小澤 瑶生(おざわ たまお、1985年5月16日 - )は、日本の元プロボクサー。現姓:岸本(きしもと)。第8代WBO女子世界スーパーフライ級王者。第5代OPBF女子東洋太平洋スーパーフライ級王者。フュチュール所属。

小澤 瑶生
基本情報
本名 岸本 瑶生
(きしもと たまお)
階級 スーパーフライ級
国籍 日本の旗 日本
誕生日 (1985-05-16) 1985年5月16日(38歳)[1][2]
出身地 長野県上伊那郡辰野町[1]
スタイル オーソドックス
プロボクシング戦績
総試合数 22
勝ち 17
KO勝ち 6
敗け 5
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来歴 編集

長野県上伊那郡辰野町出身。小学校ではバレーボール選手、中学から大学まではバスケットボール選手だった[3]佐久長聖高校でウィンターカップ、拓殖大学でインカレベスト4、オールジャパンを経験。大学の同期に天津希林田明佳春日流いら。

卒業後は実業団入りを断念し、ニュージーランド留学した後、京都大学に進学した弟を心配する両親に頼まれて京都に移住[4]、2010年に偶然通りかかったフュチュールに入門してエクササイズ目的でボクシングを始める[5]。なお、弟は同年に22歳で死去。

まずアマチュアに籍を置き2011年には全日本女子選手権にてベスト4まで進むが、東日本大震災のため中止[6]。ロンドンオリンピック強化合宿にも参加[7]

プロボクサー時代 編集

2011年8月28日、大阪よみうり文化ホールでマイムアン・シットクルシンとプロデビュー戦を行い、2-0(39-38、39-38、38-38)の判定勝ちを収めデビュー戦を白星で飾った。

2013年2月9日、玉森麻保とG Legendスーパーフライ級初代王座決定戦を行い、2-0(59-55、59-56、58-58)の判定勝ちを収め王座獲得に成功した。

2013年8月24日、大阪府立体育会館第2競技場でOPBF女子東洋太平洋スーパーフライ級王者川西友子と対戦し、プロ初黒星となる初回1分51秒TKO負けを喫し王座獲得に失敗した[8]

12月14日、アゼリア大正にてタンヤコーン・ソー・タンマチャックとノンタイトル8回戦を行い、3-0(78-74、78-75、77-74)の判定勝ちを収め再起を果たした。

2014年3月3日、後楽園ホールでの「G Legend 6」にてカイ・ジョンソン(現在はお笑い芸人のカイちゃん)とG Legendスーパーフライ級チャンピオンシップを行い、1回にダウンを奪うが、2回にダウンを奪われ、2回1分14秒TKO負けを喫しG Legend王座の初防衛に失敗、王座から陥落した[9]

2014年9月20日、アゼリア大正にて前の試合で高野人母美にプロ初黒星を付けたカイ・ジョンソンとノンタイトル8回戦を行い、2-1(77-76、77-76、76-77)の判定勝ちを収め6ヵ月ぶりの再戦で雪辱を果たした[10]

東洋太平洋王座獲得 編集

2015年4月3日、大阪府立体育会館第2競技場で川西友子の引退に伴いぬきてるみ(貫輝美より改名)とOPBF女子東洋太平洋スーパーフライ級王座決定戦を行い、2-1(77-76、76-77、77-75)の判定勝ちを収め王座獲得に成功した[11]

2015年9月16日、島津アリーナ京都にてカレアン・リバスとノンタイトル6回戦を行い、3-0判定で勝利[12]

2015年12月19日、初となる海外試合としてスリランカコロンボのマハラジャTVステインスタジオでグレーペッ・ルークムアンカンとノンタイトルを行い、3回終了TKO勝利[13]

2016年5月15日、メキシコシティでWBC女子インターナショナルスーパーフライ級王座と同級世界王座挑戦権を懸けて元WBC世界王者マリアナ・フアレスと対戦[14]。しかし、試合は90-100×3のフルマークで敗れる[15]

2016年8月24日、島津アリーナ京都にてスーダ・サックナロンを4回TKOで退け再起を果たす[16]

2016年12月31日、島津アリーナ京都にて小関有希と対戦し3-0に判定で勝利[17]

