恩に報いる死者 (英語: grateful dead)とは、死者を弔ってやった旅人が後から恩返しを受けるという、国際的に見られる民話のモチーフの一つ。 恩に報いる死者という日本語訳は『国際昔話話形カタログ』によるもので、この他に死者の報恩(『民間説話 世界の昔話とその分類』)などの訳がある。

タイプ・インデックスにおける「恩に報いる死者」 編集

アールネ・トンプソンのタイプ・インデックスでは、505番から508番までのタイプ群を"The Grateful Dead"と総称している。 一方、ウターによる改訂版のATU分類では505番のタイプが"The Grateful Dead"とされて、AT分類で"The Grateful Dead"として纏められていたタイプ群のうちの一部が統合されている。 詳細な対応関係を以下に示す(ATU分類に関しては日本語訳『国際昔話話形カタログ』が出版されているため、タイプ名をこれに従って日本語表記している)。

AT分類とATU分類の対応表
AT分類 ATU分類
The
Grateful
Dead
505 Dead Man as a Helper 505 恩に報いる死者
(The Grateful Dead)
506 The Rescued Princess
506A The Princess Rescued from Slavery
506B The Princess Rescued from Robbers
506** The Grateful Saint
508 The Bride won in a Tournament
506* Prophecy escaped 506* 予言から逃れる
(Prophecy escaped)
507A The Monster's Bride 507 怪物の花嫁
(The Monster's Bride)
507B The Monster in the Bridal Chamber
507C The Serpent Maiden

ただし、AT分類においてもATU分類においても、The Grateful Deadに分類される民話に必ず「恩に報いる死者」が登場するとは限らない。 日本の民話を例に取ると、AT分類506Bの「妻女奪還」にはこうした死者は登場しない[1]

「恩に報いる死者」の登場する物語 編集

出典 編集

  1. ^ 『日本昔話通観 第28巻 昔話タイプ・インデックス』 pp.383-384 稲田浩二 同朋舎 1988年