天童市(てんどうし)は、山形県東部にある人口約6万2千人の将棋駒温泉の街として知られ、近年は山形市ベッドタウンとして発展している。県内人口5位。1958年(昭和33年)市制施行。

てんどうし ウィキデータを編集
天童市
舞鶴山山頂にある王将
天童市旗 天童市章
天童市旗
1989年12月13日制定
天童市章
1963年4月1日制定
日本の旗 日本
地方 東北地方
都道府県 山形県
市町村コード 06210-3
法人番号 9000020062103 ウィキデータを編集
面積 113.02km2
総人口 60,751[編集]
推計人口、2024年3月1日)
人口密度 538人/km2
隣接自治体 山形市東根市寒河江市東村山郡中山町西村山郡河北町
市の木 モミジ
市の花 ツツジ
市の鳥 ホオジロ
天童市役所
市長 山本信治
所在地 994-8510
山形県天童市老野森一丁目1番1号
北緯38度21分44秒 東経140度22分42秒 / 北緯38.36211度 東経140.37844度 / 38.36211; 140.37844座標: 北緯38度21分44秒 東経140度22分42秒 / 北緯38.36211度 東経140.37844度 / 38.36211; 140.37844
2006年8月撮影
外部リンク 公式ウェブサイト

天童市位置図

― 市 / ― 町・村

地図
市庁舎位置
ウィキプロジェクト
天童市の街並み
天童温泉の街並み
天童市中心部の空中写真。画像中央の市街地に隣接した山が舞鶴山。市街地の東側を南北に大きく曲線を描いて走るのは国道13号。1976年撮影の11枚を合成作成。
国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成。

地理 編集

自然地理・地形 編集

乱川扇状地立谷川扇状地のほぼ中間に位置し、市全体が山形盆地の中央付近に位置するため、全般的に平坦である。市内東部は奥羽山脈に近いため丘陵部や山地で占められ、山間部の集落も幾つか存在する。市内西部は水田が占めていたが、最近は新興住宅地が連なっている。乱川立谷川は市域の自然境界を為し、これらの河川により東根市山形市と接する。西部は最上川を境に寒河江市に接する。盆地特有の気候であるため、夏と冬、そして1日の寒暖の差が激しい。冬の降雪量は県内では少ないほうである。

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河川 編集

湖沼 編集

社会地理 編集

市のほぼ中心部を、南北にJR奥羽本線国道13号が走る。市街地はそれらの交通の動脈の間にある。また市域中部の国道13号より仙台方面へ向かう国道48号が分岐し、市東部から関山峠を経由して宮城県へ至る。さらに、山形自動車道山形空港なども近く交通の便に恵まれている。

中心市街地のやや南部に舞鶴山があり市域を南北に分けている。舞鶴山は天童城の城址でもあり、山頂では毎年4月下旬にプロ棋士が人間が扮する駒で将棋を指す人間将棋が行われている。また舞鶴山周辺には天童民芸館[注 1]など歴史的な建造物が残る。将棋駒の産地らしく、市内の至る所に将棋のモニュメントがあり、市街地に流れる倉津川にかかる橋には、王将橋、金将橋、銀将橋などそれぞれ将棋の駒の名前がついている。天童駅から徒歩10分程度に天童温泉街がある。

国道48号による仙台市への交通利便性から、仙台都市圏からの観光客が多い反面、天童市からの仙台都市圏山形市域への依存も大きい。また、北隣の東根都市圏との繋がりも深い。山形市による合併協議においても上山市が参加したのに対し天童市は不参加であった。ただし、郊外型店舗の出店も手伝い、天童駅前から温泉街に至る中心市街地は緩やかな空洞化の状態にある。

新興住宅地 編集

県内有数の名刹立石寺に近いこと、位置的に山形県央部にあることなどから、山形県観光の拠点とされることも多く、元来は温泉街を中核とした観光都市の性格が強かったが、近年は宅地化が進んでいる。山形市北部のベッドタウンとして機能し山形都市圏の一翼を担い、人口増加の基調を維持している。

町名 編集

隣接している自治体 編集

 山形県

歴史 編集

江戸時代の歴史については天童藩を参照のこと。

市町村合併の経緯 編集

行政 編集

  • 市長:山本信治(2008年12月26日就任、4期目)

