森田 直行(もりた なおゆき、1961年12月1日 - )は、日本中央競馬会(JRA)・栗東トレーニングセンターに所属する調教師滋賀県出身[1]。史上初めて厩務員から直接調教師試験に合格した調教師である[2]

森田直行
2019年北九州記念表彰式
基本情報
国籍 日本の旗 日本
出身地 滋賀県
生年月日 (1961-12-01) 1961年12月1日(62歳)
所属団体 JRA
初免許年 2013年
経歴
所属 栗東T.C.
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来歴 編集

1984年10月にJRA競馬学校厩務員課程に入学。1985年1月に栗東長浜彦三郎厩舎の厩務員となる。1988年8月からは長浜博之厩舎、1989年3月からは福島信晴厩舎、2007年3月からは松田博資厩舎で厩務員を勤めた[1]。最も長く勤務した福島厩舎では様々な仕事を任され、栄養学獣医学を学んだ[2]

2012年に調教師試験に合格[3]矢作芳人調教師の下で1年間技術調教師として研鑽を積み[2]2014年3月1日に厩舎を開業。同年6月14日の阪神11R(安芸ステークス)をキョウエイアシュラで制し、初出走から通算64戦目で初勝利を挙げた[4]。同年9月11日にはテレ玉杯オーバルスプリントをキョウエイアシュラで制し、ダートグレード競走初制覇[5]

開業初年度は中央では4勝。2年目と3年目も8勝ずつと、初年度から3年連続で二桁の勝ち星には届かなかった。しかし、調教方法に変化を加えた2017年からは勝ち星を伸ばしており、同年は22勝を記録している[2]

2018年7月29日、アイビスサマーダッシュを1番人気のダイメイプリンセスで制し、開業6年目でJRA重賞初制覇。2着にも管理馬のラブカンプーが入り、自身の初重賞をワンツー決着で飾った[6]

2021年1月31日、小倉競馬第4Rでコーンススが勝利し、JRA通算100勝を達成した[7]

厩務員からの転身 編集

厩務員だった森田が調教師を志したきっかけは、福島信晴厩舎に所属していた時期に[8]、全国競馬労働組合から独立した組合「21世紀」の組合長が「調教師試験を受けてみろ。これからは助手からもバンバン受かる時代が来る」と全組合員に対して述べた言葉であった。ただし、調教師試験の受験まで辿り着いた厩務員は森田ただ1人で、40~50人いたという同志は勉強が続かず脱落していった[2]。体重の増加で重い時は約70kgに達し、オレンジ帽(調教厩務員)時代に福島師から「もう乗らんでいい」と言われていたため、調教助手を経ての受験は選択肢から外れていた[8]

森田は受験期について、「最初の3年ほどは適当にやっていた。でも、時間の無駄だし、本腰を入れて勉強したら5回目に1次試験を受かってね。当時の公正室長に『厩務員から受かりますかねぇ』って相談したら『関係ないから頑張れ』って。それでやる気が出た」と振り返っている。仕事中も勉強したメモをポケットに入れたり、携帯電話に保存した競馬法規を読んだり、「風呂と食事以外は勉強していた」という生活を続けた[2]

2011年5月には妻をガンで亡くし、受験を断念することも考えたが、公正室長の励ましや、後押しをしてくれていた妻の思いに背中を押され、受験を継続。翌年、11回目の挑戦で悲願の合格を果たした[2]

厩舎の理念は『馬を壊さず鍛える』。調教方針はかつて所属した松田博資厩舎のスタイルを受け継ぎ、ハードな調教を実施している。ハードな調教には故障のリスクがついて回るため、松田と同様に、朝一番に全馬の脚元や歩様をチェックして、運動に出る前も歩様を見て送り出すことを日課にしている[2]

調教師成績 編集

概要 編集

日付 競馬場・開催 競走名 馬名 頭数 人気 着順
初出走 2014年3月2日 1回小倉8日8R 4歳以上500万下 レーヴドプランス 18頭 9 7着
初勝利 2014年6月14日 3回阪神3日11R 安芸ステークス キョウエイアシュラ 12頭 4 1着
重賞初出走 2014年7月13日 3回中京4日11R プロキオンステークス キョウエイアシュラ 16頭 13 10着
重賞初勝利 2014年9月11日 浦和11R テレ玉杯オーバルスプリント キョウエイアシュラ 11頭 4 1着
GI初出走 2018年9月30日 4回中山9日11R スプリンターズステークス ラブカンプー
ダイメイプリンセス
16頭 11
10
2着
4着

主な管理馬 編集

重賞優勝馬 編集

※括弧内は当該馬の優勝重賞競走

その他 編集

年度別成績 編集

森田直行の年度別成績(netkeiba.com)を参照

脚注 編集

  1. ^ a b JRAホームページ「調教師名鑑」(2019年9月28日閲覧)
  2. ^ a b c d e f g h “【競馬】分岐点を境に人生が一変!“厩務員一筋”だった森田直行師が調教師道一直線”. デイリースポーツ. (2018年8月7日). https://www.daily.co.jp/opinion-d/2018/08/07/0011518440.shtml 2019年9月27日閲覧。 
  3. ^ “ダービージョッキー石橋守 2度目挑戦で調教師試験合格”. スポーツニッポン. (2012年12月7日). https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2012/12/07/kiji/K20121207004721100.html 2019年9月28日閲覧。 
  4. ^ “アシュラが森田師に初Vプレゼント/安芸S”. 日刊スポーツ. (2014年6月14日). https://www.nikkansports.com/race/news/f-rc-tp0-20140614-1317662.html 2019年9月28日閲覧。 
  5. ^ “キョウエイアシュラが快勝、森田師ともども重賞初V/テレ玉杯オーバルスプリント・浦和”. netkeiba.com. (2014年9月1日). https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=90485 2019年9月28日閲覧。 
  6. ^ “ダイメイプリンセスが直線女王に/アイビスSD”. 日刊スポーツ. (2018年7月30日). https://p.nikkansports.com/goku-uma/news/article.zpl?topic_id=1&id=201807300000150&year=2018&month=07&day=30 2019年9月28日閲覧。 
  7. ^ 開催競馬場・今日の出来事(1月31日(日曜)) JRA”. jra.jp. 2021年1月31日閲覧。
  8. ^ a b 森田直行調教師(1)『JRA史上初!厩務員から調教師へ、前例なきことへの戦い』”. netkeiba.com (2014年5月5日). 2019年9月28日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集