多摩境駅

日本の東京都町田市小山ヶ丘にある京王電鉄の駅

多摩境駅(たまさかいえき)は、東京都町田市小山ヶ丘三丁目にある、京王電鉄相模原線である。京王相模原管区所属。駅番号KO44

多摩境駅
多摩境駅西口 B2出口(2017年4月撮影)
たまさかい
Tamasakai
KO43 南大沢 (1.9 km)
(2.5 km) 橋本 KO45
地図
所在地 東京都町田市小山ヶ丘三丁目23番地
北緯35度36分7秒 東経139度22分1秒 / 北緯35.60194度 東経139.36694度 / 35.60194; 139.36694 (多摩境駅)座標: 北緯35度36分7秒 東経139度22分1秒 / 北緯35.60194度 東経139.36694度 / 35.60194; 139.36694 (多摩境駅)
駅番号 KO44
所属事業者 京王電鉄
所属路線 相模原線
キロ程 20.1 km(調布起点)
新宿から35.6 km
駅構造 地上駅
ホーム 2面2線(有効長210m)
乗降人員
-統計年度-
[京王 1]19,389人/日
-2022年-
開業年月日 1991年平成3年)4月6日[1]
テンプレートを表示

京王電鉄の駅で唯一町田市に所在する。また、2022年現在京王電鉄で最も新しい駅でもある。

歴史 編集

駅開設までの経緯 編集

当時の京王帝都電鉄は、京王多摩センター駅 - 橋本駅間の延伸に際し、由木平駅(現・南大沢駅)のみを設置することを計画していた。しかし、由木平駅 - 橋本駅間の線路経由ルートが900m程度町田市内を通過することから、1982年に町田市長が「町田市内駅」設置を要望し、1983年1月14日、京王帝都と町田市の話し合いが行われた[4]

この席上で京王は「延伸時、中間駅は由木平駅のみ設置する。トンネル(現・南大沢トンネル)を出たところに土工区間があるが、この区域は、多摩ニュータウンの事業認可未了区域であり、この地に駅を設置するとなると、ニュータウン鉄道の新線建設という性格から外れることから、京王側が350億円も支出しなければならない」「ニュータウンの開発事業区域となれば、駅舎建設費15億円で済むことから、小山駅(多摩境駅のことを指す)の開設の可能性はある」と表明し、場合によっては駅開設も有り得るとした。

これに対し、町田市は、1983年5月の町田市議会にて、「鉄道事業者(京王)の責任において小山駅を設置すること。相模原線開業と同時に小山駅を開設すること」という決議をするなどし、その後1985年5月30日、東京都南多摩開発計画会議にて、多摩ニュータウンの土地区画整理事業地区内の駅として開設が決定した。但し、費用負担については別に協議することが相原・小山地区開発協議会の中で整理された[4]

なお、町田市議会の決議では、路線開業と同時に駅開設となっていた。しかし、駅開設が南大沢駅 - 橋本駅間延伸の翌年となっている。これは、京王では相模原線をニュータウン新線として建設したことに起因する。ニュータウン鉄道等整備事業費補助制度では建設費の補助対象がニュータウン事業区域から出て1駅目までに限られており、ニュータウン外にある当駅を最初から設置した場合、多摩境駅 - 橋本駅間を補助金なしで建設するということになる。そのため、当初は当駅をあえて設置せずに、橋本駅まで一気に建設・開業させ、当駅は遅れての開設となった。当時の京王相模原線の経営採算性を加味して、地元からの請願駅として位置づけられており、京王の負担を極力抑えている[4]

駅名の由来 編集

多摩ニュータウンの境であること、東京都(多摩)と神奈川県相模)の境であること、駅の近くに境川が流れていることから、「多摩境」となる[5]。なお、当地は一時期「堺村」に属した。

駅開設当時の所在地名の「小山町」から「京王小山」にすべき等と、駅名決定までもめた経緯がある。こうした経緯から、計画当時に策定された西口広場に通じるアクセス道路は町田都市計画道路3・4・45号京王小山駅西口線として整備された[6][7]。その後、多摩ニュータウンにおける町田市域の土地区画整理事業地区としての街開きが行われた際、当該地の地名が「小山ヶ丘」に改められた[8]

