土運車(どうんしゃ)は、 貨車の車種の一つである。

概要 編集

土砂運搬用の貨車であり、線路の路盤工事などに使われる。基本的には事業用貨車であるが、砂利輸送に使われることもあった。

日本国有鉄道(国鉄)における記号は登場時は(つち)の「ツチ」であったが、1911年明治44年)の形式称号規程改正で「」となり、1928年昭和3年)の形式称号規程改正で、砂利(じゃり)の「」となった。

初期の土運車の外観は無蓋車に類似したものであるが、荷台、アオリ戸の高さが低いものが分類されていた。1921年(大正10年)に登場したリ2000形は荷卸しの便宜を図るため、左右に傾斜可能とした。土運車として最後の形式となったリム300形も同様の構造を踏襲している。

黎明期はどの鉄道でも土運車を保有していたが、土砂の運搬に特化したホキ100形の登場でホッパ車への移行が進んだほか、ダンプトラック土木機械の発達、さらには法規上機械扱いになる保線車輛への移行が進み、国鉄に在籍する車両は1985年(昭和60年)までに全廃され、現存しない。

主な形式 編集

参考文献 編集

  • ネコ・パブリッシングレイルマガジン吉岡心平「保存版 記号別貨車図鑑」1996年2月号 vol.149
  • イカロス出版『J-train』吉岡心平「昭和50年の貨車情勢」2008年 Vol.31
  • 貨車技術発達史編纂委員会 編「日本の貨車―技術発達史―」2008年、社団法人 日本鉄道車輌工業会刊
  • 秀和システム 高橋政士・松本正司『貨物列車 機関車と貨車の分類と歴史がわかる本』