国花

国の象徴とされる花

国花(こっか、: Floral emblem)とは、その国民に最も愛好され、その国の象徴とされる花である。

日本を代表する花のひとつ、桜

各国の事例 編集

国の象徴とされるFloral emblemは、必ずしもとは限らず、農作物樹木隠花植物が指定されることもある。ただし国によっては国樹や国果としてそれらを制定し、国花はまた別、あるいは指定しないといった対処をしているところもある。一般にヨーロッパでは花卉が多いが、ヨーロッパ以外では花卉が指定されることは少ない。またその国の原産であったりその国に広く見られるものとも限らない(むしろ外来種が指定されることが多い)。指定範囲も単一種を指定する場合もあれば、複数種を指定することもある。園芸植物の場合は細かく花の色まで特定したり、それとは逆に大まかに属科レベルで指定する場合もある。中にはアイルランドのシャムロックのように、特定種ではなく表象的な外見の形状(三分岐の掌状複葉、いわゆる三つ葉のクローバー型の葉を有する)で指定する場合もある。

国花の選定方法は各国により異なり、法律や議会の議決、勅令や政令で定められたり国民投票で決定したもの、故事や伝説にちなんだもの、長年の慣習によるもの、王室の象徴として用いられていたものなどがある。最後のケースではイギリスバラ(テューダー・ローズ)といった、王室がエンブレムとして選定していたものが有名である。現在ある国花の多くは公的な手続き、裏付けを欠く慣習上のものであり、成文法に基づき国花を指定制定する例は実際には少数派である。日本にも法定の国花はなく、国民に広く親しまれているや皇室の家紋のモチーフであるが事実上の国花として扱われている。国花はコインや紙幣、旅券切手などの意匠としてしばしば使用されるため、濫用を避ける意味で一部国の国花は世界知的所有権機関に届け出られ、管理下に置かれている。

各国の国花 編集

表を見るにあたっての注記について記載する。

国樹 は、公式、慣習上を問わず国樹、国木としての意味が強いものを示す。

歴史 は、現在は当該国の官民ともに国花としての意識はないのだが、歴史的経緯から対外的に国花として扱われることが多いものを示す。

アジア 編集

  アゼルバイジャン なし ヒマワリ、またはブドウとする資料もある[要出典]
  アフガニスタン 赤いチューリップ Red tulip
 
  アラブ首長国連邦 なし マリーゴールド、ヒャクニチソウ、現在選考中とする資料などがある[要出典]
  アルメニア なし コーヒー、アネモネとする資料もある[要出典]
  イエメン アラビカコーヒーノキ Coffea arabica
 
  イスラエル 国樹 オリーブ Olea europaea
 
シクラメン Cyclamen persicum
 
イスラエルは園芸種シクラメンの原産地。
  イラク 赤いバラ Red rose
 
  イラン 黄色いつる性のバラ[1] Yellow rose
 
画像は原種バラの1種 Rosa persica
チューリップ Tulip
 
 
国章はこの花卉を外形を表している。Tulipa sylvestris に絞るとする資料[1]もあるが、イランは多数の原種チューリップ自生地なので T. sylvestris のみが国花とは考え難い。
  インド Nelumbo nucifera
 
国樹 印度菩提樹 Ficus religiosa
 
  インドネシア メラティ(マツリカ) Jasminum sambac
 
ジャスミンの1種。国民の花。1990-6-5に制定されたがそれ以前から慣習的に国花とされていた。1993年に大統領令[2]にて追認。ケソケイ Jasminum multiflorum とする資料[3]もあるが、大統領令には記載がなし
コチョウラン Phalaenopsis amabilis
 
魅惑の花。1990-6-5に制定され1993年に追認。
ラフレシア Rafflesia arnoldii
 
珍奇の花。1990-6-5に制定され1993年に追認。
スマトラオオコンニャク Amorphophallus titanum
 
上記3種の追認以降に珍奇の花に追加された。
  ウズベキスタン なし チューリップとする資料などがある
  オマーン 赤いバラ Red rose
 
  カザフスタン チューリップ Tulip
 
  カタール ナツメヤシ Phoenix dactylifera
 
  韓国 ムクゲ Hibiscus Syriacus
 
 
国章はこの花を基にデザインされている。国歌にもこの花の名が登場する。
  カンボジア ルムドゥアルMitrella mesnyi   バンレイシ科の1種。勅令[4]により制定。
Oryza sativa
 
