山陽女子ロードレース(さんようじょしロードレース)は、女子のロードレースである。1982年から2003年までと2019年からは12月の第三日曜日、2004年から2018年までは12月23日2014年のみ11月第三日曜日)に開催される。

概要 編集

岡山県出身で1928年アムステルダムオリンピックの800m走で日本人として初めてメダルを獲得した人見絹枝の名前を冠して、人見絹枝杯山陽女子ロードレースが開催され、2004年の23回大会からハーフマラソンをバルセロナオリンピック銀メダル、アトランタオリンピック銅メダルを獲得した有森裕子の名前を冠している。

本大会の主催は岡山県岡山市山陽新聞社など。RSK山陽放送テレビラジオで生中継を行っている。また一時期はBS-TBSで全国生中継もされていたが、2013年以降はRSK山陽放送単独の放送に戻った。

2004年以降10年間、天皇誕生日である12月23日に開催していたが、2014年は11月16日に前倒して開催した。これは、同年12月5日にオープンするイオンモール岡山年末商戦による交通渋滞および交通規制の困難さを考慮して判断したもの[1]。2015年以降は12月23日開催に戻したが経路が一部変更されている。

2019年以降は12月23日が平日になったため12月の第三日曜日に開催されている。

歴史 編集

1949年に人見ともに第3回万国女子五輪でリレーに出場した本城ハツらが、スポーツ振興を願った人見の遺志を継いで岡山女子クラブを創設した。翌50年には同クラブが中心となって奥市競技場で人見杯第1回全国都道府県対抗女子陸上競技大会を開催した。しかし、翌年以降の開催は確認されていない。

それから28年後の1978年松田堯が渡欧したプラハで人見の碑を見つけ、岡山陸上競技会に人見絹枝章の創設を提案し両備てい園財団からの寄付をもとに制定された。

1981年4月に第1回吉備路山陽マラソンが開催されたのを機に、公認コースでのロードレスを求める声が出始めた。当時の岡山県陸上協議会理事長の入野昌志がこの動きを後押ししたことで、開催に向け急ピッチで準備が進んだ。1982年に県保健体育課長の柾木繁男の提案で大会名称に人見絹枝杯を冠することも決まった。

1990年の第9回大会から人見の記念碑があるチェコよりチェコ共和国杯が寄贈され、22回大会まではハーフ優勝者、23回大会からは10キロ優勝者に贈られる。

発着地点の変遷 編集

  • 第1回・第2回 岡山県庁前発着
  • 第3回・第4回 岡山県庁前~三光荘前
  • 第5回 岡山衛生会館前~三光荘前
  • 第6回~第18回・第22回~ 岡山県陸上競技場
  • 第19回~第21回 岡山県総合グラウンド

コース 編集

2015年からのコース
  • シティライトスタジアム津島遺跡一周→岡山武道館前(左折)→(岡山市道いずみ町青江線・島田筋)→伊福町四丁目交差点(左折)→(国道180号)→清心町交差点(直進)→(国道53号)→番町交差点(左折)→(岡山県道402号原尾島番町線)→浜三丁目交差点(左折)→(岡山市道浜国富線)→西川原交差点(直進)→(岡山県道96号岡山赤穂線)→岡大入口交差点(直進)→(国道53号)→シティライトスタジアム前(10kmコースはここまで)→津島交差点(左折)→(岡山市道いずみ町青江線・島田筋)→昭和町交差点(右折)→(岡山市道富本町三田線・新幹線側道)→高柳交差点(左折)→(岡山県道236号巌井野田線・高柳地下道)→野田西交差点(直進)→(岡山県道21号岡山児島線→下中野北交差点(左折)→(岡山市道田中西古松線)→大元駅西(右折)→(岡山市道田中西小松2号線)→大元駅前交差点(直進)→(岡山県道173号大元停車場線)→東古松二丁目交差点(左折)→(岡山市道いずみ町青江線・島田筋)→昭和町交差点(右折)→(岡山市道昭和町4号線)→下石井高架下(直進)→(岡山市道駅元町16号線)→岡山駅西口交差点(直進)→(岡山市道奉還町駅元町2号線)→清心町交差点(直進)→(国道53号)→シティライトスタジアム
    • 2014年までは、東古松二丁目から岡山駅西口にかけてのコースが異なり、東古松二丁目交差点(直進)→(岡山県道173号大元停車場線)→大供交差点(直進)→(岡山市道南方柳町線・市役所筋)→下石井一丁目交差点(左折)→(岡山市道駅元町下石井線・下石井高架)→下石井高架北(右折)→(岡山市道奉還町駅元町1号線)→岡山駅西口交差点(左折)のルートとなっていた。

