昆虫館
昆虫館(こんちゅうかん、英: insectarium)とは、生きている昆虫を展示する博物館である。昆虫園、昆虫生態館ともいう[1]。昆虫館はクモ、カブトムシ、ゴキブリ、アリ、ハチ、ヤスデ、ムカデ、コオロギ、バッタ、ナナフシ、サソリ、カマキリなど様々な種類の昆虫や節足動物を常設展示している。展示物は陸生の節足動物や類似の動物を研究する昆虫学者、クモ学者や他の科学者にとっては仕事として重要であり、昆虫の種類、生息地といった昆虫について学べることに集中できる。
蝶園はチョウとガを展示している特殊な昆虫館である。さらに、これらは多くの動物園、植物園、ネイチャーセンター、自然史博物館、科学館のように季節に応じたチョウを展示している。
世界の昆虫館 編集
アメリカ 編集
- en:Long Island Aquarium and Exhibition Center - ニューヨーク州リバーヘッド (Riverhead (town), New York)
- Philadelphia Insectarium and Butterfly Pavilion(en:Insectarium (Philadelphia)) - ペンシルバニア州フィラデルフィア
- デトロイト動物園 - ミシガン州ロイヤルオーク
- en:Cincinnati Zoo and Botanical Garden - オハイオ州シンシナティ
- バイエル昆虫館(セントルイス動物園内) - ミズーリ州セントルイス
- ヘンリー・ドーリー動物園&水族館 - ネブラスカ州オマハ
- 国立自然史博物館 - ワシントンD.C.
- オーデュボン昆虫館 - ルイジアナ州ニューオーリンズ
- ヒューストン自然科学博物館 - テキサス州ヒューストン
- en:Bohart Museum of Entomology(カリフォルニア大学デービス校内) - カリフォルニア州デイビス
- ロサンゼルス郡自然史博物館 - カリフォルニア州ロサンゼルス
- サンフランシスコ動物園 - カリフォルニア州サンフランシスコ
カナダ 編集
- モントリオール昆虫館 - ケベック州モントリオール
- ニューファンドランド昆虫館 - ニューファンドランド・ラブラドール州
- en:Victoria Bug Zoo - ブリティッシュコロンビア州ビクトリア
- en:Victoria Butterfly Gardens - ブリティッシュコロンビア州ブレントウッドベイ
イギリス 編集
フランス 編集
イタリア 編集
タイ 編集
- Bangkok Butterfly Garden and Insectarium - バンコク
台湾 編集
中国 編集
日本の昆虫館 編集
ヨーロッパにおける昆虫館が「生きた昆虫」を紹介するテラリウム形式なのに対し、日本における昆虫館は名和昆虫博物館(1907年開館)、平山昆虫博物館(1930年開館)、宝塚昆虫館(1939年開館[注釈 1])など、いずれも最初は「標本展示」から始まった[4]。1954年に宝塚昆虫館が生きた虫を見せるテラリウム形式の「生態展示」を始め、その後、豊島園昆虫館、国立科学博物館付属自然教育園、多摩動物公園なども生態展示を開始した[5]。
1990年には矢島稔が中心となり全国昆虫施設連絡協議会が設立された[6]。2021年6月時点で22の施設が加盟している[7]。
日本の昆虫館一覧 編集
日本に所在する昆虫館を県別に記載する。便宜を考え、昆虫標本を多く所蔵する博物館や、蝶やカブトムシなどが観察できる施設等も一覧に含めた。
北海道 編集
- 丸瀬布昆虫生態館(丸瀬布森林公園いこいの森)[8][9][10]
- ひがし大雪自然館[11]
- 釧路市立博物館
- 当麻世界の昆虫館 パピヨンシャトー[12][9][10]
- 栗山町ファーブルの森 観察飼育舎
- ところ昆虫の家[13]
青森 編集
岩手 編集
秋田 編集
宮城 編集
山形 編集
福島 編集
茨城 編集
栃木 編集
群馬 編集
埼玉 編集
千葉 編集
東京 編集
- 国立科学博物館
- 板橋区立昆虫公園
- ファーブル昆虫館「虫の詩人の館」[22][19][17]
- 大田原市ふれあいの丘 自然観察館[19][9]
- 足立区生物園[19][17][15]
- 多摩動物公園 昆虫園[17][15]
- 諏訪クワガタ昆虫館[23][17]
- 目黒寄生虫館
神奈川 編集
山梨 編集
長野 編集
新潟 編集
富山 編集
石川 編集
福井 編集
静岡 編集
愛知 編集
岐阜 編集
三重 編集
滋賀 編集
京都 編集
大阪 編集
兵庫 編集
- 伊丹市昆虫館[17][15]
