無声歯摩擦音(むせい は まさつおん)は、子音の種類の一つ。舌端と歯で隙間を作り、そこに空気を通して生じる摩擦の音。国際音声記号では[θ]と表記される。

無声歯摩擦音
θ
IPA 番号 130
IPA 表記 [θ]
IPA 画像
Unicode U+03B8
文字参照 θ
JIS X 0213 1-6-40
X-SAMPA T
Kirshenbaum T
音声サンプル

記号はギリシャ文字のシータの小文字に由来する。

特徴 編集

気流の起こし手
肺臓気流機構によって生じる呼気
発声
声帯の振動を伴わない無声音
調音
調音位置
舌端と歯による歯音
調音方法
口腔内の気流
舌の中央を気流が通る中線音
調音器官の接近度
隙間を作って空気が通りにくくし、そこに気流を通すことで生じる摩擦音
口蓋帆の位置
口蓋帆を持ち上げて鼻腔への通路を塞いだ口音

言語例 編集

有声歯摩擦音[ð]とともに、この音を独立した音素としてもつ言語は多くない。

他の言語に借用された時は、無声歯茎閉鎖音[t]や、無声歯茎摩擦音[s]、無声唇歯摩擦音[f]で代用されることが多い。話者によっては、これらの発音の異音として認識され用いられることはある。日本語では、おもに無声歯茎摩擦音[s]の異音として現れることが多い(具体例は?)ほか、英語由来の仮名表記ではさ行転写することが主流である。

関連項目 編集

子音
肺臓気流
両唇 唇歯 歯茎 後部歯茎 そり舌 硬口蓋 軟口蓋 口蓋垂 咽頭 声門
破裂 p b () () () () t d ʈ ɖ c ɟ k ɡ q ɢ ( ʡˤ) ʔ
() m (ɱ̊) ɱ (n̪̊) () () n ɳ ɲ ŋ ɴ
ふるえ (ʙ̥) ʙ () r ʀ
はじき (ⱱ̟) ɾ ɽ (*) (*)
摩擦 ɸ β f v θ ð s z ʃ ʒ ʂ ʐ ç ʝ x ɣ χ ʁ ħ ʕ h ɦ
側面摩擦 ɬ ɮ
接近 (β̞) (ʋ̥) ʋ (ɹ̥) ɹ ɻ j ɰ
側面接近 () l ɭ ʎ ʟ
非肺臓気流
吸着 ʘ ǀ ǃ ǂ ǁ (ʞ)
入破 ɓ ɗ () ʄ ɠ ʛ
放出 (t̪ʼ) ʈʼ c’ ()
その他
同時調音 ʍ w ɥ ɕ ʑ ɧ
(k͡p) (ɡ͡b) (ŋ͡m)
喉頭蓋音 ʜ ʢ ʡ
舌唇音 () () () (θ̼) (ð̼)
その他側面音 ɺ (*) (ɫ)
破擦音 p͡ɸ b͡β p̪͡f b̪͡v t͡θ d͡ð t͡s d͡z t͡ʃ d͡ʒ ʈ͡ʂ ɖ͡ʐ t͡ɕ d͡ʑ c͡ç ɟ͡ʝ k͡x ɡ͡ɣ q͡χ ɢ͡ʁ t͡ɬ d͡ɮ ʔ͡h
記号が二つ並んでいるものは、左が無声音、右が有声音。網掛けは調音が不可能と考えられる部分。
丸括弧内はIPA子音表(2005年改訂版)に記載されていないもの。
国際音声記号 - 子音