世界王座初挑戦 編集

2017年5月14日、島津アリーナ京都にて初の世界挑戦として元WBO女子世界ミニマム級王者の弘蘇云とのWBO女子世界ライトフライ級王座決定戦に挑む[18]が、1-2判定で敗れ世界初挑戦失敗[19]

2017年10月1日、KBSホールにて元WBC女子世界ミニマム級暫定王者の許恩栄を5回TKOで退け再起成功[20]

2度目の世界王座挑戦 編集

2018年3月10日、ドイツ南西部のカールスルーエにてWBO女子世界スーパーフライ級王座決定戦として同シルバー王者ラジャ・アマシェと対戦も0-3判定で敗れ2度目の王座挑戦も実らず[21]

2018年7月29日、KBSホールにてタイ女子王者のファルナック・コンサングを判定で降し再起成功。

2018年11月25日、KBSホールにて世界王座挑戦歴を有するアイサー・アリコにTKO勝利。

日本王座獲得 編集

2019年4月14日、KBSホールにて日本女子フライ級王座を懸けて元PABA女子スーパーフライ級王者のパク・ヘスと対戦し、3-0(58-55、59-54、60-53)の判定で勝利し日本王座獲得[22]。なお、この試合は3月に解禁された東洋太平洋ランカーの日本タイトル挑戦の適用第1号となった。

この試合後、産休に入る。

世界王座獲得 編集

2022年5月30日、後楽園ホールにて復帰戦として吉田実代が持つWBO女子世界スーパーフライ級王座に挑戦し[23]、2-1の判定で勝利を収め、3度目の挑戦で悲願の世界王座を獲得した[24]。また、フュチュールにとっては歴代5人目であり、2018年7月29日に池山直が陥落して以来約3年10か月ぶりとなる世界王者誕生となった。

2022年8月28日、KBSホールで行われたフュチュール主催興行でラウンドガールを務めた[25]

引退 編集

2022年10月27日付で保持するWBO女子世界スーパーフライ級王座を返上し引退届を提出したことを発表。理由は家族の人生を考えて区切りをつけるため[26]。なお、JBC公認後の女子において世界王座の返上と同時に引退するのは6人目、防衛戦なしは4人目、さらに世界王座初獲得では山田真子に次いで2人目となる。2日前には小澤と同じ長野県出身の女子世界王座経験者である宮尾綾香も引退を表明している[27]

人物 編集

  • 普段は昼前に起床し、夕方からジムで練習をして、22時から会員制サパークラブ「selected Repos」で翌日3時まで勤務して明け方に就寝する生活を送る。
  • 2018年5月、ピアニスト岸本良平と結婚[28]。岸本は2013年に上記のサパークラブで演奏を始めた[29]。2021年6月12日、第1子となる男児を出産[30]。2023年11月4日、第2子となる次男を出産[31]

戦績 編集

  • プロボクシング:22戦 17勝 6KO 5敗
日付 勝敗 時間 内容 対戦相手 国籍 備考
1 2011年8月28日 4R 判定3-0 マイムアン・シットクルシン   タイ プロデビュー戦
2 2012年2月19日 2R 1:33 KO 千葉とも子(ワールドスポーツ)   日本
3 2012年6月22日 3R 1:01 TKO 隣井朝子(井岡)   日本
4 2012年9月16日 6R 判定3-0 玉森麻保(エディタウンゼント)   日本
5 2013年2月9日 6R 判定2-0 玉森麻保(エディタウンゼント)   日本 G Legendスーパーフライ級初代王座決定戦
6 2013年8月24日 1R 1:51 TKO 川西友子(大阪帝拳)   日本 OPBF女子東洋太平洋スーパーフライ級タイトルマッチ
7 2013年12月14日 8R 判定3-0 タンヤコーン・ソー・タンマチャック   タイ
8 2014年3月3日 2R 1:14 TKO カイ・ジョンソン(竹原&畑山)   日本 G Legendスーパーフライ級チャンピオンシップ
9 2014年9月20日 8R 判定2-1 カイ・ジョンソン(竹原&畑山)   日本
10 2015年4月3日 8R 判定2-1 ぬきてるみ(井岡弘樹)   日本 OPBF女子東洋太平洋スーパーフライ級王座決定戦
11 2015年9月16日 6R 判定3-0 カレアン・リバス   フィリピン
12 2015年12月19日 3R終了 TKO グレーペッ・ルークムアンカン   タイ
13 2016年5月15日 10R 判定0-3 マリアナ・フアレス   メキシコ WBC女子インターナショナルスーパーフライ級タイトルマッチ
14 2016年8月24日 4R 0:12 TKO スーダ・サックナロン   タイ
15 2016年12月31日 6R 判定3-0 小関有希(協栄)   日本
16 2017年5月14日 10R 判定1-2 弘蘇云   韓国 WBO女子世界ライトフライ級王座決定戦
17 2017年9月30日 5R 1:31 TKO 許恩栄   韓国
18 2018年3月10日 10R 判定0-3 ラジャ・アマシエ   ドイツ WBO女子世界スーパーフライ級王座決定戦
19 2018年7月29日 8R 判定3-0 ファルナック・コンサング   タイ
20 2018年11月25日 3R 0:07 TKO アイサー・アリコ   フィリピン
21 2019年4月14日 6R 判定3-0 パク・ヘス   韓国 日本女子フライ級王座決定戦
22 2022年5月30日 10R 判定2-1 吉田実代(三迫)   日本 WBO女子世界スーパーフライ級王座・獲得
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タイトル 編集