  北朝鮮[注 1] Prunus salicina
 
木蘭(オオヤマレンゲMagnolia sieboldii ssp. sieboldii
 
  キルギス ワタ Gossypium arboreum
 
バラ Rose
 
チューリップ Tulip
 
最近はヒヤシンスも国花とする資料がある
  クウェート アル・アルファジ Rhanterium epapposum
 
キク科の1種。
  サウジアラビア バラ Rose
 
画像の品種名はアラビア。
  ジョージア ヨーロッパブドウ Vitis vinifera
 
ジョージアに限らず、中央アジア諸国は古くからのワインの銘醸地が多い。最近ではユリとする資料もある。
  シリア ダマスクローズ Rosa damascena
 
全く異なる名[注 2]を挙げている資料もあるが、明白な理由付けがある(ダマスクはシリアの首都ダマスカスの意)のはこれだけ。
  シンガポール バンダ・ミスジョアキム Vanda hookeriana × V. teres
 
ラン科バンダ属の交配種。この花がシンガポール国内で初めて作出された蘭の園芸品種であることによる。
  スリランカ ニル・マーネル Nympheae stelleta syn. N. nouchali
 
青いネッタイスイレン
  タイ ナンバンサイカチ Cassia fistula
 
スイレン[5] Nymphaea
 
画像はアカバナスイレン N. rubra
  台湾 Prunus mume
 
  タジキスタン なし あるとする資料はカルミア Kalmia latifoliaヘリコニア、シクラメン、ワタなどを挙げているが、どれ1つとして植物名が一致していなし
  中国   中国大陸 なし 現在国花選定中。候補は牡丹のほか梅も挙げられているが、過去に何度か国民投票を実施した際には牡丹と梅が常に1位、2位を占めていた。近年では、国旗の五つ星を象徴できるため、牡丹・梅・菊・蓮・蘭の五つの花を全て中国の国花にしようとの意見もある。[6]
  香港 バウヒニア Bauhinia blakeana
 
マメ科の1種。英名 Hong Kong orchid tree から誤ってランの1種などと記されることがある。
  マカオ Nelumbo nucifera
 
アラゲノボタンとする資料がある
  トルクメニスタン なし アスター(エゾギク)とする資料がある[注 3][注 4]
  トルコ チューリップ Tulipa gesneriana
 
園芸種T. gesneriana でなく原種の1つ T. sylvestris だとする資料[7]もある。なおトルコは園芸種チューリップ発祥の地である。
  日本[8][注 5] Cerasus
 
一般に国を象徴する花として語られコイン切手意匠として採用されてきたが法定のものではない。
Chrysanthemum × morifolium
 
 
菊は国より皇室の象徴としての意味が強い。
  ネパール ラリグラス Rhododendron arboreum
 
シャクナゲの1種
  パキスタン ソケイ Jasminum officinale
 
ジャスミンの1種
  パレスチナ 国樹 オリーブ Olea europaea
 
  バーレーン なし
  バングラデシュ シャープラ (ネッタイスイレン)Nymphaea pubescens
 
憲法[9]条文中で宣言。
  東ティモール なし
  フィリピン サンパギータ(マツリカ) Jasminum sambac
 
  ブータン メコノプシス・ホリデュラ Meconopsis horridula
 
青いケシの1種。
  ブルネイ カンボクビワモドキ Dillenia suffruticosa
 
マレー語ではシンポーアエルsimpoh ayer)と呼ぶ。また古い属名は Wormia であり、「ウオーミヤ」の名で言及した文献も存在する[10]
  ベトナム 紅い蓮 Red lotus
 