- 兵庫県立人と自然の博物館[17]
- 佐用町昆虫館[36][35]
- 赤松の郷昆虫文化館(播磨昆虫民俗資料館)[37]
- たつの みんなの昆虫館[38]
- しい茸ランドかさや[35]
- リフレッシュパーク市川[35][9]
- おもしろ昆虫化石館
奈良 編集
和歌山 編集
鳥取 編集
島根 編集
岡山 編集
広島 編集
山口 編集
香川 編集
愛媛 編集
徳島 編集
高知 編集
福岡 編集
佐賀 編集
長崎 編集
熊本 編集
大分 編集
宮崎 編集
鹿児島 編集
沖縄 編集
かつて存在した昆虫館 編集
- 木馬館(東京、1907年開館、当初は昆虫館だった)
- 平山博物館(東京、1930年開館、1955年頃に閉館)
- 蝉類博物館(東京、1938年開館、加藤正世の没後閉館)
- 宝塚昆虫館(兵庫、1967年閉館[3]、宝塚ファミリーランドは2003年閉園)
- 近鉄玉手山遊園地(大阪、1998年閉館)
- 三原恵下谷昆虫園(広島、1977年開館、閉館時期は不明)
- 兵庫県千種川グリーンライン昆虫館(兵庫県昆虫館、1971年開館、2008年閉館)[44]
- 夢虫館(香川、2009年閉館)
- 札幌市円山動物園 昆虫館(北海道、昆虫館は1974年開館、2010年閉館[45])
- みやこパラダイス(沖縄、2011年閉鎖)
- はこね・おだわら昆虫館(神奈川、2014年7月閉館)[46]
- 板橋区ホタル生態環境館(東京、2015年閉館)
- おごせ昆虫と自然の館(埼玉、2019年3月21日閉館[47]、同年、移転して加須市大越昆虫館として開館[20])
- こぶちさわ昆虫美術館(山梨、2019年11月閉館)
- としまえんのもり 昆虫館(東京、前身は1957年開館の豊島園昆虫館、2020年閉園)
- ウェスパ椿山(青森、2020年閉園)[48]
- 琉宮城蝶々園(沖縄、2021年頃閉園)[49]
脚注 編集
注釈 編集
出典 編集
- ^ "昆虫館". 小学館デジタル大辞泉. コトバンクより2022年5月20日閲覧。
- ^ ヤマザキマリ (2018年8月19日). “パドヴァの昆虫博物館 Esapolis”. ヤマザキマリ・Sequere naturam:Mari Yamazaki's Blog. 2023年11月16日閲覧。
- ^ a b 松田真平「昆虫園について」『やどりが』第2003巻第199号、日本鱗翅学会、2003年、40-45頁、doi:10.18984/yadoriga.2003.199_40、ISSN 0513417X、NAID 110007631423、2022年6月28日閲覧。
- ^ 矢島 2003, p. 238-239.
- ^ 矢島 2003, p. 240-244.
- ^ 昆虫館はスゴイ! 昆虫館スタッフの内緒話. 版元ドットコム. 2022年5月21日閲覧
- ^ 全国昆虫施設連絡協議会 2021, p. 217.
- ^ 丸瀬布昆虫生態館 | 観光・遊び | 遠軽町. 2022年5月19日閲覧
- ^ a b c d e f g h i j k l m n “カブトムシ・クワガタ好きにおすすめの昆虫館・体験施設まとめ!展示・ふれあいが満載”. るるぶKids (2021年8月4日). 2022年5月22日閲覧。
- ^ a b c d e f “北海道・東北のおすすめ昆虫館。カブトムシとのふれあい、体験プログラムなど充実”. るるぶKids (2021年7月29日). 2022年5月22日閲覧。
- ^ “ひがし大雪自然館”. 上士幌町観光協会. 2023年12月14日閲覧。
- ^ 昆虫館パピヨンシャトー - 当麻町. 2022年5月19日閲覧
- ^ ところ昆虫の家 <施設の目的>. 2022年5月19日閲覧
- ^ サンクチュアリセンターつきだて館(昆虫館)|栗原市観光ポータルサイト ぎゅぎゅっとくりはらのホームページ(公式ホームページ). 2022年5月19日閲覧
- ^ a b c d e f g h i j “専門家推薦 親子で楽しめる、昆虫の楽園”. 日経電子版 (2016年8月14日). 2022年5月20日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k 『学研の図鑑LIVE 昆虫新版』Gakken、2022年7月5日発行、ISBN 978-4052051760、286-287頁
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p “【全国】昆虫マニアおすすめの「昆虫館・博物館」15選!クワガタや水生昆虫も観察しよう”. じゃらん (2022年5月10日). 2022年5月20日閲覧。
