映画のレイティングシステム

映画のレイティングシステム(英語:rating system)は、映画鑑賞の際にその映画を見ることができる年齢制限の枠、およびその規定。

先進国を中心に多くの国で規定されており、日本では映画倫理委員会(映倫)が審査を行っている。

各国のレイティングシステムの比較

各国または各地域で現在使用されている分類・規定の比較を下記の表で示す。

国/地域・規定 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17+ アダルト[1] 備考
日本の旗 日本映画倫理委員会 G PG12 R15+ R18+
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国MPAA G PG PG-13 R NC-17
ブラジルの旗 ブラジルMJ/DEJUS ER / L 10 12 14 16 18
イギリスの旗 イギリスBBFC U PG 12/12A 15 18 誰でもPGや12Aの映画を見ることができるが、それぞれ8歳以下または12歳以下の子供には適さないコンテンツが含まれていると親への注意が喚起されている。
ドイツの旗 ドイツFSK FSK 0 FSK 6 FSK 12 FSK 16 FSK 18
ポーランドの旗 ポーランドKRRiT BO 7 12 15 18/21 7は「公式の」レイティングとは考えられていない。
フィンランドの旗 フィンランドVET/SFB K-3 K-7 11+ 15+ 18+ 3歳以下の子供はK-3から15+の作品は保護者同伴でないと見ることができない。
香港の旗 香港・電影検査 I IIA IIB III 18歳以上のみカテゴリーIIIの映画を見ることが許されている.
中華民国の旗 台湾GIO 普遍
(普)
保護
(護)
輔導
(輔)
限制
(限)
護と輔の作品は保護者または教師の同伴が必要。
オーストラリアの旗 オーストラリアACB G PG M MA15+ R18+ MA15+とR18+のみ法律で制限されている。
ニュージーランドの旗 ニュージーランドOFLC G PG R13 R16 R18 全年齢でMの作品は見ることができるが、16歳以上により適したコンテンツであると親への注意が喚起されている。
M

日本

映倫維持委員会(映画業界内で構成)が定め、第三者機関である映画倫理委員会が実施・管理する映画倫理規定(通称:映倫規定)が用いられる。1976年より中学生以下の鑑賞には成人保護者の同伴が必要となる一般映画制限付(R指定)が導入され、1998年5月にPG-12、R-15、R-18に細分化された。さらに、2009年の「映倫の大改革」に伴い下記のように区分名称が変更されている。

かつては性的シーンの有無が重要な判断要素とされたが、神戸連続児童殺傷事件などの猟奇的な犯罪事件の発生を踏まえ、1990年代以降は暴力や殺人など、反社会的行為に関する描写の重要性が高まっている。

2006年7月に設置された映像コンテンツ倫理連絡会議で、DVD作品やゲームソフト等とのレイティングの審査基準・表示の統一化が検討されており、将来的に審査区分が変更される可能性がある。

現行の区分

G
あらゆる年齢層が鑑賞できる。1998年5月以前の一般映画と、1998年5月から2009年4月末までの一般を改定。
PG12
12歳未満(小学生以下)の鑑賞には成人保護者の助言や指導が適当。
性・暴力・残酷・麻薬などの描写や、ホラー映画など、小学生が真似をする可能性のある映画がこの区分の対象になる。アニメ映画に関しても対象となる。地上波放送の場合、CSとは異なりG指定と同様に扱われるケースが多く、新聞や雑誌の番組表にも「PG12指定」と表記されない。
仮面ライダー THE NEXT』、『ボーイズ・ドント・クライ』、『バイオハザード』、『フレイルティー 妄執』などは、ほとんどの国でR15+かR18+相当に指定されたが、日本ではPG12指定となった。また、ビデオ映画(OVAも含む)では、『テディです! TEDDY DEATH』が現在のところ唯一PG12に指定(自主規制)された作品となっている。
R15+
15歳未満の入場(鑑賞)を禁止。いわゆる15禁。単にR指定と表現する場合、これを指すことが多い。
1998年5月以前のR指定および1998年5月から2009年4月末までのR-15指定を改定。これまでと同様、PG12より刺激が強いものに加え、いじめ描写も審査の対象になる。また放送禁止用語を使用した作品(『寝ずの番』、『座頭市』など)や偽造犯罪(『スワロウテイル』など)を題材にした作品も対象となる。
地上波放送の場合、深夜に放送したり、不適切なシーンがカットされることが多い。新聞や雑誌の番組表にも「R-15指定」または「R15+指定」と表記されることがある。
R18+
18歳未満の入場(鑑賞)を禁止。いわゆる18禁、成人映画。
1998年5月以前の成人映画および1998年5月から2009年4月末までのR-18指定を改定。R15+に加え、著しく性的感情を刺激する行動描写、著しく反社会的な行動や行為、麻薬・覚醒剤の使用を賛美するなど極めて刺激の強い表現が審査の対象となる。

