土系舗装(どけいほそう)とは、天然のと、それらの粒子を結合する結合剤との混合物により構成される舗装。一般的なコンクリートアスファルトを主とした舗装とは異なる特性を持つ。

土系舗装の施工例
(参考)施工前の状態

特徴 編集

土系舗装は天然の土壌が持つ弾力性や保水性を残しており、衝撃の吸収や路面温度の安定化に寄与する舗装である。特に路面温度の上昇を抑える効果が高く、ヒートアイランド現象の対策として注目されている。また周囲の自然環境に調和しやすいため、公園遊歩道、歴史的建造物の周囲など景観を重視する用途でも採用されている。

使用される土および砂と結合剤の組み合わせにより、用途に応じて様々な種類がある。土は他所から持ち込まれる(客土)場合と、現地で採掘されたものが使われる場合とがある。使われる土は真砂土などである[1][2]。また、産業廃棄物リサイクル素材から作られているものもある[3]。結合材としてはセメント系、アスファルト系、石灰系、樹脂系の他、酸化マグネシウムなども使われる[4]ゼオライトを混合して強度を調節する場合もある[2]

利点・欠点 編集

土系舗装の利点は、前述の特徴の通り衝撃吸収性が高く、歩行者に優しいことである。自然環境にも調和し、舗装に要するコストも低い[5][6]。硬化速度が速く、30分程度で硬化するものもあり、施工後の養生日数を短縮できる[3]。施工や後の維持管理に要求される技術レベルも比較的低い[3]

欠点としては、舗装面の強度がコンクリートやアスファルト等に比べて劣るため磨耗しやすく、環境変化や経年変化に弱い点が挙げられる[5]。特に舗装面の剥離が起こると、利用者の心理的要素も含めて歩き心地が大幅に低下する[5]。強度上の理由から、一般に土系舗装は車両の通行には適さない[3][1][2]。また豪雪地帯や、頻繁に路面が凍結する地方では土系舗装が向かない場合がある[2]。これは舗装の透水性が高く、間隙水凍結の影響を受けやすいためである。

施工時の注意点としては、雨天や降雪を避けること[3][2]、凍結するほどの低温では施工に支障をきたすこと[1][2]、施工できる法面の面積や斜度に限界があること[1][2]などがある。

用途 編集

整地や雑草対策を目的として使われる[注 1]。公園や遊歩道の舗装の他、運動場競技場サイクリングロードなど屋外のスポーツ施設の整備にも利用される。防草目的では道路の中央分離帯にも使われる。またガーデニングDIYの一環として、個人宅の庭や周囲に施工されることもある[7]。個人用途のものは「固まる土」などの名称で販売されている。

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ ただし草種によっては防げない。

出典 編集

  1. ^ a b c d NETIS TH-040023
  2. ^ a b c d e f g NETIS QS-070010
  3. ^ a b c d e NETIS HR-060005
  4. ^ 小松崎孝志、松田豊「酸化マグネシウム系固化材による土系舗装」『地盤工学会誌』第58巻第4号、2010年、34-5頁。  CiNii
  5. ^ a b c 佐藤ら(2002)
  6. ^ 川上・久保(2008)
  7. ^ 住まい自分流 庭まわりスッキリ 固まる土 - NHKアーカイブス

参考文献 編集

  • 『舗装施工便覧』(社)日本道路協会 舗装設計施工小委員会 PDF
  • 佐藤研一、三宅秀和、川上貢、佐藤雅治「土系舗装体の耐久性と歩き心地に関する研究」(PDF)『土木学会舗装工学論文集』第7巻、2002年、11:1-11:8。 
  • 川上篤史、久保和幸「歩行者に優しい舗装・土系舗装について」『道路』第805巻、2008年、22-5頁、NAID 40015923727 
  • HR-060005 永土<白山>土系防草舗装材 - NETIS 新技術情報提供システム
  • TH-040023 防草土 「エコグローブ」練り工法 - NETIS 新技術情報提供システム
  • QS-070010 土路コン 景観土舗装 - NETIS 新技術情報提供システム

関連項目 編集

外部リンク 編集