大病人』(だいびょうにん)は、1993年日本映画である。

大病人
The Last Dance
監督 伊丹十三
脚本 伊丹十三
製作 玉置泰
出演者 三國連太郎
津川雅彦
宮本信子
音楽 本多俊之
撮影 前田米造
編集 鈴木晄
製作会社 伊丹プロダクション
配給 東宝
公開 日本の旗 1993年5月29日
ドイツの旗 1995年9月2日(OIFF)[1]
上映時間 116分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
配給収入 7億円[2][注 1]
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で余命1年となった男。残りの人生をどう生きるか、どう死ぬかという人間の葛藤を、コメディを交えながら描く。

この作品で日本アカデミー賞において三國連太郎が主演男優賞を、小野寺修が録音賞を受賞した。

あらすじ 編集

老境を迎える大物俳優映画監督の向井武平(三國連太郎)は、に冒された作曲家を自ら演じ、同じ病で妻に先立たれるというストーリーの映画を製作していた。

酒好きで胃薬を常用している向井は、ある日、自身の体の異変に気づき、離婚寸前の妻・万里子(宮本信子)のすすめで、万里子の学生時代の友人である外科医・緒方(津川雅彦)が勤務する病院を受診する。検査の結果、既に末期状態の胃癌であった。緒方から告知を受けた万里子は、緒方とともに本人には告知をしない道を選んだ。ところが、向井は病院内で知り合った患者仲間(三谷昇)から悲惨な癌患者(高橋長英)の実態を知らされ、自分に抗癌剤点滴されていることに気づく。

向井は激しく緒方をなじり、緒方も向井の扱いに苦悩する。その後、混乱した向井は担当看護婦木内みどり)を口説いたり、愛人である映画の共演女優高瀬春奈)を病室へ連れ込んだり、挙句の果て衝動的に自殺を図ったりするが、緒方たちとの対話を通じて、自らの最期の迎え方を決断する。

キャスト 編集

スタッフ 編集

作品解説 編集

主人公のセリフなど随所に仏教的な死生観が伺われ、実際クライマックスシーンでは、黛敏郎作曲のカンタータ般若心経』が朗唱演奏される。

デジタル合成 編集

主人公が臨死体験を味わうシーンにて、日本映画として初めてデジタル合成が使用された。デジタル合成を担当したのは、当時CM業界で有名であった株式会社白組

  • 主人公が別世界へ引き込まれる背景、洞窟は3DCG
  • 主人公は役者とミッキー3号と命名されたダミーを使い分けている。
  • 少女が頭に被っている麦わら帽子から現れる鳥は、白組で飼育された本物の鳥(ギンパラ)をブルーバックで重ね撮りし、合成。
  • 断崖絶壁のシーンではギアナ高地エンジェルフォールの写真素材を基にデジタルマットペイントされたもの。
  • デジタル合成で使用されたソフトは、白組のインハウスソフトと、Adobe社のAfter Effects及びPhotoshopを使用。

エピソード 編集

関連書籍 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ キネマ旬報1994年2月下旬号では配給収入6.5億円となっている[3]

出典 編集

  1. ^ The Last Dance (1993)”. IMDb(Release Info). Amazon.com. 2020年7月8日閲覧。
  2. ^ 大高宏雄伊丹映画の新たな展開」『日本映画逆転のシナリオ』WAVE出版、2000年4月24日、144頁。ISBN 978-4-87290-073-6https://books.google.co.jp/books?id=JKFtAAAACAAJ&redir_esc=y&hl=ja 
  3. ^ 「1993年度日本映画・外国映画業界総決算 日本映画」『キネマ旬報1994年平成6年)2月下旬号、キネマ旬報社、1994年、155頁。 
  4. ^ 長尾和宏 (2014年5月12日). “《1485》 台湾の事前指示書はひとつではない”. 長尾和宏の町医者だから言いたい!. 2020年11月4日閲覧。
  5. ^ 長尾和宏 (2019年12月6日). “木内みどりさんを悼む”. Dr.和の町医者日記. 日本尊厳死協会. 2020年11月4日閲覧。 “この『大病人』という作品が、台湾がリビングウイルを法的担保にするときの原動力になったのですよ”

外部リンク 編集