山東京山

江戸時代後期の戯作者

山東 京山(さんとう きょうざん、明和6年6月15日1769年7月18日)-安政5年9月24日1858年10月30日))は、江戸時代後期の戯作者。本名は岩瀬 百樹(いわせ ももき)。は鉄梅。号は覧山・涼仙。山東京伝は兄。

流行猫の戯『かゞ見やま 草履恥の段』山東京山文、歌川国芳

 

略歴 編集

江戸深川質屋の次男として生まれる[1]。幼時に漢学や書画を学び、寛政3年に叔母猪飼氏養子となって篠山藩に仕えるが8年後に致仕する[2]。その後、2度の結婚に失敗後に京橋に住まいを構え、篆刻合巻読本執筆を業とした。

 
流行猫の戯『道行 猫柳婬月影』山東京山文、歌川国芳画
 
北越雪譜』二編 巻一(鈴木牧之著、天保12年(1841年)刊)

文化4年(1807年)に出された『復讐妹背山物語』や天保6年(1835年)の『昔模様娘評判記』が代表作であるが[3] [4]、ライフワークになった『大晦日曙草子』(天保10年(1839年)開始)や『朧月猫草帋』(天保13年(1842年 ) - 嘉永2年( 1849年))歌川国芳[5]、『教草女房形気』(弘化3年(1846年))など、婦女子を対象とした平易で温雅な作風に様々な教訓を盛り込んだ話を得意とした。また弘化4年(1847年)に書かれた随筆『歴世女装考』は近世風俗考証の上で貴重な史料となっている。90歳で亡くなるまで積極的に執筆活動を行った。

 
山東京山の墓

 

鈴木牧之北越雪譜』の刊行にあたり「京山人百樹」名義で同書の刪定(添削・修正)に当たったことでも知られる。

脚注 編集

  1. ^ Inc, NetAdvance Inc NetAdvance. “山東京伝|国史大辞典・日本国語大辞典・日本大百科全書・世界大百科事典|ジャパンナレッジ”. JapanKnowledge. 2023年9月23日閲覧。
  2. ^ *津田眞弓『山東京山年譜稿』ぺりかん社、2006年、16,23頁。ISBN 4831510661 
  3. ^ デジタル大辞泉の解説『山東京山』 - コトバンク参照
  4. ^ 高木元 訳 歌川国貞歌川国貞 (3代目)歌川国輝 (2代目)歌川芳綱、歌川国清 絵『山東京山伝奇小説集 (江戸怪異綺想文芸大系)』2003年 ISBN 978-4336042743国書刊行会発行「復讐妹背山物語」「昔模様娘評判記」等が収録
  5. ^ 『朧月猫草帋 7編28巻』. NCID BB04697476 また、 2013年金子信久訳で復刻『おこまの大冒険〜朧月猫の草紙〜』ISBN 978-4756244291パイインターナショナル発行

外部リンク 編集