駅構造 編集

相対式ホーム2面2線の地上駅で、橋上駅舎を有する。南大沢寄りは掘割になっており、南大沢トンネルに通じている。橋本寄りは高架である。駅開業時から駅構内にエスカレーターは設置されていたが[1]、駅構内エレベーターは開業から11年後の2002年に設置された[2]

1997年に整備された西口ロータリーの人工地盤直下はピロティになっており、吹き抜けの中央部分には星野敦作「地球断面-森のスポット-」というモニュメントが設置されている[9]ほか、地域で水害が発生した際には避難者を他地区の避難施設へバス等で輸送する際の集合場所に指定されている[10]

2011年9月頃より駅改札の天井部に液晶モニターが設置された。これにより従来までは改札を通りホームに降りてからしか確認できなかった、時刻表や運行情報などが、改札前から確認できるようになった。以前は改札外に売店「A LoT」が存在したが、2022年8月に閉店以降は駅構内に店舗は存在しない(ATMを除く)

のりば 編集

番線 路線 方向 行先
1   相模原線 下り 橋本方面
2 上り 京王多摩センター調布明大前笹塚新宿  都営新宿線方面

駅構内設備 編集

駅出口 編集

改札外は構造上、地下駅のようになっており、複数の出口が存在する。

  • 東口(A1、A2出口)
  • 西口(B1、B2、町田街道方面、多摩ニュータウン通り方面出口)

※バス・タクシーロータリーは、B1・B2出口が最寄りである。B2出口には2017年4月にエレベーターが設置された[3]

利用状況 編集

2022年度の1日平均乗降人員19,389人である[京王 1]。開業から毎年利用客が増加しており、開設当時に比べ約10倍の利用者になっている。

周辺街づくりの開発スタンスが土地区画整理事業のみで異なっており、大規模集合住宅が少ないことから、他の多摩ニュータウン内の駅に比べると、ゆっくりとした増加傾向を示している。駅勢エリアには住宅だけではなく、米国流大規模量販店や事業所団地(まちだテクノパーク)、教育施設等を取り込んで多角的な開発が行われている。

開業以来の乗降人員および乗車人員の推移は下記の通り。

年度別1日平均乗降・乗車人員[統計 1][統計 2][統計 3]
年度 1日平均
乗降人員
1日平均
乗車人員
出典
[備考 1]1991年(平成03年) 1,560 500 [東京都統計 1]
1992年(平成04年) 2,365 [東京都統計 2]
1993年(平成05年) 2,947 1,140 [東京都統計 3]
1994年(平成06年) 3,570 1,441 [東京都統計 4]
1995年(平成07年) 3,807 1,568 [東京都統計 5]
1996年(平成08年) 3,927 1,668 [東京都統計 6]
1997年(平成09年) [京王 2]4,196 1,784 [東京都統計 7]
1998年(平成10年) [京王 3][注 1]4,464 2,000 [東京都統計 8]
1999年(平成11年) [京王 3]4,919 2,230 [東京都統計 9]
2000年(平成12年) [京王 4]5,991 2,797 [東京都統計 10]
2001年(平成13年) [京王 5]7,570 3,578 [東京都統計 11]
2002年(平成14年) [京王 6]8,763 4,195 [東京都統計 12]
2003年(平成15年) [京王 7]10,727 5,158 [東京都統計 13]
2004年(平成16年) [京王 8]11,987 5,795 [東京都統計 14]
2005年(平成17年) [京王 9]14,602 7,047 [東京都統計 15]
2006年(平成18年) [京王 10]15,565 7,471 [東京都統計 16]
2007年(平成19年) [京王 11]16,264 7,981 [東京都統計 17]
2008年(平成20年) [京王 12]16,526 8,156 [東京都統計 18]
2009年(平成21年) [京王 13]16,678 8,247 [東京都統計 19]
2010年(平成22年) [京王 14]17,183 8,507 [東京都統計 20]
2011年(平成23年) [京王 15]17,184 8,497 [東京都統計 21]
2012年(平成24年) [京王 16]17,582 8,723 [東京都統計 22]
2013年(平成25年) [京王 17]18,471 9,153 [東京都統計 23]
2014年(平成26年) [京王 18]18,945 9,395 [東京都統計 24]
2015年(平成27年) [京王 19]19,730 9,768 [東京都統計 25]
2016年(平成28年) [京王 20]20,226 10,038 [東京都統計 26]
2017年(平成29年) [京王 21]20,487 10,164 [東京都統計 27]
2018年(平成30年) [京王 22]20,587 10,214 [東京都統計 28]
2019年(令和元年) [京王 23]20,530 10,169 [東京都統計 29]
2020年(令和02年) [京王 24]16,147 8,022 [東京都統計 30]
2021年(令和03年) [京王 25]17,891 8,978 [東京都統計 31]
2022年(令和04年) [京王 1]19,389
備考
  1. ^ 1991年4月6日開業。

