地獄の軍団 (アルバム)

キッスのアルバム

地獄の軍団』(Destroyer)は、1976年キッスが発売した、4作目のスタジオ・アルバムである。

地獄の軍団
キッススタジオ・アルバム
リリース
ジャンル ハードロック
レーベル カサブランカ
プロデュース ボブ・エズリン
キッス アルバム 年表
地獄の狂獣 キッス・ライヴ
(1975)
Destroyer
(1976)
地獄のロックファイアー
(1976)
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アリス・クーパーなどを手がけたボブ・エズリンをプロデューサーに迎え、従来のシンプルなロックンロールから脱皮、多重録音によるギター・オーケストレーション、さらに本物のオーケストラの導入、各種のサウンド・エフェクツなど、それまでのキッスにはなかった音楽性の導入に成功し、ドラマティックで重厚なハードロック・アルバムとなった。エズリンは、今までバンドが経験したことのない様々な戦術を導入し、アルバムを今までのキッスのサウンドとはまったく違うアプローチで仕上げることに成功した。
「デトロイト・ロック・シティ」や「狂気の叫び」、「雷神」、「ベス」など、今なおキッスを代表する曲が多数収録されている。

アメリカで即座に85万枚を売り切り、プラチナ・ディスクを獲得した。全米アルバム・チャート11位を記録。

『ローリング・ストーン誌が選ぶオールタイム・グレイテスト・アルバム500』に於いて、489位にランクイン[1]

収録曲 編集

  1. デトロイト・ロック・シティ - Detroit Rock City [5:17] 作詞/作曲:ポール・スタンレーボブ・エズリン
    この後、長きにわたってコンサートのオープニング・ナンバーとして演奏された彼らの代表曲。有名なツイン・リードギターによる中盤のソロ・パートは、メンバーではなくプロデューサーのエズリンによるもの。
  2. 暗黒の帝王 - King Of The Night Time World [3:19] 作詞/作曲:ポール・スタンレー、ボブ・エズリン、キム・フォウリー、マーク・アンソニー
  3. 雷神 - God Of Thunder [4:13] 作詞/作曲:ポール・スタンレー
    もともとはポールが自分で歌うために書いた曲だったが、プロデューサーであるボブ・エズリンに「この曲はジーンが歌うべきだ」と言われたためにジーンが歌うことになった。
  4. 地獄の遺産 - Great Expectations [4:24] 作詞/作曲:ジーン・シモンズ、ボブ・エズリン
  5. 燃えたぎる血気 - Flaming Youth [2:59] 作詞/作曲:エース・フレーリー、ポール・スタンレー、ジーン・シモンズ、ボブ・エズリン
  6. スウィート・ペイン - Sweet Pain [3:20] 作詞/作曲:ジーン・シモンズ
  7. 狂気の叫び - Shout It Out Loud [2:49] 作詞/作曲:ジーン・シモンズ、ポール・スタンレー、ボブ・エズリン
    Aメロはポール、Bメロはジーンがヴォーカルをとる、イントロとサビのメロディが有名な曲。
  8. ベス - Beth [2:45] 作詞/作曲:ピーター・クリス、スタン・ペンリッジ、ボブ・エズリン
    ヴォーカルはピーター。最初に書き上げられた時点では“Beck”というタイトルだったが、ジーンが「女の子の名前にすべきだ」と提案したためにこのタイトルとなった。
  9. ドゥ・ユー・ラヴ・ミー - Do You Love Me [4:57] 作詞/作曲:ポール・スタンレー、ボブ・エズリン、キム・フォウリー
    アメリカのバンド、ニルヴァーナがライブで演奏したほか、デフ・レパード加入前のフィル・コリンが在籍したガール英語版がカヴァーした。
  • トラック10にRock And Roll Party(曲ではない。当初は"Rock'n Roll Demon"のタイトルも)が収録されている。

エピソード 編集

  • 体系的な音楽教育を受けたことのないキッスのメンバーにとって、ボブ・エズリンとのレコーディング作業は非常に高度で厳しいものであった。ポール・スタンレーは後に、「あのレコーディングはBootcamp(新兵訓練)だった」と述べたが、同時に「あれのおかげで相当に経験を積むことができた」と述懐している[2]ジーン・シモンズも「俺たちにはまさに当時、それが必要だったんだ」と述べた[3]
  • リードギタリストのエース・フレーリーは、エズリンが描いたプランどおりにプレイせず、スタジオ内でしばしばエズリンと対立した。散々ゴネてふてくされたエースに業を煮やしたエズリンは、お抱えのセッション・ギタリストディック・ワグナーアリス・クーパーの片腕)をスタジオに呼び、「リードギターを交替させる」と脅したため、エースはやっと言うことをきくようになった。しかし、「燃えたぎる血気」のアコースティック・ギターと「スウィート・ペイン」のリードギターはワグナーが演奏したものに差替えられた。この結果、本作はメンバーの4人以外のミュージシャンの演奏が収められた初のアルバムとなった。

脚注 編集

  1. ^ Kiss, 'Destroyer' - 500 Greatest Albums of All Time | Rolling Stone - 2014年8月19日閲覧
  2. ^ Leaf and Sharp, Behind the Mask, p. 252.
  3. ^ Gill, Kiss Album Focus, p. 188.

外部リンク 編集