日の出を探す盲目のオリオン
『日の出を探す盲目のオリオン』(ひのでをさがすもうもくのオリオン、仏: Paysage avec Orion aveugle cherchant le soleil、英: Blind Orion Searching for the Rising Sun)は、1658年にフランスの巨匠ニコラ・プッサンによって描かれた、ギリシア神話の主題を持つ後期の風景画である。現在、ニューヨークのメトロポリタン美術館に所蔵されている[1]。
フランス語: Paysage avec Orion aveugle cherchant le soleil 英語: Blind Orion Searching for the Rising Sun | |
作者 | ニコラ・プッサン |
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製作年 | 1658年 |
素材 | キャンバス、油彩 |
寸法 | 119.1 cm × 182.9 cm (46.9 in × 72.0 in) |
所蔵 | メトロポリタン美術館、ニューヨーク |
概要 編集
本作の主題を扱った作品はほかには知られていない[2]。プッサンは、ギリシアの作家ルキアノス (『邸宅について』27–29節) の中にある「盲目のオリオンはケダリオンを肩に乗せ、日の出る方向へと案内させた。朝日が彼の目を癒し始めた」というくだりを参考にしている[1]。
背の高い美青年オリオンは、キオス島の王オイノピオーンの娘メロペーに求婚するが許されず、やがて彼女を犯してしまう。王は立腹して、オリオンを盲目にする。その後、オリオンは、「東に進めば、太陽の光を眼に受けて視力を回復するであろう」という神託に導かれ、ケダリオンという少年を肩に載せて進んでいった[2]。そして、オーケアノスの果てまで辿り着いた後、オリオンを見たエーオース(暁)が彼に恋をし、兄ヘリオス(太陽神)がオリオンの目を直した[要出典]。
オリオンはエーオースと恋に落ちるが、やがて月の女神アルテミスと運命的な出会いをする。しかし、アルテミスの兄アポロンは二人が関係を持つことに反対し、オリオンを殺そうとする。そして、最終的にオリオンは誤って射られたアルテミスの矢に当たって死に、天に上り星になった。これがギリシア神話によるオリオン座の起源である[要出典]。
プッサンは、この神話について気象学的な解釈をした16世紀の論評も研究している。月が地球の蒸気を集めて雨に変える力を象徴するアルテミスを、雲の中に描いているのである。本作は、古典の神話と自然の脅威の両方に対するプッサンの関心を表している[1]。