国樹 Bomboo
 
  マレーシア ブンガラヤ(ブッソウゲ) Hibiskus rosa-sinensis
 
  ミャンマー サラノキ Shorea robusta
 
カリン (マメ科) Pterocarpus indicus
 
アカバナサンタンカ[11]Ixora coccinea
 
アカネ科の1種。
  モンゴル セイヨウマツムシソウ Scabiosa atropurpurea
 
  ヨルダン ブラックアイリス Iris nigricans
 
  ラオス インドソケイ Plumeria rubra
 
単にプルメリアといった場合、通例はこの種を指す。
  レバノン 国樹レバノンスギ Cedrus libani
 

アフリカ 編集

  アルジェリア バラ Rose
 
  エチオピア カラー(オランダカイウ) Zantedeschia aethiopica
 
  エジプト ロータス(ヨザキスイレン) Nymphaea lotus
 
  ガーナ ナツメヤシ Phoenix dactylifera
 
  ガボン カエンボク Spathodea campanulata
 
  コートジボワール ヤシ Palm
 
  コンゴ民主共和国 [注 6] ニオイマホガニー Khaya
 
センダン科の1属。画像は7種あるうちの1種 Khaya senegalensis
  シエラレオネ ギネアアブラヤシ Elaeis guineensis
 
  ジンバブエ グロリオサ・ロスチャイルディアナ Gloriosa rothschildiana
 
  スーダン ブッソウゲ Hibiskus rosa-sinensis
 
  赤道ギニア カポック(パンヤ) Ceiba pentandra
 
  セネガル 国樹 バオバブ Adansonia sp.
 
  チュニジア ミモザ Mimosa     正式に制定された国花。種としてはフサアカシア Acacia dealbataギンヨウアカシア Acacia baileyana など。
オオバナソケイ Jasminum grandiflorum
 
ジャスミンの1種。公認の国花ではないが国民に人気があり、2010-11年の革命もこの花の名を冠して呼ばれる。
  ナイジェリア コスタス・スペクタビリス Costus spectabilis
 
ショウガ目オオホザキアヤメ科の1種。東南アジア原産の外来種。
  ナミビア ウェルウィッチア(奇想天外、砂漠万年青)Welwitschia mirabilis
 
  ボツワナ モロコシ Sorghum bicolor
 
  マダガスカル ポインセチア Euphorbia pulcherrima
 
国樹タビビトノキ Ravenala madagascariensis
 
  南アフリカ共和国 キングプロテア Protea cynaroide
 
  モーリシャス トロチェティア Trochetia boutoniana   アオイ科の1種。マスカレン諸島固有種。
  モロッコ バラ Rose
 
  リビア ザクロ Punica granatum
 
  リベリア コショウ Piper nigrum
 

ヨーロッパ 編集

  アイスランド チョウノスケソウ Dryas octopetala
 
  アイルランド シャムロック Shamrock   
 
形状からの指定で特に種を定めない。具体例はカタバミ(左)、シロツメクサ(右)等。
  アルバニア 赤と黒のケシRed and black poppy
 
赤と黒は国旗の配色に基づく。
国樹 ヨーロッパナラ Quercus robur
 
  アンドラ クチベニスイセン Narcissus poeticus
 
国を象徴する花として切手や硬貨によく描かれている。[12]
  イギリス   イングランド テューダー・ローズ Tudor rose   
 
 
元はテューダー朝の紋章で紅白のバラを統合した架空の花(現在は右画像のような品種もある)。赤は Rosa gallica(左)、白は Rosa×alba (右)で学者の意見は一致。
  ウェールズ ラッパスイセン Narcissus pseudonarcissus
 
リーキ Allium ampeloprasum var. porrum
 
国の象徴に扱われるのは茎と葉のみで、花は対象となっていない。
  北アイルランド シャムロック Shamrock アイルランドに同じ。
 
アイルランドに同じ。
  スコットランド アザミ Thistle
 
 
どの種が紋章のモデルになったかは諸説あり定まっていない。画像は候補の一つ Cirsium vulgare
  連合王国 バラ Rose
 
画像の品種はクィーン・エリザベスII
  イタリア 歴史 デージー [注 7]Bellis perennis
 
政府が公式に認めた国花は存在していない。

イタリア王国国王ウンベルト1世の后の名マルゲリータ[注 8]にちなむ。王政終焉(1946)まで慣習上の国花に扱われた。

  ウクライナ セイヨウカンボク Viburnum opulus
 
最近ではヒマワリも国花とする資料がある
スミミザクラ Prunus cerasus
 
  エストニア ヤグルマギク Centaurea cyanus
 
  オーストリア エーデルワイス Leontopodium alpinum
 
  オランダ チューリップ Tulipa gesneriana
 
  キプロス キプロスシクラメン Cyclamen cyprium
 
国樹 オリーブ Olea europaea
 
  ギリシャ アカンサス(葉アザミ) Acanthus mollis
 
ニオイスミレ[13] Viola odorata
 
国樹 オリーブ[13] Olea europaea
 
  クロアチア ペルニカ Iris croatica
 
アイリスの1種
デゲニア・ヴェルビティカ Degenia velebitica
 
アブラナ科の1種。
  サンマリノ アキザキシクラメン Cyclamen neapolylanum[14]
 