- ^ つくば市豊里ゆかりの森 公式サイト || その他施設. 2022年5月19日閲覧
- ^ a b c d e “関東のおすすめ昆虫館5選!カブトムシや蝶、かいこやホタル、いろんな生物に会いに行こう”. るるぶKids (2021年7月29日). 2022年5月20日閲覧。
- ^ a b 米沢信義 (2019年5月21日). “埼玉)昆虫館、加須に移転オープン”. 朝日新聞デジタル. 2023年11月10日閲覧。
- ^ “よりいトンボ自然館”. よりい町にトンボ公園を作る会. 2023年12月14日閲覧。
- ^ 文京区 ファーブル資料館(虫の詩人の館). 2022年5月19日閲覧
- ^ 諏訪クワガタ昆虫館(三鷹市) | みたかナビ. 2022年5月19日閲覧
- ^ “解剖学者・養老孟司の棚。「棚を作ることは、階層構造を作ること」”. BRUTUS. マガジンハウス (2022年8月28日). 2023年5月6日閲覧。
- ^ “ペンション すずらん”. ぐるり甲州市. 山梨県甲州市観光協会 (2022年12月26日). 2023年11月16日閲覧。
- ^ 世界昆虫館|辰野町公式ホームページ. 2022年5月19日閲覧
- ^ 昆虫体験学習館 – 佐久平ハイウェイオアシス「パラダ」. 2022年5月19日閲覧
- ^ 胎内市/胎内昆虫の家. 2022年5月19日閲覧
- ^ 施設ガイド 竜洋昆虫自然観察公園|磐田市公式ウェブサイト. 2022年5月19日閲覧
- ^ a b c “東海のおすすめ昆虫館。国内外のカブトムシ、世界の昆虫などを観察”. るるぶKids (2021年7月30日). 2022年5月22日閲覧。
- ^ “「世界の昆虫館」が「朝比奈 龍勢・昆虫館」としてリニューアルオープン 静岡・藤枝市”. LOOK 静岡朝日テレビ (2023年6月27日). 2023年7月11日閲覧。
- ^ ふるさと世界の昆虫館/ハローナビしずおか 静岡県観光情報. 2022年5月19日閲覧
- ^ 昆虫採集記. 2022年5月19日閲覧
- ^ 谷汲昆虫館 | 揖斐川町ホームページ. 2022年5月19日閲覧
- ^ a b c d e f “関西の昆虫館6選。カブトムシやクワガタ、蝶とのふれあいや、標本なども見ごたえ十分”. るるぶKids (2021年7月29日). 2022年5月22日閲覧。
- ^ 佐用町昆虫館 - 作用町観光協会. 2022年5月19日閲覧
- ^ 赤松の郷 昆虫文化館 | 上郡町観光協会. 2022年5月19日閲覧
- ^ たつのみんなの昆虫館 - 【公式】兵庫県たつの市の観光サイト. 2022年5月19日閲覧
- ^ 倉敷昆虫館|観光スポット | 岡山観光WEB【公式】. 2022年5月19日閲覧
- ^ “北九州市ほたる館”. 北九州市ほたる館. 2022年6月7日閲覧。
- ^ a b c d “九州のおすすめ昆虫館。カブトムシに1年中会えたり、日本最大級の蝶の観察ができる!”. るるぶKids (2021年7月30日). 2022年5月22日閲覧。
- ^ 直川憩の森公園 昆虫館 | 観光スポット | 佐伯市観光ナビ. 2022年5月19日閲覧
- ^ 与那国観光WEB » アヤミハビル館. 2022年5月19日閲覧
- ^ “旧兵庫県昆虫館と館の廃止まで”. 佐用町昆虫館 (2008年3月14日). 2023年5月2日閲覧。
- ^ “円山動物園の歴史”. 札幌市円山動物園 (2021年6月11日). 2023年11月14日閲覧。
- ^ “ヒメハルゼミなど珍種の標本も 小田原で昆虫展”. 神奈川新聞 (2014年8月21日). 2022年5月21日閲覧。
- ^ “== 越生町 昆虫と自然の館 ==”. 越生町 昆虫と自然の館. 2023年11月14日閲覧。
- ^ “青森)ウェスパ椿山、10月終了へ コロナで売り上げ減”. 朝日新聞 (2020年6月6日). 2023年7月11日閲覧。
- ^ 琉宮城蝶々園【閉園】 | 沖縄観光情報WEBサイト おきなわ物語. 2022年5月19日閲覧
参考文献 編集
- 矢島稔『謎とき昆虫ノート』NHK出版〈NHKライブラリー〉、2003年6月15日。ISBN 414084163X。
- 全国昆虫施設連絡協議会『昆虫館はスゴイ! - 昆虫館スタッフの内緒話』repicbook、2021年。ISBN 978-4908154317。
関連文献 編集
- 矢島稔『日本の昆虫館 - 戦前と戦後のあゆみ』東海大学出版会、2012年。ISBN 978-4486019138。