日暮泰文

日暮泰文（ひぐらしやすふみ、1948年10月 - ）は、日本の音楽評論家。ブルース・インターアクションズ（Pヴァイン・レコード）創業者。

人物・来歴編集

東京都新宿区柏木に生まれ神奈川県藤沢市で育つ。茅ヶ崎北陵高校を経て慶應義塾大学法学部卒。

中高時代に米ポピュラー音楽、特にリズム＆ブルースに心酔し、ブルースの世界に深く入る。大学在学中の1968年に鈴木啓志とともにブルース＆ソウル・ミュージック愛好会を設立。中村とうようによって1969年に刊行された月刊誌『ニュー・ミュージック・マガジン』のレギュラー・ライターとなる。

ブルース愛好会の機関誌を発展させる形で雑誌『ザ・ブルース』を1970年に刊行、76年以降隔月刊全国誌となる。1971年に初来日したB.B.キングの評価をめぐる中村とうようとの論争が話題となる。1981年に誌名を『ブラック・ミュージック・リヴュー』（bmr）に変更。90年代以降、『ブルース&ソウル・レコーズ』、『ポップ・アジア』、『ロック画報』、『クッキーシーン』、『フェイダー・ジャパン』といった雑誌を発行する。

まったく未開拓だったブルースのマーケットを広げ、音楽の魅力を知らしめるべく、トリオレコード（ケンウッドのレコード部門）を説得、1973年にシカゴのデルマーク・レコード原盤によるブルースのシリーズ発売にこぎつけ、ブルースがブーム化する。

1975年、高地明とともに有限会社ブルース・インターアクションズを設立、代表取締役に就任。翌年独立レーベルＰヴァインから海外オーナーとのライセンス契約に基づくLPリリースを開始する。独立レーベルが洋楽をライセンスの下に日本発売するという形を確立、そのパイオニアとなる。

ブルース／ソウルからジャンルを広げ、アフリカ音楽、レゲェ、ハイチ、ラテン、ゴスペル、ジャズ、オルタナティヴ・ロック、ヒップホップ、邦楽等もリリース、約30年後には凡そ3,000タイトルのレコード、CD／DVDのカタログを持つ、世界レヴェルでも有数規模のレーベルに成長させる。

1979年、プロモーターとしてブルースマンの招聘を「ザ・ブルース・ショウ」として行う。毎年恒例のライヴとして1986年のアール・キング＆ジョニー・アダムズまで継続、その間ローウェル・フルスン（英語版）やジョン・リー・フッカーらの唯一度の日本ライヴを実現。

2007年、所有していた株式会社ブルース・インターアクションズ、Pヴァイン・レコード株式会社、（株式会社ペトロ・ミュージックの全株を株式会社スペースシャワーネットワークに売却譲渡、経営から離れる。

2008年、株式会社フライアーズ・ポイントを設立、高地明の株式会社ブライト・エコーズとの共同制作で、主に新規の録音を手掛ける。

著作編集

単行本編集

『ノイズ混じりのアメリカ：ブルース心の旅』（冬樹社、1980）のち講談社文庫（1984）
『のめりこみ音楽起業：孤高のインディペンデント企業、Pヴァイン創業者のメモワール』（同友館、2010）
『RLーロバート・ジョンスンを読む：アメリカ南部が生んだブルース超人』（ブルース・インターアクションズ、2011）
『ブルース百歌一望』（Pヴァイン、2020）

翻訳編集

ポール・オリヴァー『ブルースと話し込む』（土曜社、2016）^[1]

監修編集

ポール・オリヴァー『ブルースの歴史』（米口胡訳、日暮泰文解説、晶文社、1978。のち土曜社（2020））^[2]
レイバーン・フレーラッジ『シカゴ・ブルース：インサイダーの眼』（高橋誠訳、日暮泰文監修、ブルース・インターアクションズ、2001）
チャールズ・ソーヤー『キング・オブ・ザ・ブルース登場：B.B. キング』（染谷和美訳、日暮泰文監修、Pヴァイン、2015）

レコード・CDの監修（共同監修を含む）編集

1971　RCAブルースの古典（RCAビクター）
1974　ブルース名盤シリーズ（東芝EMI）
1975　チェス・ブルース・コレクションズ（ビクター音楽産業）
1975　RCAブルース・コレクターズ・シリーズ（ビクター音楽産業／RVC）
1976　ニューオーリンズ・ブルース/R&Bシリーズ（東芝EMI）
1977　Ｂ.Ｂ.キング選集（日本コロムビア）
1977　Rockin’ with the Blues シリーズ（ビクター音楽産業）
1978　デューク・ピーコック・コレクション（日本コロムビア）
2015　コンプリート・B.B.　King-17枚組CD+1LPボックス（P-Vine）

制作・プロデュース編集

以下は、ALLMusicのリスト^[3]を参照した。

1995　Snooks Eaglin/Soul Train from Nowlins
1995　Robert Jr. Lockwood/Swings in Tokyo (P-Vine)
1998　The Drums Project 1-4 (P-Vine)
1998　Roy Gaines/Bluesman for Life (P-Vine)
1999　Yoshihide Otomo/Plays the Music of Takeo Yamashita (P-Vine)
2002　Tony Allen/No Accommodation for Lagos/No Discrimination (P-Vine)
2002　The J.B.’s/Bring the Funk on Down (P-Vine)
2011　Lee “Scratch” Perry/Rise Again (P-Vine)
2011　Cornell Dupree/Doin’ Alright (P-Vine)
2014　Bloodest Saxophone feat. Jewel Brown/Roller Coaster Boogie (Mr. Daddy-O/Kadokawa)
2015　Sherwood Fleming/Blues Blues Blues (KTI/Disc Union)
2018　Bloodest Saxophone/In Texas (Mr. Daddy-O/Space Age)
2019　Crystal Thomas/Don’t Worry About the Blues (Mr.Daddy-O/Space Age)