大田文

中世日本において作成された土地台帳

大田文(おおたぶみ)とは、中世日本とくに鎌倉時代単位で作成された国内の公領荘園別の田地面積、所有関係などを記載した文書(土地台帳)。田文(たぶみ)・田数帳(でんすうちょう)・田数目録(でんすうもくろく)などの別名がある。

概要 編集

その成立は、一国平均役が導入され、荘園整理令が度々出された11世紀後半から院政期と推定されているが、現存する21種(うち断簡8種)は全て鎌倉時代以後のものである。大田文には大きく分けて2つあり、1つは国司在庁官人に命じて作成されたもの、もう1つは幕府国衙に命じて作成されたものである。前者は役夫工米造内裏役大嘗会役などの一国平均役の賦課のために、後者は地頭補任大番役などの御家人役の賦課のために、作成されて賦課台帳として用いられたと考えられている。作成には国衙にあった検注帳や荘園の立券文書御家人や荘園からの報告を参考にしたとみられている。後には段銭の賦課の台帳としても用いられた。

鎌倉時代、承久の乱後の幕府が作成した土地台帳。義時が国衙に命じて作成され、一国ごとの田畑の面積、公領荘園の区別、荘園領主地頭の名などが記載されていた。これをもとに幕府は地頭の任命や御家人への軍役・番役負担を割り当てた。

参考文献 編集

  • 平郡さやか「大田文」(『日本古代史事典』(朝倉書店、2005年) ISBN 978-4-254-53014-8