対聯(ついれん、對聯)とは、門の両脇などに対句を記したものを言う。中国の伝統的な建物の装飾のひとつであり、慶弔時に一時的に貼るものと、恒常的に掲示するものがある。ベトナムでも同様のものが見られる。

対聯
南昌滕王閣の楹聯。王勃「滕王閣序」の文句、毛沢東の字による
各種表記
繁体字 對聯
簡体字 对联
拼音 duìlián
発音: ドゥイリエン
日本語読み: ついれん
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概要 編集

「対聯」という言葉は本来は対句と同義であったが、現在は対句のそれぞれを別々に紙に書いて貼ったものをいう。恒常的な対聯は貼るのではなく刻んであることもある。

対聯が貼られる典型的な場所は正門の両脇である。中国の伝統的な門には、入口の手前の両脇に楹柱(えいちゅう)という柱が立っているが、そこに貼るために楹聯(えいれん)とも呼ばれる[1]。入口以外の、室内などに貼られることもある。

句の前半部を前聯、後半部を後聯という。また対句だけでなく、上にも短い文句を書くことが多い(横批などと呼ばれる)。

慶事にはめでたい文句を赤い紙に書くことが多いが、弔事に使う挽聯では赤い紙は使わない。

対聯は近体詩の対句が独立したものであり、字数は近体詩のような制約を受けないものの、詩におけるよりもさらに厳密な対句をなし[2]、伝統的には平仄も対になっていなければならない。押韻する必要はない。

種類 編集

対聯はさまざまな場合に貼られる。

  • 年中行事において貼られるもの。春節に貼られる春聯に代表される。
  • 慶弔を表すもの。結婚を祝う喜聯、長寿を祝う寿聯、弔事に用いる挽聯などがある。
  • 商店などに貼って、職業内容を表すもの。
  • 名所旧跡の入口に記されるもの。
  • 文学作品として作られるもの。実際に貼る必要がないため、極端に長いものも作られる。とくに清末の鍾雲舫(中国語版)は1800を越える対句を残し、最も長い「擬題江津県臨江城楼聯」は1612字(1句が806字)にも及ぶ。

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脚注 編集

  1. ^ 大漢和辞典』では柱にかけるものを楹聯とする
  2. ^ 王力『漢語詩律学』上海教育出版社、1979年(原著1958年)、10-11,175-176頁。 

外部リンク 編集