大いなる遺産

チャールズ・ディケンズの小説

大いなる遺産』(おおいなるいさん、原題:Great Expectations)は、イギリスの文豪チャールズ・ディケンズ長編小説1860年から1861年にかけてディケンズ自らが編集を行った週刊雑誌『All the Year Round』の誌上において発表された。ディケンズの代表作である。

大いなる遺産
Great Expectations
初版本のタイトルページ
初版本のタイトルページ
著者 チャールズ・ディケンズ
訳者 山西英一ほか
ジャンル 教養小説
イギリスの旗 イギリス
言語 英語
ウィキポータル 文学
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概要 編集

孤児である主人公ピップがその少年時代から青春時代を回想のうちに語るといった半自叙伝的な形式を用いており、これはまたディケンズがその経験を元にして書いた半自叙伝的な小説である。

あらすじ 編集

ピップは墓地で脱走した囚人に出会う。彼に頼まれ、食料とヤスリを家から持ち出し彼に与える。また、もう一人別の囚人を見かけたことを彼に教える。その囚人は結局、再びつかまる。

ピップはミス・ハヴィシャムの館に定期的に招かれるようになり、彼女の養女で冷徹な美少女・エステラに焦がれるようになる。義兄ジョーの弟子となった後、ある人物から巨額の遺産(Great Expectations)がもたらされることが判明し、紳士修行のためロンドンへ向かう。ピップは遺産がミス・ハヴィシャムによるものと信じ、エステラの結婚相手として自分を紳士にさせるのではないかと期待する。

登場人物 編集

 
エステラとの出会い(1901年、H.M.Brock画)
  • フィリップ・ピリップ
    愛称はピップ(Pip)
    赤ん坊のうちに両親と死別。姉夫婦と暮らす。
  • ジョー・ガージャリー
    ピップの義兄で、鍛冶屋。妻ジョージアナの尻に敷かれている。
  • ジョージアナ・マライア・ガージャリー
    ピップの姉。
  • ビディ
  • ドルジ・オーリック
  • エイベル・マグウィッチ
    ピップが助けた囚人。偽名はプロヴィス。
  • コンペイソン
  • ミス・ハヴィシャム
  • エステラ
  • マシュー・ポケット
  • ハーバード・ポケット
    ハヴィシャムの館でピップと決闘してのされるが、ロンドンへ来たピップと親友になる。

日本語訳 編集

本作を題材とした作品 編集

映画 編集

これまでに度々映像化されている。

1917年版
サイレント映画、ジャック・ピックフォード主演
1934年版英語版
日本では『脱獄鬼』のタイトルで上映され、その後『大いなる遺産[脱獄鬼]』のタイトルでビデオが発売された[1]
1946年版

アカデミー賞2部門(撮影賞【白黒】美術監督賞・美術装置賞)受賞

1998年版
翻案として舞台を現代アメリカに移している。
2012年版
日本では劇場未公開でWOWOWで放送された[2][3]

テレビ 編集

1974年版英語版
テレビ映画として作られた。劇場公開はされていない。
1989年版英語版
全6回のテレビミニシリーズとして作られた。英国での放映は1991年。
1999年版英語版
テレビ映画として作られた。
本作は高い評価を受けてプライムタイム・エミー賞 作品賞 (ミニシリーズ部門)にノミネートされた。
2011年版英語版
全3回のテレビミニシリーズとして作られた。

舞台 編集

  • 1990年宝塚歌劇団で上演された。

その他 編集

脚注 編集

  1. ^ 脱獄鬼”. allcinema. 2018年7月5日閲覧。
  2. ^ 大いなる遺産”. allcinema. 2018年7月3日閲覧。
  3. ^ 大いなる遺産(2012)”. WOWOW. 2018年6月2日閲覧。