手形詐欺(てがたさぎ)は、代表的な詐欺の手法のひとつ。

手口 編集

以下に詳述するように、「パクリ屋」と「サルベージ屋」という分類がされることがある。両者がグルとなって二重に詐欺を仕掛けることもある[1]

パクリ屋 編集

資金繰りが苦しく正規の融資を受けられない企業に融通手形を振り出させ、それを預かったまま行方をくらます者をいう。パクリ屋の被害に遭った手形は最終的に反社会的勢力の手に渡ることになり、振り出した企業は、融資は得られないのに額面通りの返済を迫られてさらに苦境に立たされることになる。

最初は小口の手形から振り出させ、徐々に大きな金額を振り出させていく手法も使われるという。

取り込み詐欺におけるパクリ屋とも類似する。

サルベージ屋 編集

パクリ屋に奪われた手形を取り戻すと謳い、振出人に法外な手数料を請求する者をいう。

この種の詐欺で用いられる手形は主に融通手形であり、表沙汰になれば重大な信用低下を招くため、迅速に回収したいという心理を突いた手口である。

過去の巨額手形詐欺事件 編集

  • 1964年 - 吹原産業事件。自民党総裁選に絡んで様々な金融犯罪が行われたが、その中で大規模な手形の騙取も行われた[2]
  • 1982年 - 張玲子事件朝鮮語版。韓国で約800億円規模の巨額手形詐欺事件が発生し、大手の鉄鋼会社や建設会社の倒産に波及[3]

脚注 編集

  1. ^ 悪徳商法の種類(3)~手形詐欺、サルベージ屋~”. 東京商工リサーチ (2014年1月27日). 2021年7月4日閲覧。
  2. ^ 早稲田大学商法研究会「〔商事判例研究〕40 手形行為または原因契約の取消と害意ある所持人への対抗等(吹原産業手形詐欺事件関係三判決)」『早稲田法学』第68巻第3-4号、早稲田大学法学会、1993年3月30日、189-213頁、NAID 120000788455 
  3. ^ 朝日年鑑 1983』朝日新聞社、49頁。

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