脚注 編集

  1. ^ a b フュチュール. “選手紹介「小澤 瑶生」”. 2013年2月13日閲覧。
  2. ^ Tamao Ozawa”. Boxrec.com. 2013年2月13日閲覧。
  3. ^ 広報たつの 7月号2017” (PDF). 辰野町. 2021年1月19日閲覧。
  4. ^ “世界への挑戦「もう一度」 京都の女子プロボクサー・小澤瑶生さん(33)”. 産経新聞. (2018年1月15日). https://www.sankei.com/region/news/180815/rgn1808150001-n1.html 2021年1月19日閲覧。 
  5. ^ “チャンピオンは美女だらけ! 世界で活躍する4人のボクサー”. 週刊朝日. (2015年9月27日). https://dot.asahi.com/articles/-/108370 2017年2月6日閲覧。 
  6. ^ フュチュール. “アマチュア選手 活動実績”. 2013年2月13日閲覧。
  7. ^ 『第1次ロンドンオリンピック女子強化合宿の終了について(報告)』(プレスリリース)社団法人日本アマチュアボクシング連盟、2011年5月16日。 
  8. ^ “川西戦慄のTKO防衛 女子OPBF戦”. Boxing News. (2013年8月25日). http://boxingnews.jp/news/5664/ 
  9. ^ “宮尾は5R KOで4度目の防衛に成功!小関は9R TKO勝利で13度目の防衛に成功!柴田が初防衛に成功!【試合結果】宮尾綾香、小関桃、柴田直子 三大世界タイトルマッチ開催! 〜3.3 G-Legend 6”. Lady Go!. (2014年3月3日). http://blog.livedoor.jp/ladygo1999/archives/8231635.html 
  10. ^ “池山が初防衛に成功!池原シーサーが新王者に!小澤がリベンジに成功!【試合結果】池山直vs秋田屋まさえ、池原シーサー久美子vsグレッチェン・アバニエル 〜9.20 WBO女子ダブル世界戦!”. Lady Go!. (2014年9月20日). http://blog.livedoor.jp/ladygo1999/archives/8469449.html 
  11. ^ 女子の小澤瑶生がOPBFタイトル獲得 Boxing News(ボクシングニュース) 2015年4月4日
  12. ^ 小澤瑶生が判定勝利【試合結果】OPBF王者の小澤がノンタイトル戦☆小澤瑶生vsカレアン・リバス☆9.16 LIVE BOXIMG 2015 W日本タイトル初防衛戦@島津アリーナ京都”. Lady Go!. 2015年9月18日閲覧。
  13. ^ “池山直がスリランカでV3、WBO女子アトム級”. boxing News. (2015年12月20日). http://boxingnews.jp/news/33234/ 
  14. ^ “小澤瑶生&フアレス計量パス、あすメキシコでゴング”. boxing News. (2016年5月14日). http://boxingnews.jp/news/37511/ 
  15. ^ “小澤瑶生フルマーク負け、あす久保隼がOPBF防衛戦”. boxing News. (2016年5月15日). http://boxingnews.jp/news/37550/ 
  16. ^ “大森将平がWBC5位にKO勝ち、世界ランク復帰濃厚”. Boxing News. (2016年8月24日). http://boxingnews.jp/news/40246/ 
  17. ^ 小澤瑶生が判定3-0で勝利【試合結果】小関有希vs小澤瑶生☆12.31 WBA&IBFダブルタイトルマッチ☆京都・島津アリーナ” (2016年12月31日). 2017年2月6日閲覧。
  18. ^ “小沢瑶生5・14京都で初の世界戦 韓国の弘蘇云とWBO王座決定戦”. デイリースポーツ. (2017年3月15日). https://www.daily.co.jp/ring/2017/03/15/0010001879.shtml 2017年4月2日閲覧。 