歴代市長 編集

氏名 よみがな 就任年月日 退任年月日
初代 平塚二郎 ひらつか じろう 1958年11月11日 1962年11月11日
2-5代 阿部金蔵 あべ きんぞう 1962年11月12日 1981年9月2日
6代 小座間泰蔵 おざま たいぞう 1981年10月18日 1985年1月15日
7-9代 鈴木雅廣 すずき まさひろ 1985年3月3日 1997年3月2日
10-12代 遠藤登 えんどう のぼる 1997年3月3日 2008年12月25日
13-16代 山本信治 やまもと しんじ 2008年12月26日 現職

産業 編集

特産品 編集

企業 編集

以下は、天童市に本社を置く企業

金融機関 編集

※統一金融機関コード順

郵便 編集

  • 天童郵便局(集配局)
  • 山口郵便局
  • 成生郵便局
  • 天童北久野本郵便局
  • 天童五日町郵便局
  • 天童駅西郵便局
  • 干布郵便局
  • 羽前荒谷郵便局
  • 高擶郵便局
  • 寺津郵便局
  • 蔵増郵便局
  • 天童原町簡易郵便局
  • 長岡簡易郵便局
  • 塚野目簡易郵便局
  • 田麦野簡易郵便局

姉妹都市・提携都市 編集

天童市には、3つの海外姉妹都市[3]、4つの国内相互交流協定都市がある[4]。地名表記、提携の名義は天童市ウェブサイトに従った。

海外 編集

天童で行われている人間将棋と、マロスティカで行われている人間チェスの縁による[3][5]。イタリア人貿易商が天童にマロスティカを紹介したことを契機に、1983年以来交流が行われ、姉妹都市協定締結に至った[5][6]。なお、マロスティカも果樹生産が盛んでサクランボの産地として知られる[5]。相互の市民に表彰を行う制度[注 2]がある[3]
マールボロウはサクランボやブドウ・リンゴなど山形県と共通する果樹栽培が盛んであり[5]、農業を通した交流が縁となっている[3]。1981年以来、天童市は市内の農業後継者を海外研修のためニュージーランドに派遣していたが、とくにマールボロウ地方のブレナム市はしばしば研修地となった[7]。ブレナム市との間で市民相互の訪問・研修など交流が深まり[5]、姉妹都市提携の動きが進められた[7]。なお、ニュージーランドの地方行政改革に伴い、1989年秋にブレナム市と周辺自治体が合併、マールボロウ市が発足した[5]。2005年にはマールボロウ市内に日本庭園が建設された[3]
天童市内の食品加工会社が、1980年代から遼寧省からの研修生の受け入れを行い[8]、1994年には瓦房店市に工場を設立[5][8]。経済を中心とした交流の深まりにより、瓦房店市側から姉妹都市(友好都市)協定の提携を打診[5]。なお、瓦房店市もリンゴ・ブドウ・サクランボ等の果樹産地であり[3]、果樹栽培の技術指導も交流の一環として行われている[3]

国内 編集

網走市議会議員を長らく務め、社会活動に尽力した中川イセ(網走市名誉市民)が天童市出身である縁[4][9]。2002年(平成14年)7月、旧東村山郡役所資料館で開催された「天童が生んだ女性展」で中川が紹介されたことが、自治体間交流の契機となっている[9]
戦国時代の天童の領主であった天童氏天童頼澄)が、天童城の落城後に伊達氏を頼り、多賀城市域に知行地を得た縁[4][10]。多賀城市域には天童氏や天童氏家臣の末裔が多く暮らすという[10]。2008年(平成20年)10月1日には災害時応援協定を結んでおり[10]、2011年(平成23年)の東日本大震災では多賀城市に対する支援が行われた[10]
江戸時代末期、現在の天童市域にあった8か村が土浦藩領だったことなどが縁[4]東村山郡#歴史参照)。
江戸時代末期、現在の天童市域にあった10か村が館林藩領だったことなどが縁[4][11]

その他の広域提携等 編集

織田信長サミット
江戸時代後期から廃藩置県までの約100年間、織田家が天童藩主を務めたことを縁として、天童市は織田信長にゆかりのある市町の集まりである織田信長サミット(1984年発足)に参加している[12]。1987年(昭和62年)の第4回サミットと、2002年(平成14年)の第19回サミットが天童市で開催された[12]
山形定住自立圏
山形市を中心とする定住自立圏構想に参加しており(定住自立圏構想研究会参照)、広域行政・政策の連携を行っている[13]