学名は Cyclamen hederifolium のシノニム。
  スイス エーデルワイス Leontopodium alpinum
 
アルペンローゼ Rhododendron ferrugineum
 
アルペンエンツィアン Gentiana alpina
 
リンドウの1種。
  スウェーデン 国樹 セイヨウトネリコ Fraxinus excelsior  
ドイツスズラン Convallaria majalis var. majalis
 
  スペイン カーネーション Dianthus caryophyllus
 
ザクロ[15] Punica granatum  
オレンジ[15] Citrus sinensis
 
  スロバキア ジャガイモ Solanum tuberosum
 
  スロベニア コムギ Triticum
 
  セルビア セイヨウスモモ Prunus domestica
 
旧ユーゴスラビア[16]から引き継いでいる。
  チェコ 国樹 菩提樹 Tilia × europaea
 
  デンマーク[17] ムラサキツメクサ Trifolium pratense
 
1936年アルゼンチンからの問い合わせに対する当局の回答による。国内各所に自生し、農業上重要な牧草である点を考慮されたようだが、これ以外に公的裏付けはなく国民もほとんど知らない。
マーガレットArgyranthemum frutescens
 
現女王マルグレーテ2世の名にちなむ。国民投票による国花選出で1位に輝いたが、カナリア諸島原産の外来種なので公式の制定は見送られた。
  ドイツ 歴史 ヤグルマギク Centaurea cyanus
 
ヴィルヘルム1世ドイツ皇帝に即位した際帝室の象徴に採用[注 9]され、帝政終焉(1918)まで慣習上の国花に扱われた。
国樹 オウシュウナラ Quercus robur
 
  ノルウェー ギョリュウモドキCalluna Vulgaris
 
1976年、ラジオ番組 Nitimen にてリスナーの投票により決定。英名 Purple heather の誤訳から、しばしばヒースと紹介される。
サキフラガ・コティレドン Saxifraga cotyledon
 
ユキノシタ属の1種。1935年、アムステルダムの植物学会において決定。
  バチカン マドンナリリー(ニワシロユリ)Lilium candidum
 
  ハンガリー ゼラニウムPelargonium
 
チューリップ Tulipa gesneriana
 
  フィンランド スズランConvallaria majalis
 
  ブルガリア バラ Rose
 
カザンラシュカという香料向けドッグローズの1品種が盛んに栽培されているが、それ以外のバラも含め国花として扱われている。
  フランス アイリス
 
政府が公式に認めた国花は存在していない。

一般的にはフランス共和国の象徴であるトリコロール(フランス国旗)の青・白・赤を表すとされる、ヤグルマギク、マーガレット、ヒナゲシ(この三つの中でも特にヤグルマギクが親しまれている。)と、フルール・ド・リスが表しているアイリスが国花として扱われる事が多い。

なおフルール・ド・リスは王家の象徴であったため、現在共和国となったフランス政府が王国を連想するアイリスを公の場で掲げる事はない。

ヤグルマギク[注 10]

Cyanus segetum

 
マーガレット[注 11]

Argyranthemum frutescens

 
ヒナゲシ

Papaver rhoeas

 
  ベラルーシ アマ Linum usitatissimum   セントポーリアも国花とする資料がある
  ベルギー チューリップ Tulipa gesneriana いずれも外国人による誤解に基づくため画像略 かつてオランダの1地方だったところから、国花もオランダと同じと誤解されている。
赤いヒナゲシ Papaver rohaes ベルギーは第一次大戦の西部戦線で、その戦死者を悼んだフランダースの野にという詩に頻出する赤いヒナゲシが英語圏でベルギー国花と勘違いされることがある。現実には同地のケシは現地の農民から嫌われ畑の雑草として駆除される。
  ボスニア・ヘルツェゴビナ ボスニアゴールデンリリー Lilium bosniacum
  ポーランド パンジー Viola × wittrockiana
 