駅周辺 編集

周辺は多摩ニュータウンの町田市域唯一の開発区域となっており、「町田グランネットタウン」の名称で東京都主導の土地区画整理事業が行われた。従来からの緑豊かな環境を保全しながら住宅のほか、商業、業務、リクリエーション、教育、文化情報等の諸施設がバランスよく立地すべく開発誘致が進んでいる。

 
京王多摩境駅前ビル
商業施設
公園
  • 小山内裏公園
  • 小山多摩境公園
  • 小山白山公園
  • 小山上沼公園
  • 三ツ目山公園
  • 小山片所谷戸緑地
学校
公共施設
  • 町田西郵便局
  • 町田市子どもセンターぱお分館 WAAAO(わーお)- 高層マンション「ゲートヒルズ多摩境パークフロント」3階。アクロス多摩境の跡地の一部に建設。
  • 町田市小山市民センター
  • 町田市子どもクラブさん
その他

バス路線 編集

当駅を発着する一般路線バス神奈川中央交通が運行している。また京王バス深夜急行バスを運行しているが、全て降車扱いのみで当駅での乗車はできない。

駅開業当初は、駅舎南側に暫定バス乗り場を設置(当時は町60系統のみ)していたが[11]、1997年5月に現在の西口ロータリーが整備され、バス乗り場が全面移転した。

神奈川中央交通
1番のりば
橋76 神奈中多摩車庫
町60 市民病院前 町田バスセンター(朝のみ)
市民病院前 町田ターミナル
2番のりば
橋73
橋76
三ツ目山公園 橋本駅北口行
町60 田端・堂の前 橋本駅北口行
  • 橋73系統は土休日のみ運行で、当停留所始発である。
  • 町60系統は1時間に1本のみ運行されるが、当停留所を経由しない町30系統の利用も可能である。最寄りの「坂本橋」バス停より当駅西口迄、徒歩8~9分程度。
  • この他に神奈川中央交通が周辺企業と契約して、駅と企業間を往復する従業員専用無料送迎バスがバスロータリー内で乗降を行う。
京王バス

下記の路線が乗り入れているが、平日深夜のみ運行で当停留所では乗車できない。2011年5月9日から乗り入れ開始。

新型コロナウイルス感染症対策の影響で、2020年4月13日から全便運休となっている。

隣の駅 編集

京王電鉄
  相模原線
特急・急行
通過
区間急行・快速・各駅停車
南大沢駅 (KO43) - 多摩境駅 (KO44) - 橋本駅 (KO45)

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 京王電鉄が2000年度に発表した資料の数値。1999年度発表のものは、「4,504人」となっている。

