が認められる。モース硬度6、比重3.66、単斜晶系

MnMgSi2O6で構成される物質はMgSiO3-MnSiO3系の合成実験において先に知られており、加納輝石としての発見により天然で存在することが判明した。加納輝石の結晶構造は合成物を基に解析されている[2]マグネシウムが増えると、加納輝石と共に(Mg,Mn)MgSi2O6が生じる。この物質は1984年アメリカ合衆国で発見され、ドンピーコー輝石(Donpeacorite)と命名された[3]。ドンピーコー輝石は1986年には加納輝石の原産地である館平からも発見されている[4]

脚注 編集

  1. ^ a b 小林英夫「北海道渡島半島館平産新鉱物,加納輝石,(Mn2+,Mg)2[Si2O6]」『地質学雑誌』第83巻第8号、日本地質学会、1977年、537-542_1、doi:10.5575/geosoc.83.537ISSN 00167630 
  2. ^ Arlt T., Armbruster T. (1997) The temperature-dependent P21/c – C2/c phase transition in the clinopyroxene kanoite MnMg[Si2O6]: a single-crystal X-ray and optical study. European Journal of Mineralogy, 9, 953-964.
  3. ^ Donpeacorite, mindat.org
  4. ^ 山口佳昭, 加納博, 渡辺暉夫, 小林英夫(1986)Kanoiteと共生するdonpeacoriteについて. 三鉱学会連合学術講演会講演要旨集, P70.

外部リンク 編集