赤いヒナゲシ Papaver rohaes
 
  ポルトガル ラベンダー Lavandula
 
ただし政府が公式に認めているわけではない
カーネーション Dianthus caryophyllus
 
1974年4月25日の「カーネーション革命」にちなむ
国樹 コルクガシQuercus suber
 
  北マケドニア ケシPapaver
 
  マルタ マルタヤグルマギク Cheirolophus crassifolius
 
  モナコ カーネーションDianthus caryophyllus
 
  モルドバ なし クロッカスとする資料がある
  モンテネグロ ミモザ Mimosa     種としてはフサアカシア Acacia dealbataギンヨウアカシア Acacia baileyana など
  ラトビア フランスギクLeucanthemum vulgare
 
マーガレットとする資料もある
  リトアニア ヘンルーダRuta graveolens
 
ヤグルマギクとする資料もある
  リヒテンシュタイン オレンジリリーLilium bulbiferum
 
  ルクセンブルク バラ Rose
 
  ルーマニア ドッグローズRosa canina
 
ブルガリアに同じく香料向けドッグローズの栽培が盛んであるが、ブルガリアと異なりこちらはドッグローズを指定。
  ロシア ヒマワリHelianthus annuus
 
ロシア帝国ソビエト連邦[16]から引き継いでいる。
カミツレMatricaria recutita
 

北アメリカ 編集

  アメリカ合衆国 バラ Rose
 
1985年、アメリカ合衆国上院は大統領に対しバラを国花とする決議を可決し1986年11月20日にロナルド・レーガン大統領がホワイトハウスのローズガーデンでその法律に署名し公布された[18]。画像の品種はプレジデント・ハーバート・フーバー
セイヨウオダマキ Aquilegia vulgarii
 
アメリカでは各州の州花が重視されるためほとんど知られていない。
  アメリカ領ヴァージン諸島 キンレイジュ Tecoma stans
 
ノウゼンカズラ科の1種。
  アンティグア・バーブーダ アグレイヴ・カラット Agave karatto
 
リュウゼツランの1種。
  エルサルバドル メキシコチモラン Yucca gigantea
 
ユッカの1種。
アラビカコーヒーノキ[19]Coffea arabica
 
  カナダ サトウカエデ Acer saccharum
 
  キューバ ホワイトジンジャーHedychium coronarium
 
新大陸諸国の国花は当該国の固有種から選ばれることが多いのだが、これはインド原産の外来種。標準和名はハナシュクシャ。
  グアテマラ モンハ・ブランカ Lycaste skinneri var alba
 
Monja Blancaスペイン語で白いシスターの意で、白変種のみそう呼ぶ。ランの1種で園芸名はシロバナミツビシラン。
  グリーンランド ニヴィアルシアク Chamerion latifolium
 
Niviarsiaq現地イヌイットの言葉で女児を意味する。
  グレナダ ブーゲンビリア Bougainvillea
 
  ケイマン諸島 ワイルドバナナオーキッド Myrmecophilia thomsoniana
 
Wild banana orchidカトレヤの近縁種の1つ。ケイマン諸島固有種。
  コスタリカ グアリアンセ・スキネリ Guarianthe skinneri
 
カトレヤの1種だが現在ではグアリアンセ属に分類される。
  セントクリストファー・ネイビス ホウオウボク Delonix regia
 
オオゴチョウCaesalpinia pulcherrima
 
マメ科の1種。
  セントビンセント・グレナディーン[20] スーフリツリー Spachea perforatais
 
画像募集中
Soufriere treeキンノトラノオ科の1種。学名はSpachea elegansのシノニム[21]
  セントルシア[22] バラ Rose
 
マルグリット Gomphrena globosa
 
Marguerite園芸名はセンニチコウヒユ科の春撒き一年草。
  ジャマイカ 国樹 ユソウボクGuaiacum officinale
 
ハマビシ科の1種。
  ドミニカ国 カリブウッドPoitea carinalis
 
画像募集中
マメ科の1種。真っ赤な花を咲かす。
  ドミニカ共和国 国樹 マホガニー Swietenia mahagoni
 
国花 バヤイベ・ローズBayahibe Rose
 
東部バヤイベ地方原産の、ダーク・ピンクの花弁。
  トリニダード・トバゴ ヘリコニア(チャコニア)Warszewiczia coccinea
 
アカネ科の1種。
  ニカラグア サクアンホーチェPlumeria alba
 
Sacuanjoche現地のナワトル語できれいなオレンジ色の花の意。プルメリアの1種。
国樹 商業名: デガメレモンウッドランスウッド Calycophyllum candidissimum
 
