椿姫(つばきひめ、Camille)とは、アメリカ合衆国の劇映画。サイレントアレクサンドル・デュマ・フィスの『椿姫』の映画化で、主演はアラ・ナジモヴァルドルフ・ヴァレンティノ[3]。原作は1840年代のパリが舞台だが、1920年代に変更されている。大胆なアール・デコ風セットをデザインしたのは美術監督のナターシャ・ランボヴァ英語版で、後にヴァレンティノと結婚した。

椿姫
Camille
新聞広告(1922年3月)
監督 レイ・C・スモールウッド
脚本 ジューン・メイシス
原作 アレクサンドル・デュマ・フィス椿姫
出演者 ルドルフ・ヴァレンティノ
アラ・ナジモヴァ
アーサー・ホイト
撮影 R・J・ベルギスト
製作会社 アメリカ合衆国の旗 ナジモヴァ・プロダクション
配給 アメリカ合衆国の旗 メトロ・ピクチャーズ・コーポレーション
日本の旗 日活
公開 アメリカ合衆国の旗1921年9月26日
日本の旗1924年10月17日[1]または1922年[2]
上映時間 70分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 サイレント映画(英語インタータイトル)
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左から、ナジモヴァ、ホイト、ヴァレンティノ
『椿姫』本編、字幕なし

日本では1924年に公開され、その年のキネマ旬報ベストテン「芸術的に最も優れた映画」の第3位に選出された。なお、それ以前に『カミーユ』という邦題で公開されたとする資料もある[2][4][5][6]

あらすじ 編集

ところはパリ。若き法学生アルマンは友人のガストンとオペラ観劇に行く。そこでアルマンは、派手な衣装を着飾って男たちをはべらせる美女マルグリットを知る。ガストンの紹介で、アルマンはマルグリットの家のパーティに招かれる。客たちが乱痴気騒ぎしている間、アルマンはマルグリットの愛を得る。

夏ーー二人は付き合っている。幸せな日々。しかし、アルマンの父親は息子の将来を心配し、マルグリットに別れてくれるよう頼む。最初は拒否するマルグリットだが、娼婦である身の上を考えると、父親の言うことはもっとも。泣く泣く了解して、ガストンに宛てた別れのメッセージを書き残し、パリを去る。

秋ーーマルグリットに捨てられたと思ったアルマンは自暴自棄になっている。ある晩、別の娼婦を連れて、カジノで遊んでいたら、偶然、マルグリットも店に来る。アルマンはよりを戻そうとするが、マルグリットは父親との約束を守り固辞。逆上したアルマンは大勢の客たちの前で公然とマルグリットをなじる。

冬ーーマルグリットは持病が悪化し、病床に伏している。さらに財産も底を突き、アルマンとの思い出の本(『マノン・レスコー』)以外の全財産を没収される。

ガストンが新妻のニシェットと見舞いに駆け付けた時は、瀕死の状態で、マルグリットは薄れゆく意識の中、アルマンとの幸せだった日々を追走しながら、「眠らせて。私は幸せ」と言い残して、息を引き取った。

キャスト 編集

反応 編集

『Picture Play』誌1921年8月号には「ナジモヴァとヴァレンティノのモダーンなキャラクター造形に圧倒されて、我々の知るカミーユとアルマンはどこかに行ってしまった。ところどころビザールで、あとは狂騒的。刺激的な場面の連続は保証する。全世代を涙させる椿姫ではない。時代を越えた原作ではあっても、ナジモヴァの映画なのだから。良かれ悪しかれ、無視するにせよ、興味深い映画である」と書かれている[7]

脚注 編集

  1. ^ 東京朝日新聞 大正13年(1924年)10月14日夕刊の広告(帝国ホテル演藝場)
  2. ^ a b 『20世紀アメリカ映画事典―1914→2000日本公開作品記録』カタログハウス、2002年、263頁。ISBN 978-4905943501 
  3. ^ silentera.com (8 March 2011), Progressive Silent Film List: Camille (1921), http://www.silentera.com/PSFL/data/C/Camille1921.html 2016年7月29日閲覧。 
  4. ^ カミーユ - KINENOTE - ただし同じスタッフ・キャストの『椿姫 (1924)』のデータも存在する
  5. ^ カミーユ - MOVIE WALKER PRESS - ただしタイトルのみの『椿姫 (1921)』のデータも存在する
  6. ^ カミーユ - IMDb(英語)
  7. ^ “Camille”. Picture-Play Magazine 14: 76. (August, 1921). https://archive.org/stream/pictureplaymagaz14unse#page/n653/mode/2up 2015年8月18日閲覧。. 

外部リンク 編集