感情地図(かんじょうちず)とは光吉俊二の博士論文[1]で提唱された概念で、これを日本機械学会が出版した『感覚・感情とロボット[2]に掲載された、感情の関係をモデル化した階層を持つダイアグラムで表現した[3]もの。

制作には、独自の調査による4500語に及ぶ日本語での心的表現言語と英語での心的表現言語225語を割り振り、225の感情辞書を作成[4]した。 それから、感情生理指標との関係[5][6]を探り、脳や身体にある物資と感情や身体反応の比較マトリックスを作り、そのマトリックスから地図を作成した。この成果をMITスローンスクールの終身名誉教授のエドガー・シャイン先生に評価され、同氏はスタンフォード大学工学部の客員科学者となる。

これにより、世界で初めて感情を工業規格として把握し、工学博士論文が書かれた。

その後、人工自我として開発利用され、道徳制御[7][8][9]に使われている。最初のプロダクトは、ソフトバンクロボティクス社の「Pepper[10]である。

2014年には、東京大学大学院医学系研究科に音声病態分析学講座を立ちあげ、その後科学雑誌[11]などに頻繁に取り上げられる。感情地図が正式の学会として発表されたのはIEEE[12]での招待講演が最初である。WHO採用やNHK放送大学、Tedなどでの放送や教育により普及も進んできた。

脚注 編集

  1. ^ 光吉俊二, 「音声感情認識及び情動の脳生理信号分析システムに関する研究」 徳島大学 博士論文, 甲第1753号, 2006年, NAID 500000375379
  2. ^ 『感覚・感情とロボット』福田収一(監修), 光吉俊二他(著), 工業調査会(日本機械学会編集), pp. 275-308, 2008年.
  3. ^ 進化するヒトを機械の音声コミュニケーション. NTS. (2015-9-10). ISBN 978-4-86469-065-2 
  4. ^ パートナーロボット集成. NTS. (2005-12-2). ISBN 4-86043-101-4 
  5. ^ 情動とホルモン. 中山書籍. (1997-6-30). ISBN 4-521-01061-X 
  6. ^ 情動とストレスの神経科学. 九州大学出版会. (2002-6-20). ISBN 4-87378-742-4 
  7. ^ 道徳ロボット――AI時代に欠かせない「幸せに生きる脳」の育て方 (日本語) 単行本. サンガ. (2019/8/24). ISBN 9784865641592 
  8. ^ 東大教授が挑む AIに「善悪の判断」を教える方法. 扶桑社. (2018/4/29). ISBN 9784594079505 
  9. ^ 東大理系教授が考える 道徳のメカニズム. ベスト新書. (2013/4/9). ISBN 978-4-584-12399-7 
  10. ^ Pepperの感情”. SoftBank. 2020‐6‐4閲覧。
  11. ^ SoftBank (2016). Nature 14-7-2016: 198-199. 
  12. ^ 2017 IEEE International Conference on Systems, Man, and Cybernetics (SMC). IEEE. (2017-10). ISBN 978-1-5386-1645-1. https://doi.org/10.1109/smc34148.2017