手元供養(てもとくよう)とは、故人の「骨」を供養の対象としたものである。自宅供養(じたくくよう)とも言う。

一般的な葬送の方法である寺院への納骨の代わりに、或いは納骨を行ったうえにさらに、遺骨(遺灰)を自宅等で保管し、慰霊の場を身近に置いて故人を偲ぶという概念。

手元供養品には、遺骨の扱い方で加工型と納骨型に大別できる。加工型としては、遺骨を釉(うわぐすり)の一部として焼成した陶器や、遺灰ダイヤモンドメモリアルストーン麗石等にするものがあり、納骨型としては、地蔵の焼き物、石製(庵治石など)のオブジェや竹製、金属製、遺骨混入型の(カロートペンダント)(メモリアルペンダント)(遺骨入れ)(遺骨リング)(メモリアルジュエリー)などがあり、供養する側の好みや、価値観、供養観、死生観などにより選ばれている。

「花入れ」とされた陶器の手元供養品に、花を活けることで供養とする「花供養」という新しい供養法も現れてきている。

従来の形にとらわれないことから、自分らしい、または故人らしい供養をという想いに応える偲びと癒しの対象として新しい供養のジャンルとなってきている。

2006年6月に手元供養の社会的認知と普及の為の啓蒙活動を健全に行う組織として設立された発足したNPO手元供養協会が中心に提唱している。

具体的には、遺骨をそのまま、或いは粉骨化して自宅に置く、お骨の一部をロケットペンダントに入れ身に着ける、遺骨(遺灰)を加工するの3種に大別される。

背景 編集

  1. 死生観、供養感の多様化
    • 宗教的供養を望まない人が増え、従来の形式に替わる供養の方法が求められている。従来の墓地への埋葬のほか、散骨樹木葬といった自然葬が社会的に容認されつつあり、故人の生きた証を残したいという要望が増えてきた。
  2. 社会的背景
    • 少子高齢化・娘一人・単身者などの増加により、継承を前提とする「お墓制度」(江戸時代になって徳川家康による国民管理の一環としての「寺請け制度」に基づくもの)に対応できない家族が増えている。また、後継者に負担を掛けたくないといった気持ちや、不景気に伴う個人資産の減少、介護費用の負担などにより、平均250万円とも言われる葬儀費用の負担が大きいことも上げられる。また都市部での住宅事情により、仏壇を置かない家庭が増えており、手元供養は場所をとらないことから、支持されている側面もある。
  3. 精神的背景
    • 残された遺族が、身近な人の死によって受ける精神的ダメージ(喪失感・罪悪感など)などから自発的に克服するきっかけとして手元供養・メモリアルジュエリーを選択することも増えてきている。

参考文献 編集

関連項目 編集

外部リンク 編集