出典 編集

  1. ^ a b c 『広報まちだ』第926号、町田市、1991年4月1日。 
  2. ^ a b 京王線多摩境駅・小田急線鶴川駅にエレベーターが設置されました」(PDF)『広報まちだ』、町田市、2002年4月11日、2021年5月26日閲覧 
  3. ^ a b 多摩境駅駅前広場のエレベーターが完成”. 町田市 (2017年4月28日). 2021年5月26日閲覧。
  4. ^ a b c 『多摩ニュータウン相原・小山土地区画整理事業誌』東京都多摩ニュータウン整備事務所、2005年、19頁。 
  5. ^ 京王電鉄株式会社広報部 編『京王電鉄五十年史』京王電鉄、1998年、143頁。 NCID BA39950205 
  6. ^ 『多摩ニュータウン相原・小山土地区画整理事業誌』東京都多摩ニュータウン整備事務所、2005年、21頁。 
  7. ^ 町田都市計画道路3・4・45”. 地図情報まちだ. 2023年12月7日閲覧。
  8. ^ 小山ヶ丘一~六丁目(2004年4月1日)”. 町田市. 2020年11月22日閲覧。
  9. ^ まちダネ!カルチャー編 Archived 2015年11月19日, at the Wayback Machine.町田市
  10. ^ 指定避難広場(避難場所)一覧(水害時)[リンク切れ]町田市
  11. ^ 『広報まちだ』第928号、町田市、1991年4月21日。 
私鉄の統計データ
  1. ^ レポート”. 関東交通広告協議会. 2023年6月20日閲覧。
  2. ^ 町田市統計書”. 町田市. 2023年6月20日閲覧。
  3. ^ 東京都統計年鑑”. 東京都. 2023年6月20日閲覧。
京王電鉄の1日平均利用客数
  1. ^ a b c 京王電鉄株式会社. “1日の駅別乗降人員”. 2023年6月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
  2. ^ 京王電鉄株式会社. “鉄道事業の概況”. 2000年10月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
  3. ^ a b 京王電鉄株式会社. “鉄道事業の概況”. 2001年7月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
  4. ^ 京王電鉄株式会社. “1日の駅別乗降人員”. 2002年10月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
  5. ^ 京王電鉄株式会社. “1日の駅別乗降人員”. 2003年8月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
  6. ^ 京王電鉄株式会社. “1日の駅別乗降人員”. 2004年8月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
  7. ^ 京王電鉄株式会社. “1日の駅別乗降人員”. 2005年8月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
  8. ^ 京王電鉄株式会社. “1日の駅別乗降人員”. 2006年4月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
  9. ^ 京王電鉄株式会社. “1日の駅別乗降人員”. 2006年12月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
  10. ^ 京王電鉄株式会社. “1日の駅別乗降人員”. 2008年4月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
  11. ^ 京王電鉄株式会社. “1日の駅別乗降人員”. 2008年12月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
  12. ^ 京王電鉄株式会社. “1日の駅別乗降人員”. 2009年12月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
  13. ^ 京王電鉄株式会社. “1日の駅別乗降人員”. 2010年7月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
  14. ^ 京王電鉄株式会社. “1日の駅別乗降人員”. 2011年8月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
  15. ^ 京王電鉄株式会社. “1日の駅別乗降人員”. 2012年7月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
  16. ^ 京王電鉄株式会社. “1日の駅別乗降人員”. 2013年7月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
  17. ^ 京王電鉄株式会社. “1日の駅別乗降人員”. 2014年7月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
  18. ^ 京王電鉄株式会社. “1日の駅別乗降人員”. 2015年7月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
  19. ^ 京王電鉄株式会社. “1日の駅別乗降人員”. 2016年8月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
  20. ^ 京王電鉄株式会社. “1日の駅別乗降人員”. 2017年7月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
  21. ^ 京王電鉄株式会社. “1日の駅別乗降人員”. 2018年7月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
  22. ^ 京王電鉄株式会社. “1日の駅別乗降人員”. 2019年5月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
  23. ^ 京王電鉄株式会社. “1日の駅別乗降人員”. 2020年8月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
  24. ^ 京王電鉄株式会社. “1日の駅別乗降人員”. 2021年8月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
  25. ^ 京王電鉄株式会社. “1日の駅別乗降人員”. 2022年6月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
東京都統計年鑑

関連項目 編集

外部リンク 編集