反陽子(はんようし)とは、陽子(プロトン)と質量スピンが全く同じで、逆の電荷、すなわち−1の電荷を持つ反粒子である。

反陽子は1955年セグレチェンバレンによってカリフォルニア大学バークレー校加速器ベバトロンを使った実験で最初に発見された。

性質 編集

反陽子は、陽子と衝突すると対消滅を起こして数個のパイ中間子などになる。

反陽子の電子質量比は、1836.1526736 ± 0.0000023(相対標準不確かさ 1.2 × 10−9)である。陽子の電子質量比は、1836.15267245(75)[1]であり、陽子の電子質量比との有意の差は見いだされていない[2]

実験 編集

反陽子は反物質であり、自然には地球上に存在しない。高エネルギーの宇宙線が飛び交う宇宙空間や、加速器を用いた実験施設等で生成される。

加速器で生成した反陽子を用いた実験には以下のものがある。

  • 陽子・反陽子衝突実験: テバトロン
  • 反水素生成実験:
  • 電子を反陽子で置き換えた原子の性質を調べる実験(例えば反陽子ヘリウム原子):

また、宇宙空間で生成された宇宙線反陽子の観測実験も行われている。

  • 低エネルギー宇宙線反陽子観測実験

脚注 編集

  1. ^ Physical Measurement Laboratory. “Search Results” (英語). 2012年6月21日閲覧。
  2. ^ 早野龍五 (2011年7月28日). “反物質に新たな光を当てる”. プレスリリース. 東京大学大学院理学系研究科・理学部. 2012年6月21日閲覧。

関連項目 編集