アカネ科の木本。木材が得られる[23]。ニカラグアのスペイン語ではマドロニョ(madroño)と呼ばれ、1971年8月23日に国樹として制定された[24]
  ハイチ 国樹 ダイオウヤシRoystonea regia
 
カリブ海の島々と沿岸域に広く分布するヤシの1種。
  パナマ ペリステリア・エラタ Peristeria elata
 
ラン科セッコク亜科の1種。標準和名はハトラン。
  バハマ キンレイジュ Tecoma stans
 
  バミューダ諸島 シシリンチウム・バミューディアナ Sisyrinchium bermudiana
 
ニワゼキショウの1種。
  バルバドス オオゴチョウ Caesalpinia pulcherrima
 
  プエルトリコ セスペシア・グランディフローラ Thespesia grandiflora
 
画像募集中
フヨウ科の1種。
  ベリーズ プロステケア・コクレアタ Prosthechea cochleata
 
Encyclia cochleata, Anacheilium cochleatum, Epidendrum cochleatumシノニム。中国名は章魚蘭(タコラン)。
  ホンジュラス リンコレリア・ディグビアナ Rhyncholaelia digbyana
 
かつてブラッサボラ属に分類されていたので、現在もブラッサボラ・ディグビアナの方が通りが良い。1969年11月25日の政令第95号でそれまで国花だったバラに取って変わった。
  メキシコ ダリア Dahlia
 

南アメリカ 編集

  アルゼンチン セイボErythrina crista-galli
 
ceibo標準和名はアメリカデイゴ。
  ウルグアイ
  エクアドル バラ Rose
 
チュキラグア Chuquiraga jussieui
 
キク科の1種。
リカステ・スキンネリ Lycaste skinneri
 
国樹 アカキナノキ Cinchona pubescens
 
マラリヤの特効薬キニーネの原料。
  ガイアナ オオオニバス Victoria amazonica
 
  コロンビア カトレヤ・トリアナエ Cattleya trianae
 
カトレヤの1種。
アラビカコーヒーノキ[25]Coffea arabica
 
  スリナム ファヤロビIxora macrothyrsa
 
画像募集中
Faja lobi現地の言葉で激しい愛を意味する。アカネ科サンタンカ属の1種。
  チリ コピウエ(ラパゲリア[26]) Lapageria rosea
 
標準和名ツバキカズラユリ目ツバキカズラ科。
セイボ(アメリカデイゴ[26])Erythrina crista-galli
 
  パラグアイ バンマツリ[27]Brunfelsia hopeana
 
ナス科の1種。
タベブイア・アルゲンテア[27]Tabebuia aureaシノニム: Tabebuia argentea; 和名: ギンヨウノウゼン
 
トケイソウ Passiflora
 
果実はパッションフルーツの名で取引されている。
  ブラジル 国樹ブラジルボクCaesalpinia echinata
 
ブラジルという国名の由来となった染料、蘇芳(ブラジリン)を産する木。1978年12月7日成立した第6607号法により国樹に制定された。
歴史イペー・アマレーロ Yellow ipe
 
Ipe-amarelo ポルトガル語で黄色いイペーの意。ノウゼンカズラ科タベブイア属英語版中で黄色の花を咲かせる7種ほどを指す。これらを国花とする法案が1950年代に国会に提出されたが結局成立しなかった。画像はコガネノウゼンHandroanthus chrysotrichus; シノニム: Tabebuia chrysotricha)。
イペー(Ipê[25][28]) Handroanthus impetiginosus
 
桃色の花を咲かすことから、近縁種と区別してIpê-rozo、Ipê-rosa(モモイロイペー)とも[28]タヒボの名で薬用植物としても知られる。
カトレヤ Cattleya, Laelia purpurata など
 