なお、R18+区分より過激な映画は映倫より審査適応区分外として扱われ、オリジナルビデオでリリースされたり(例:『オールナイトロング2』など)、映倫の審査を通過していない作品も上映できるミニシアターで上映される(例:『インプリント〜ぼっけえ、きょうてえ〜』)こととなる。

旧区分

一般映画制限付(R)
15歳未満(中学生以下)の入場(鑑賞)を禁止。別名、R指定。1976年に導入され、当初はアメリカと同じく保護者同伴に限り観賞できたが、多くの映画館で守られず、翌年に保護者同伴でも禁止となった。なお、日本映画のR指定第1号は『任侠外伝 玄界灘』、外国映画の第1号は『スナッフ』である[2]
成人指定
18歳未満の入場(鑑賞)を禁止。別名、成人映画。後のR-18。

アメリカ

1968年11月1日導入。アメリカ映画協会(MPAA)が審査を行う。レイティングを受けることは任意だが、アメリカの多くの映画館が加盟する劇場連盟はMPAAがレイティングした映画しか上映できない規定となっている。なお、1968年以前の映画は今でもレイティングを受けていないままのことが多い。

アメリカの映画・テレビ番組では、性描写や暴力シーンと並んで卑語についても非常に制限が厳しい[3]。性的な描写や含みがなくても、単に罵りなどで「Fuck」を1回使うだけでPG-13指定は免れず、2回使えばR指定される。言い換えとして、『Farscape』の「frell」や『Battlestar Galactica』の「frack」のような独自の隠語も生まれた。

また、映画内でのドラッグの使用に関しても大変厳しく、そのような場面があれば、最低でもPG-13指定になる。一方で喫煙シーンに関しては、レイティングが無頓着(ただし、子供の喫煙シーンがある場合はレイティング指定される)であることが指摘されていたが[4]、2007年に喫煙シーンが多い場合はレイティング指定を行う新基準を発表した。

