排障器(はいしょうき)とは、鉄道車両に装着されている、線路上の障害物をはね避け、車体下に巻き込んで運転に支障をきたすことの無い様にするための物である。比較的小さな障害物を対象とした排障器および補助排障器と、人や自動車などの巻き込みに主眼を置いた排障装置(スカート)[要出典]に分けられ、いずれも先頭車に取りつけられる。 事故が起きるとここで被害に遭う場合が一番多い。

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排障器 編集

後述する排障装置の登場以前から使われ続けているもので、先頭部分の台車車輪の直前に付けられ、小さい障害物(石など)をはね避ける目的で装備されている。台車枠に鋼板製のステーで取り付けられ、台車と同じ色で塗装されている。鉄道事業者によっては意匠を凝らしてプレスや曲げ加工されたものも存在するが、そのような加工が一切なされていない簡素なものが多い。レール直近にはゴム板の補助排障器が取り付けられる[要出典]

排障装置 編集

スカートと呼ばれる。排障器より手前に設置される。

踏切等で立ち往生している自動車に衝突した場合に、排障装置が取り付けられていないと自動車を車体下に巻き込み、床下機器を損傷させてしまうが、排障装置を取り付けていればこれを避けることができる。特に2000年代後期以降は、鉄道人身障害事故発生時に、負傷者を車体下に巻き込ませないことを目的とした設計・構造の排障装置を各社開発、搭載している。

1960年代新幹線特急形車両など、高速運転する車両にのみ取り付けられていたが、近年では人身事故・踏切障害事故の軽減と車両デザインのアクセント的意味合いも強くなっており、通勤一般形車両や地下鉄など踏切が存在しない路線の車両でも新製時に取り付けられることが多い。また従来車両にも運転区間の拡大や更新工事に際して新たに取り付けられたり、落成当初から取り付けられていた車両でも強化型(大型化や板厚増大)に換装されることが多い。一方、踏切があっても走行速度も低い路線では、取り付け工事が後回しにされる例もあり、特に客車で排障装置が取り付けられた車両はE26系やジョイフルトレインのオリエントサルーン等ごく少数に限られている。また、第三軌条方式の路線での採用は少なく、日本では北大阪急行電鉄の車両のみとなっている。

材質は鋼鉄などの金属製であり、時速200キロを超える新幹線では障害物を巻き込むと被害が甚大になるため、確実に取り除かねばならない。そのため何重にも重ねて取り付けられていた。塗装はグレーや黒が大半を占めるが、新幹線0系電車など車体色と合わせたものもある。取り付け位置は車両の先頭部分の床下、連結器まわりを囲っている場合がほとんどである。

関連項目 編集