ブラジル産のカトレヤ属とその近縁種で、種小名まで定めない。画像は Laelia purpurata
  フランス領ギアナ セイヨウスイレン Nymphaea alba
 
 
盾章の下部に3花が描かれている。
  ベネズエラ 国樹イエロー・トランペットツリー[29] Handroanthus chrysanthus(シノニム: Tabebuia chrysantha; 和名: キバナノウゼン
 
タベブイア・パリダ[25] Tabebuia pallida
 
フロール・デ・マヨCattleya mossiae
 
Flor de Mayo スペイン語で5月の花(メイフラワー)の意。カトレヤの1種。
カタセツム・ピレアヌムCatasetum pileatum
 
  ペルー ヒマワリ[27]Helianthus annuus
 
カンツータCantua buxifolia
 
ハナシノブ科の1種。現地では「魔法の花」「インカの聖なる花」などと呼ばれる。
  ボリビア

オセアニア 編集

  オーストラリア[30] ゴールデン・ワトル英語版 [注 12] Acacia pycnantha
 
アカシアの1種。
  キリバス なし
  クック諸島 タヒチアン・ガーデニア Gardenia taitensis
 
  サモア レッドジンジャー Alpinia purpurata
 
  ソロモン諸島 なし
  ツバル なし
 
ただし国章はバナナの葉で囲われている。
  トンガ ヘイララ Garcinia sessilis
 
Heilala オトギリソウ科フクギ属の1種。マンゴスチンの仲間。トンガでは国王の誕生日にあわせヘイララ・フェスティバルが開催される。
  ナウル なし インドソケイ Purumeria frangipani だとする資料もあるが根拠が示されていなし
  ニュージーランド コーファイ Sophora microphylla
 
kowhaiマオリ語で黄色を意味する。マメ科の1種で標準和名はハナミエンジュ
国樹 シルバー・ファーン Cyathea dealbata
 
英名 Silver Fern Tree, マオリ語名 Ponga(ポンガ)。
レプトスペルマム 和名はギョリュウバイ(御柳梅/魚柳梅)。
コル koru
 
 
未だ展開しきらない渦巻状のシダの新芽を指すマオリの言葉。種指定をしない、外見形状からの指定。
  バヌアツ なし
  パプアニューギニア ラン Orchidaceae
 
ファレノプシス、デンドロビューム、バンダ、パフィオペディラム、など多くのランはパプアニューギニアが原産。画像はファノレプシスのタイプ種 Phalaenopsis amabilis
スイレン Nymphaea
 
画像はニューギニア原産の N. gigantea
ハイビスカスHibiskus rosa-sinensis
 
  パラオ ルー Bikkia palauensis
 
画像募集中
 
Rueアカネ科の1種。左は近縁の Bikkia philippinensis
  フィジー タンギモウジア Medinilla waterhousei
 
画像募集中
tahng-ee-mow-theea ノボタン科の1種。フィジー国内でもタベウニ島の山中標高800〜1,000m辺りにしか産しない稀少固有種。
カトレア Cattleya
 
画像はカトレヤのタイプ種 Cattleya labiata
  フランス領ポリネシア ティアレ Gardenia Taitensis
 
Tiareクック諸島のそれと同じ。
  マーシャル諸島 ハテルマギリ Guettarda speciosa
 
アカネ科の1種。日本でも八重山諸島に自生。
  ミクロネシア 国花に関する定めはない [31]