以下は2006年度の基準である。

G (General audiences)
全年齢に適している。
ただし、時代によってMPAAの審査員の判断も異なり、例えば『猿の惑星』(1968年版)はG指定[1]だが、主人公がラストシーンで放送禁止用語を連発するため、後年のテレビ放送では同シーンのセリフの大部分がカットされている。
PG (Parental guidance suggested)
視聴(入場)制限はないが、子供に見せる前に保護者が内容を検討することを提案したもの。保護者の教育方針によっては、子供に適さないと考えられる内容を含む可能性がある作品。
判断は保護者に委ねられており、保護者によっては問題ないと判断したり、「保護者の監督」の提案自体を無視することもある。単なる注意喚起であり、日本の映倫なら「一般向け」とされる可能性も高い。例えば『E.T.』や『シュレック』はPG指定である。
G以外では最も弱い警告であり、問題になる要素があるというより、問題は蓋然的なレベルに留まる(明白に問題になる要素はない)という逆の意味の保証ともなる。例えば恋愛物でPG指定なら、日本で言う「成人向け要素」(濃厚なキスシーン)はない。子供に見せてよいかどうか慎重に検討すべき作品ならPG-13以上になるからである。
PG-13 (Parents strongly cautioned)
視聴(入場)制限はないが、13歳未満(12歳以下)の子供の観賞については、保護者の厳重な注意が必要。
暴力・恐怖表現・ヌード・卑語などを含むが、マイルドであるもの(露骨な性描写や激しい暴力描写があれば、R指定となる)。その他、何らかの意味で12歳以下に向いていない内容を含む可能性がある作品。PG指定の『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』が多くの子どもに恐怖感を与えたことが、PG-13制定のきっかけとなった[5]
「13歳なら見ても問題ない」「13歳以上にとっては適している(有益)」という判断であり、日本で言う「青少年に有害」などの観点とは異なる(例えば、『Princess Mononoke(もののけ姫)』はPG-13指定)。ティーンエイジャーを主な観客層に想定している作品では、PG指定が可能でも、「幼稚」とみなされて回避されないようにするために、わざとPG-13指定を狙う場合がある[6]
なお同一シリーズ内でも、作品によってレイティングが変わる場合がある。例えばハリー・ポッターシリーズは、第1 - 3、6作はPG指定、それ以外はPG-13指定となっている。また、スター・ウォーズ・シリーズは第6作のみがPG-13指定で、それ以外はPG指定である。
R (Restricted)
17歳以下の観賞は保護者の同伴が必要。
卑語、激しい暴力、ヌード、薬物乱用など成人向け要素を確実に含むと判断されたもの。子どもの喫煙、拳銃発砲、無許可の外泊などにも厳しく、それらを扱った『スタンド・バイ・ミー』はR指定となった。保護者には単に同伴が要求されるだけでなく、この作品を見せてよいかどうか慎重に検討することも強く求められる。
単純計算では、年齢指定が低いほど多くの観客数を見込めることになるため、性的・暴力的な描写を減らしたり、そのような印象を与える工夫を加える(例えば、『スタートレックVI 未知の世界』では、クリンゴン人の血の色を赤から菫色に変更した)ことがある。また、配給会社がR指定を不服として抗議することもある。『ソラリス』(2002年版)は、主役のジョージ・クルーニーの臀部が映っているという理由でR指定を受けたが、配給会社が抗議し最終的にPG-13指定に落ち着いた。
NC-17 (No children under 17)
17歳以下の観賞を全面的に禁止したもの。
極めて暴力的な映画や性描写が著しい映画。1990年までの「X指定」に該当し、日本の18禁に相当する。映画館によっては身分証明書が必要で、上映しない映画館も少なくない。
当初は17歳「未満」として、16歳以下の観賞を禁止していたが、1996年に区分名はそのままで、17歳「以下」と対象年齢が1歳引き上げられた。そのため、PG-13など他の区分と「未満」「以下」の用法が異なる。
NR (Not Rated) / Unrated
指定なし。自主映画や限定公開作品の場合、MPAAの審査を受けずNRになることがある。
コンサートなどの特別イベントを映画館で日時限定で中継・公開する場合や、IMAX専用に作られる作品(自然ドキュメンタリーなどの中編映画)も、おおむねNRである。
劇場公開版がPG-13ないしR指定になっている作品でも、DVD・Blu-ray化の際に「Director's Cut」や「Extended Edition」などと銘打ち、MPAAの審査を受けていない(「Unrated」の)特別版・再編集版が収録されることがある。特にホラーやサスペンス系の作品では、あえて「Not Rated」「Unrated」と表示することにより、「劇場では見せられないほど怖い」という印象を与えようとすることがある(実際には、劇場版よりも怖い・優れているとは限らない)。

イギリス

全英映像等級審査機構(BBFC)が倫理審査を行う。以下は劇場用映画の審査区分である。

大韓民国

映像物等級委員会が審査を行う。

「12歳以上観覧可」「15歳以上観覧可」の場合、保護者同伴に限り制限年齢未満の者も入場することができる。

香港

1988年11月導入。政府が審査を行う。

旧区分

マレーシア

1996年導入。レイティングはテレビ番組にも適用される。

脚注

  1. ^ 国や地域によって成人指定の年齢は異なる。
  2. ^ 「映画界の動き」 『キネマ旬報』 1976年6月下旬号、キネマ旬報社、186頁。
  3. ^ 日本では、卑語は性器に関するものが若干あるに過ぎず、小さな子供でもたいていそれらの言葉を既に知っているが、英語では宗教や性に関連する様々な卑語があり、子供にそうした言葉を一切聞かさないようにする傾向も強い。よって、野卑な言葉が使われている映画については「保護者の判断が必要」とされる。
  4. ^ Worth, Tanski, Sargent (2006-07) (PDF). Trends in Top Box Office Movie Tobacco Use: 1996-2004 (Report). American Legacy Foundation. http://smokefreemovies.ucsf.edu/pdf/Legacy-FirstLook16.pdf. 
  5. ^ 『インディ・ジョーンズ』 北米版DVDボックス 特典映像より。
  6. ^ 'Harry Potter' returns to PG territory」 Variety Entertainment News、2009年7月6日。

関連項目

日本の指定一覧
アメリカの指定一覧

外部リンク