  19. ^ “小澤瑶生は惜敗、WBO女子LF級王座獲得ならず”. Boxing News(ボクシング・ニュース). (2017年5月14日). http://boxingnews.jp/news/47598/ 2017年5月19日閲覧。 
  20. ^ “小澤瑶生が再起戦勝利、緒方汐音は花形冴美を下す”. Boxing News. (2017年10月1日). http://boxingnews.jp/news/51896/ 2019年3月30日閲覧。 
  21. ^ “小澤瑶生は判定負け、ドイツで世界王座獲得ならず”. Boxing News. (2018年3月11日). http://boxingnews.jp/news/56218/ 2019年3月30日閲覧。 
  22. ^ “レジェンド池山直vs黒木優子 元王者対決はドロー 小澤瑶生が日本女子フライ級王者に”. Boxing News(ボクシング・ニュース). (2019年4月15日). http://boxingnews.jp/news/66314/ 2019年4月16日閲覧。 
  23. ^ “WBO女子Sフライ級王者の吉田実代5・30初防衛戦 挑戦者の小沢瑶生は3度目の世界挑戦”. nikkansports.com. (2022年3月9日). https://www.nikkansports.com/battle/news/202203090000806.html 2022年3月10日閲覧。 
  24. ^ “小沢瑶生が3度目の挑戦で世界王座獲得「オファー来た時は産後4カ月」3年ぶりリングでママ対決制す”. 日刊スポーツ. (2022年5月30日). https://www.nikkansports.com/battle/news/202205300001147.html 
  25. ^ “世界王者の小澤瑶生がラウンドガール!”. ボクシングモバイル. (2022年8月28日). https://boxmob.jp/sp/news/index.html?nid=29213&n=1 2022年8月29日閲覧。 
  26. ^ “WBO女子世界スーパーフライ級王者の小沢瑶生が引退「家族の人生を考え、ここで区切り」”. スポニチアネックス. (2022年10月27日). https://www.sponichi.co.jp/battle/news/2022/10/27/kiji/20221027s00021000347000c.html 
  27. ^ ““ボクシング界の上戸彩”宮尾綾香が引退を表明「19年間突っ走れました」12・1後楽園ホールで引退式”. スポニチアネックス. (2022年10月26日). https://www.sponichi.co.jp/battle/news/2022/10/26/kiji/20221026s00021000203000c.html 
  28. ^ 結婚のご報告です
  29. ^ “妻はボクサー、夫はピアニスト 異色夫婦の意外な共通点”. (2020年3月19日). https://www.asahi.com/articles/ASN3K4GVWN3JPTQP001.html 2021年1月19日閲覧。 
  30. ^ 女子アスリートの妊娠&出産③出産の痛み
  31. ^ Instagramより

関連項目 編集

外部リンク 編集

空位
2013年創設
初代G Legendスーパーフライ級王者

2013年2月9日 - 2014年3月3日

次王者
カイ・ジョンソン
空位
前タイトル保持者
川西友子
第5代OPBF女子東洋太平洋スーパーフライ級王者

2015年4月3日 - 2017年(返上)

空位
次タイトル獲得者
ぬきてるみ
空位
前タイトル保持者
池本夢実
第2代日本女子フライ級王者

2019年4月14日 - 2019年9月(返上)

空位
次タイトル獲得者
平山夢
前王者
吉田実代
第8代WBO女子スーパーフライ級王者

2022年5月30日 - 2022年10月27日(返上)

空位
次タイトル獲得者
晝田瑞希