瀬戸大将(せとたいしょう)は、鳥山石燕による妖怪画集『百器徒然袋』にある日本妖怪

鳥山石燕百器徒然袋』より「瀬戸大将」

さまざまな瀬戸物の寄せ集めの甲冑を身に着けたような姿で描かれている。石燕による解説文には「曹孟徳にからつやきのからきめ見せし燗鍋(かんなべ)の寿亭侯にや蜀江のにしき手を着たり」などとあり、『三国志演義』などで知られる関羽(寿亭侯)と曹操(曹孟徳)についてを陶磁器(燗鍋、錦手)とからめながら見立てて引用をしており[1]、瀬戸物と唐津物による陶磁器同士の争いとして描いた趣向[1][2]であると考えられている。『百器徒然袋』に描かれている妖怪たちに共通する点であるが、実際に何らかの伝承が存在する妖怪ではない[3]

浮世絵師月岡芳年錦絵『百器夜行』(1865年)に石燕の瀬戸大将を参考にしたと見られる絵を描いている[4]

平成以降の解説 編集

平成以降の妖怪に関する書籍では、江戸時代に瀬戸大将が率いる瀬戸物たちがそれまでの主流であった唐津物を打ち負かしたことによって瀬戸物が家庭雑器の主流として勢力を拡大した[5]という解説も見られる。これは石燕が書くところの瀬戸物と唐津物とが合戦をした[2]とされる解説部分の紹介が拡大されて生じたものであると考えられる。

脚注 編集

  1. ^ a b 高田衛監修 著、稲田篤信、田中直日 編『鳥山石燕 画図百鬼夜行』国書刊行会、1992年、317頁。ISBN 978-4-336-03386-4 
  2. ^ a b 宮本幸江・熊谷あづさ『日本の妖怪の謎と不思議』学習研究社、2007年、81頁。ISBN 978-4-056-04760-8 
  3. ^ 村上健司編著『妖怪事典』毎日新聞社、2000年、202-203頁。ISBN 978-4-620-31428-0 
  4. ^ 別冊太陽『妖怪図譜』平凡社 2014年 48頁 ISBN 978-4-582-92219-6
  5. ^ 水木しげる『決定版 日本妖怪大全 妖怪・あの世・神様』講談社講談社文庫〉、2014年、410頁。ISBN 978-4-06-277602-8 

関連項目 編集