海軍犯罪捜査局(かいぐんはんざいそうさきょく、英語:Naval Criminal Investigative Service、略称:NCIS)とは、アメリカ合衆国海軍省傘下の法執行機関で、米海軍と海兵隊に関連する重罪級の犯罪を捜査する文民捜査組織である。本部はバージニア州海兵隊基地クワンティコ海兵隊基地にある。

Naval Criminal Investigative Service
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組織の概要
設立年月日1882
本部所在地クアンティコ米海兵隊基地
人員2,400
行政官
  • Omar R. Lopez(Director)
ウェブサイトwww.ncis.navy.mil

1991年、旧称・海軍捜査局(Naval Investigative Service 略称: NIS)から現在の名称に改称した。

概要 編集

 
NCISバッジ 捜査局員は連邦捜査官なので保持者番号は裏面に打たれている。また身分証明書はFBIや連邦保安官の物同様、長札入れ形式

米国の海軍犯罪捜査局 2400人の構成員のうち約半数は特別捜査官(Special Agent)である。彼らは、世界中で多種多様な任務を遂行するために訓練されている。海軍犯罪捜査局特別捜査官は連邦法犯罪を管轄する捜査官であり、武装が許容されている。軍の捜査機関ではあるが特別捜査官は軍人ではなく文官(法執行官:law enforcement officer)であり、よって海軍憲兵とは明確に地位が異なる。入局資格者は、アメリカ市民権を持ち4年制大学を卒業している36歳までの成人[1]

海軍犯罪捜査局特別捜査官は法科学監視と監視対抗策、コンピュータ捜査、フィジカルセキュリティ、ポリグラフ捜査などに熟練したさまざまな専門家のバックアップを受けている。

任務(管轄)は、脱走兵の追跡逮捕、海軍と海兵隊内部で行われる汚職や犯罪の捜査(軍法違反)、証人保護、国境を越える麻薬犯罪、反テロリズム、テロ対策、大規模国際詐欺、コンピュータ犯罪と防諜活動などである。

任務地は、米国内の海軍基地、海兵隊基地、世界中の米軍基地と米海軍航空母艦(空母)。

あまり広報活動を行わず担当事件の報道もされていなかったため、世間にはほとんど存在を知られておらず、地方へ捜査に行くと地元の保安官にも(バッジ・身分証を見せてさえ)Gメンだと信じてもらえず、ワシントンの海軍省に電話してもらってやっと身分が確認されるという事態も起きていた。後に制作に協力したTVドラマ『NCIS 〜ネイビー犯罪捜査班』のヒットのおかげで認知度が急上昇し、他機関の捜査員に協力を求める際にもスムーズに話が進むようになったという[1]

施設 編集

極東本部 編集

在日米海軍の横須賀海軍施設内に海軍犯罪捜査局の極東本部 (FEF) がある。極東本部では、中国、日本、韓国、中国およびロシア東部を含む極東でのNCISの活動全般を管轄している。日本の横須賀、厚木、岩国、沖縄、佐世保、三沢、また韓国のソウル、釜山、鎮海に支所がある[2]

沖縄支所ではキャンプ瑞慶覧の事務所におよそ35名の職員がいる[3]日米地位協定第17条では、例外を除いて容疑者は起訴されて初めて米軍側から引き渡されることとなっており、容疑者を拘留することなく捜査を続けることになるため、起訴に持ち込むことがより困難となる。情報公開法で公開されたNCISの文書によると、2017年8月にあったレイプ事件に関しても、女性被害者側が強く訴えたにもかかわらず、起訴されることはなかった[4]

出典 編集

  1. ^ a b 『NCIS 〜ネイビー犯罪捜査班』シーズン2DVD収録のNCISノーフォーク支局長(当時)リチャード・W・ワーマックのインタビュー
  2. ^ > About NCIS > Locations”. www.ncis.navy.mil. 2022年7月1日閲覧。
  3. ^ NCIS沖縄事務所、日本人が被害者の性犯罪8件を捜査 2017~19年 | 沖縄タイムス+プラス プレミアム”. 沖縄タイムス+プラス. 2022年7月1日閲覧。
  4. ^ MitchellOctober 3 2021, Jon MitchellJon. “NCIS Case Files Reveal Undisclosed U.S. Military Sex Crimes in Okinawa” (英語). The Intercept. 2022年7月1日閲覧。

関連項目 編集