注釈 編集

  1. ^ 北朝鮮には国花以上の政治的な意味を持つ花として指導者の名を冠した金日成花金正日花という花卉がある。
  2. ^ プルーンアンズアーモンドジャスミンなど。
  3. ^ 8月の第2日曜日は「メロンの日」と定められているが、メロンは国花とはみなされていない模様。
  4. ^ トルクメニスタンの国旗にはオリーブの枝が記されているが、これは同国が国際連合から「永世中立国」に認定されたのを記念する形で設けられたものであり、同国の国花には定められていない。
  5. ^ これらの他に日本国政府を表す意味で花とを図案化した桐花紋を用いる政府機関があるが、の花そのものを国花として扱うことはない。
  6. ^ 1997年  ザイールから現国名に変更。
  7. ^ その他バラ Rose、アザレア Rhododendron simsii cv、シクラメン Cyclamen persicumなども国花とされるがどれもデージーのような根拠がない。
  8. ^ イタリア語のMargherita(マルゲリータ)はマーガレットも指すが、むしろヨーロッパに自生し古くから馴染みのあるデージーを指す。余談だがイタリア国旗と同じ配色を特徴とするピッツァ、マルゲリータも彼女に因む。
  9. ^ 巷説によると、即位の直前ヴィルヘルムはナポレオン3世を戦いで破っており、その際幼少の頃若くして亡くなった母后ルイーゼとの思い出(ナポレオン軍にベルリンを追われ、そこからの逃亡の途上ルイーゼがヴィルヘルムの頭にこの花で編んだ冠を被せ、この花が咲き乱れる畑に静かに隠れるように諭したことがあったとされる)を追憶したので選ばれたこととされている。しかし公的には、花色が当時のプロシア軍服と同じ色だったから、と、なっている。また当時の作家テオドール・フォンターネは、単にヴィルヘルムの個人的嗜好によるものとしている。
  10. ^ 矢車菊がシンボルになったのは大量に犠牲者がでた第一次世界大戦の後であり、退役軍人や戦争の犠牲者や孤児を象徴するものだった。2次大戦戦勝記念日の祭日のときは、フランス語版Googleのトップページには矢車菊の花がついている。矢車菊の花がフランスを表していることがあり、スポーツでも国を代表する選手たちは矢車菊のマークを付けていることが多い。
  11. ^ フランスではフランス菊の事をマーガレットと呼ぶ。
  12. ^ 妻鹿(1990) p.146 ではフサアカシア Acacia dealbata としているが誤記のようである。同資料では他にユーカリ Eucalyptus、プロテア・スペキオパ Protea speciopaも国花としているが、それらをオーストラリア国花とする資料は他に見当たらなし。

出典 編集

  1. ^ a b 妻鹿(1990) p.34
  2. ^ Keputusan Presiden No. 4 Tahun 1993 Tentang:Satwa Dan Bunga Nasional”. 2012年4月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年1月7日閲覧。
  3. ^ 妻鹿(1990) p.18
  4. ^ ROYAL DECREE on Designation of Animals and Plants as National Symbols of the Kingdom of Cambodia”. Forestry Administration of Cambodia. 2012年12月19日閲覧。
  5. ^ 妻鹿(1990) p.23
  6. ^ 中國的國花是牡丹?告訴你這是一個錯誤的認識”. 2012年12月11日閲覧。
  7. ^ 妻鹿(1990) p.36
  8. ^ 小学館デジタル大辞泉「国花」”. 2012年12月22日閲覧。
  9. ^ Constitution of Bangladesh – Chapter I”. 2008年3月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年12月19日閲覧。
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  12. ^ https://es.ucoin.net/coin/andorra-2-centims-2002/?tid=52059
  13. ^ a b 妻鹿(1990) p.70
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  18. ^ National Rose Garden (英語)
  19. ^ 妻鹿(1990) p.110
  20. ^ National Flower
  21. ^ Facts about the Soufriere Tree
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  23. ^ エイダン・ウォーカー 編『世界木材図鑑』乙須敏紀 訳、産調出版、2006年、65頁。ISBN 4-88282-470-1(原書: The Encyclopedia of Wood, Quarto, 1989 & 2005.)
  24. ^ El Madroño, Arbol Nacional - Nicaragua Educa. 2019年5月23日閲覧。
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  27. ^ a b c 妻鹿(1990) p.116
  28. ^ a b 坂崎信之著『トロピカル・ガーデニング・マニュアル 日本で育つ熱帯花木植栽事典』アボック社、1998年5月10日、987-988頁、ISBN 4-900358-44-4
  29. ^ コリン・リズデイルスペイン語版、ジョン・ホワイト、キャロル・アッシャー 著、杉山明子、清水晶子 訳『知の遊びコレクション 樹木』新樹社、2007年、333頁。ISBN 978-4-7875-8556-1(原書: Eyewitness Companions: Trees, Dorling Kindersley, London, 2005.)
  30. ^ Australia's Floral Emblem”. Australian National Botanic Gardens. 2012年12月19日閲覧。
  31. ^ 在日本ミクロネシア連邦大使館 ミクロネシア連邦概況 3ページから。

参考文献 編集

関連項目 編集