月状溝(げつじょうこう、Lunate sulcus)は大脳後頭葉にある脳溝のひとつ[1]一次視覚野(有線皮質)の外側前方の境界を形成している[2]

脳: 月状溝
右端で「月状沟」と書かれているのが月状溝
名称
日本語 月状溝
英語 Lunate sulcus
ラテン語 sulcus lunatus
略号 lus
関連構造
上位構造 後頭葉
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歴史 編集

月状溝についての研究上の記述は、20世紀初頭から見られる[2]。Lunate sulcus という名称はオーストラリア出身の解剖学者グラフトン・エリオット・スミス英語版(1871年 – 1937年)によって与えられた[1]

解剖 編集

サル、ヒトなど類人猿の脳に見られる[2]後頭葉の外側面、後頭極の前方の位置を、後頭極を取り囲むようにして半月状に走るのが基本である。しかしその形態には個人差が大きい[3]

解剖学の標準的なテキストでは、多くの場合 分離した一つの脳溝として描かれているが、時に鳥距溝と接続しているものとして記述されていることもある[2]。大型類人猿では一つながりの一本の脳溝だが、ヒトの場合、多くの場合、複数に分離している[1]。ヒトにおいて、月状溝はすべての個体で見られるわけではなく、月状溝が見られない個体や、片方の大脳半球だけでしか月状溝が見られない個体がある[2]

関連項目 編集

脚註 編集

  1. ^ a b c Allen JS, Bruss J, Damasio H (August 2006). “Looking for the lunate sulcus: a magnetic resonance imaging study in modern humans”. Anat Rec A Discov Mol Cell Evol Biol 288 (8): 867–76. doi:10.1002/ar.a.20362. PMID 16835937. 
  2. ^ a b c d e Srijit D, Shipra P (2008). “Unilateral absence of the lunate sulcus: an anatomical perspective”. Rom J Morphol Embryol 49 (2): 257–8. PMID 18516336. 
  3. ^ 福尾 勉「日本人脳の月状溝に就いて」『日本医科大学雑誌』第27巻第2号、日本医科大学医学会、1960年、294-323頁、doi:10.1272/jnms1923.27.294JOI:JST.Journalarchive/jnms1923/27.294