歴代優勝者 編集

回数 年度 氏名 所属(当時)または国籍 10km記録 氏名 所属(当時)または国籍 20km記録 府県名 府県対抗記録※
1 1982 柏木千恵美 ユニチカ 35分26秒 金子るみ子 順天高校 1時間12分39秒
2 1983 柏木千恵美 ユニチカ 35分34秒 堀真舟 筑波大 1時間17分23秒
3 1984 大国美喜子 中央大 36分13秒 北村伊津美 雪印乳業 1時間12分16秒
4 1985 田村有紀 荏田高 35分29秒 松本真由美 日女体大 1時間14分47秒 愛知県 3時間51分5秒
5 1986 高橋郁子 鈴峯女子高 34分22秒 田村有紀 日産自動車 1時間14分00秒 愛媛県 1時間46分58秒
6 1987 鄭美子 韓国 34分15秒 李美玉 韓国 1時間8分59秒 兵庫県 1時間43分59秒
7 1988 福山つぐみ 東女体大 34分01秒 兵頭勝代 旭化成 ○1時間7分47秒 京都府 1時間42分59秒
8 1989 寺沢佳恵 大阪大 33分10秒 有森裕子 リクルート 1時間9分2秒 滋賀県 1時間43分6秒
回数 年度 氏名 所属(当時)または国籍 10km記録 氏名 所属(当時)または国籍 ハーフ記録 府県名 府県対抗記録※ 氏名 所属(当時) 中学3,000m記録
9 1990 寺沢佳恵 大阪大 33分44秒 陳青梅 愛教大 1時間8分59秒 京都府 1時間43分29秒 浜本奈々江 鈴峯女子中 9分52秒6
10 1991 王咏梅 中国 33分04秒 王秀婷 中国 1時間10分14秒 京都府 1時間42分32秒 宮口典子 新市中央中 10分12秒5
11 1992 岡本真喜子 龍谷大 33分02秒 王咏梅 東海銀行 1時間10分37秒 京都府 1時間43分14秒 神原美由紀 八浜中 10分25秒6
12 1993 岡本真喜子 龍谷大 33分10秒 山本佳子 ダイエー 1時間12分39秒 岡山県 1時間42分18秒 水鳥 心 倉敷北中 10分12秒5
13 1994 盛山玲世 芙蓉 33分03秒 瀬戸口恵美 ベスト電器 1時間12分5秒 鳥取県 1時間40分33秒 内田礼子 勝北中 10分9秒47
14 1995 日下部和子 芙蓉 33分19秒 盛山玲世 芙蓉 1時間12分4秒 岡山県 1時間40分53秒 鈴木美緒 御南中 10分39秒27
15 1996 市川良子 JALAC 33分13秒 梁英 東海銀行 1時間12分00秒 京都府 1時間41分34秒 地木小百合 邑久中 10分30秒48
16 1997 柴田郁 京産大 33分13秒 萩永佳奈子 ワコール 1時間11分14秒 京都府 ○1時間40分25秒 中本香織 熊野中 10分24秒59
17 1998 加納由理 立命館大 32分47秒 松岡理恵 天満屋 1時間10分8秒 岡山県 1時間40分1秒 鈴木あゆ美 御南中 10分23秒42
18 1999 伏見谷恵子 大阪学院大 32分51秒 本平知子 東農大 1時間12分14秒 岡山県 1時間41分58秒 鈴木あゆ美 御南中 10分18秒9
回数 年度 氏名 所属(当時)または国籍 10km記録 氏名 所属(当時)または国籍 ハーフ記録
19 2000 大山美樹 立命館大 33分29秒 野口みずき グローバリー 1時間9分44秒
20 2001 山中美和子 ダイハツ 32分10秒 黒沢奈美 四国電力 1時間11分4秒
21 2002 池田恵美 立命館大 32分38秒 デラルツ・ツル エチオピア 1時間11分9秒
22 2003 山崎智恵子 天満屋 32分46秒 野口みずき グローバリー 1時間10分4秒
23 2004 ウインフリーダ・ケバソ 世羅高 32分20秒 ルース・ワンジル 日立製作所 1時間10分23秒
24 2005 ベニタ・ジョンソン オーストラリア 32分26秒 エバリン・キムエイ サニックス 1時間10分47秒
25 2006 清家愛 シスメックス 32分33秒 ベニタ・ジョンソン オーストラリア 1時間10分1秒
26 2007 ティキ・ゲラナ デンソー 31分54秒 エバリン・キムエイ パナソニック 1時間9分20秒
27 2008 ウインフリーダ・ケバソ 豊田自動織機 32分54秒 キラグ・パウリン・ワングル 九電工 1時間10分54秒
28 2009 桑城奈苗 シスメックス 32分27秒 平田裕美 資生堂 1時間11分13秒
29 2010 カプッチ・セリー・チェピエゴ 九電工 32分13秒 森祥子 大塚製薬 1時間11分41秒
30 2011 アン・カリンジ・ムワンギ 豊田自動織機 32分47秒 赤羽有紀子 ホクレン 1時間9分16秒
31 2012 フェリスタ・ワンジュグ ユニバーサルエンターテインメント 32分16秒 赤羽有紀子 ホクレン 1時間9分56秒
32 2013 グレース・ブティエ・キマンズィ スターツ 32分24秒 カプッチ・セリー・チェピエゴ 九電工 1時間8分24秒
33 2014 グレース・ブティエ・キマンズィ スターツ 32分5秒 古瀬麻美 京セラ 1時間12分1秒
34 2015 ローズメリー・ワンジル・モニカ スターツ 32分3秒 カプッチ・セリー・チェピエゴ 九電工 1時間8分17秒
35 2016 ローズメリー・ワンジル・モニカ スターツ 32分4秒 小原怜 天満屋 1時間10分4秒
36 2017 シュル・ブロ TOTO 32分3秒 パウリン・カムル ルートインホテルズ 1時間8分4秒
37 2018 グレース・ブティエ・キマンズィ スターツ 31分54秒 前田穂南 天満屋 1時間9分12秒
38 2019 ロバ・ゼイトナ・フーサン デンソー 32分14秒 シャーロット・パデュー イギリス 1時間8分45秒
39 2020 アグネス・ムカリ 倉敷高 31分39秒 ロバ・ゼイトナ・フーサン デンソー 1時間9分24秒
  • 府県対抗記録は10km走った選手の中から上位3人の成績を合計し少ない方から順位を決める。
  • 太字は大会記録優勝者

脚注 編集

  1. ^ 山陽女子ロード 11月16日開催 イオン開業で渋滞懸念、前倒し”. 山陽新聞社 (2014年7月28日). 2014年12月24日閲覧。

外部リンク 編集