地域 編集

人口 編集

 
天童市と全国の年齢別人口分布(2005年) 天童市の年齢・男女別人口分布(2005年)
紫色 ― 天童市
緑色 ― 日本全国
青色 ― 男性
赤色 ― 女性

天童市(に相当する地域)の人口の推移
総務省統計局 国勢調査より


教育 編集

学校教育 編集

短期大学
高等学校
中学校
小学校

教育に関連する協定等 編集

2010年(平成22年)12月に天童市は明治大学との間に連携協定を結んでおり[14]、地域振興、学生派遣など相互の交流・発展のための連携事業を行っている[14]。明治大学設立者の一人宮城浩蔵が天童出身であることが縁となっている[14][15]

公共施設・文化施設 編集

図書館
美術館・博物館
ホール
スポーツ施設
その他

交通 編集

鉄道路線 編集

 
天童駅
 
天童バスターミナル

路線バス 編集

空港 編集

最寄りの空港は東根市にある山形空港である。

道路 編集

高速道路
E13 東北中央自動車道天童IC天童本線料金所
一般国道
国道13号国道48号
都道府県道
主要地方道
一般県道
  • 山形県道110号天童河北線
  • 山形県道111号天童山寺公園線
  • 山形県道277号長岡山中線
  • 山形県道279号荒谷原崎線
  • 山形県道280号天童停留場若松線
  • 山形県道281号天童高原山口線
  • 山形県道297号田麦野行沢線

観光ほか 編集

文化財 編集

その他 編集

 
山形県総合運動公園(2007年2月撮影)

ドキュメンタリー 編集

出身有名人 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 佐藤千夜子顕彰館、平成28年6月に閉館
  2. ^ スポーツで活躍した天童市民にマロスティカ市から「銀の騎士トロフィー」が、社会活動に貢献したマロスティカ市民に天童市から「天童賞」がそれぞれ贈られる。

出典 編集

  1. ^ 天童と将棋”. 天童市. 2020年3月29日閲覧。
  2. ^ 3月のライオンmeets天童市 情報コーナー”. 天童市. 2020年3月29日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j 海外の姉妹・友好都市”. 天童市. 2016年5月17日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i 相互交流協定都市”. 天童市. 2016年5月17日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i j k 姉妹(友好)提携情報”. 自治体国際化協会. 2012年10月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年5月17日閲覧。
  6. ^ イタリア・マロスティカ市との主な交流の経過” (PDF). 天童市. 2016年5月17日閲覧。
  7. ^ a b ニュージーランド・マールボロウとの主な交流の経過” (PDF). 天童市. 2016年5月17日閲覧。
  8. ^ a b 中国・瓦房店市との主な交流の経過” (PDF). 天童市. 2016年5月17日閲覧。
  9. ^ a b c 観光物産交流都市 山形県天童市”. 網走市. 2016年5月17日閲覧。
  10. ^ a b c d e 友好都市 山形県天童市”. 多賀城市. 2016年5月17日閲覧。
  11. ^ 館林市の交流都市”. 館林市. 2016年5月17日閲覧。
  12. ^ a b 天童織田藩のあらまし”. 天童市. 2016年5月17日閲覧。
  13. ^ 定住自立圏構想”. 天童市. 2016年5月17日閲覧。
  14. ^ a b c 明治大学・天童市連携協定”. 天童市. 2016年5月17日閲覧。
  15. ^ 創立者出身地との連携”. 明治大学. 2016年5月17日閲覧。
  16. ^ 天童将棋駒-山形県天童市-”. NHK. 2021年5月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年5月9日閲覧。
  17. ^ 日本画壇の重鎮 今野 忠一(上荻野戸出身・平成2年10月4日天童市名誉市民)” (PDF). 天童市. 2023年10月6日閲覧。
  18. ^ 阪神・中野拓夢 今季の活躍に故郷・山形県天童市から「天童市市民栄誉賞」」『Sponichi Annex』、2023年10月6日。2023年10月6日閲覧。

外部リンク 編集