「DINOSAUR (B'zのアルバム)」の版間の差分

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2018年に結成30周年記念として今まで発売されたオリジナル・アルバムと共に[[レコード|アナログレコード]]化された<ref>{{Cite news |date=2018-03-22 |url=https://rockinon.com/news/detail/174432 |title=B'z、アルバム全20作品をアナログ化。大型エキシビションで販売|newspaper=rockin'on.com|publisher=[[ロッキング・オン]] |accessdate=2018-11-10}}</ref>。
 
== アルバムタイトルについて ==
アルバムタイトル『DINOSAUR』は、日本語で「[[恐竜]]」という意味であるが、転じて「古くて時代遅れなもの」という意味もある。
 
本アルバムの方向性として、[[ディープ・パープル]]のような「[[ハードロック|70年代ハードロック]]」をイメージして制作が進められていた。その中で稲葉は、チーフマネージャーから「B'zは日本で唯一のハードロックバンドと言われているらしい」「日本ではB'zの他に誰もハードロックをやらない」という話を聞く。そして、アルバム制作のキーワードとして「DINOSAUR」という言葉が出てくることとなった。ドラマーの[[シェーン・ガラース]]から「『DINOSAUR』は、時代遅れのものという意味があり自虐的に聞こえる」という話をメンバーは聞いたが、「自分たちがそこに楽しみを見出してやる」「古いけど、こういうのもありますよ、的な感覚で」とポジティブに捕らえ、また「DINOSAUR」という言葉は姿形もイメージしやすくわかりやすいということもあり、「DINOSAUR」がタイトルに採用された。ちなみに「○○DINOSAUR」などと言葉を付け加えたタイトル案もあったそうだが、松本が「シンプルでいいんじゃないか」と提案し「DINOSAUR」になった<ref name="be with 115">{{Cite journal|和書|journal=be with!|volume=115|publisher=[[B'z Party]]|date=2017-09}}</ref>。
 
稲葉は後のインタビューで、「DINOSAUR」の歌詞は自分たちを例えて制作したわけではなく、「DINOSAUR」という歌詞が出来上がった後に自分たちと重なることに気付き、アルバムタイトルにふさわしい、という流れになったと解説している<ref name="be with 116">{{Cite journal|和書|journal=be with!|volume=116|publisher=[[B'z Party]]|date=2017-12}}</ref>。
 
== 制作 ==
2016年から2017年3月まで、メンバーはそれぞれソロ活動を行っていたが、B'zの楽曲制作もソロ活動の合間を縫って進められていた。本格的に制作がスタートしたのは2017年4月からである。本作では、松本が[[氷室京介]]の紹介を受けて知り合った[[Yukihide "YT" Takiyama]](以下、YT)をメインアレンジャーとして迎え<ref name="【GOSPELS OF JUDASオフィシャルインタビュー】 GOSPELS OF JUDAS、氷室京介から受け継いだ音楽への思い。最新作を紐解く。">{{Cite interview |和書|url=https://wmg.jp/gospels-of-judas/news/81925/ |title=【GOSPELS OF JUDASオフィシャルインタビュー】 GOSPELS OF JUDAS、氷室京介から受け継いだ音楽への思い。最新作を紐解く。 |date=2018-08-08 |page=1 |publisher=[[ワーナーミュージック・ジャパン]]|accessdate=2019-09-20}}</ref>、[[ハワイ州|ハワイ]]のレコーディングスタジオで松本、稲葉と、YTの3人によって[[プリプロダクション]]が行われた。その後[[ロサンゼルス]]、[[東京]]と場所を移しながら制作が進められた<ref name="onhito"/>。レコーディングの合間には7月から始まった「B'z SHOWCASE 2017 -B'z In Your Town-」ツアー、8月に参加した夏フェス、そしてお互いのソロライブを挟むというスケジュールだったが、実際はライブツアー前に稲葉以外の作業はほぼ完了しており、稲葉の歌入れが完了したのはライブツアー後だったという<ref name="be with 116"/>。
 
B'zの作品では長年、[[ビーイング]]のギターテックチーム『FAT』が中心となり、FAT特製[[アンプ (楽器用)|ギターアンプ]]を初めとしたオリジナルの機材を用いて音創りが行われ、毎回「決まった機材を使って決まったやり方でレコーディングする」という手順であった。本作ではその方法を見直し、様々な機材を試す方法がとられた。それまでのレコーディングでも、ギターに関しては一曲ごとに様々なギターを試してベストなサウンドを選んでいたが、本作ではそれに加えてアンプも相当な数を準備していろいろ差し替えたり、楽器の収録[[マイクロフォン|マイク]]の位置も細かく調整してレコーディングを行った<ref name="player">{{Cite journal|和書|journal=[[Player (雑誌)|Player]] |issue=2018年1月号 |publisher= プレイヤー・コーポレーション |date=2017-12-5}}</ref>。
 
このようなレコーディング形態になった発端は、松本が本作のレコーディングに向かうにあたり、過去のB'zのアルバムを聞き返したことにある。松本は『[[ELEVEN (アルバム)|ELEVEN]]』や『[[ACTION (B'zのアルバム)|ACTION]]』などのギターの音が気に入ったため、その時代の機材を確認すると『FAT』の機材もない時代で、当時は既成のメーカーのアンプを使っていたという。そのため本作のレコーディングでは「当時使っていたアンプを使ってみよう」というアイデアが生まれ、その過程で倉庫に眠っていたままだったアンプや、稲葉から誕生日プレゼントに貰ったアンプ{{Refnest|group="注"|[[フェンダー (楽器メーカー)|フェンダー]]の『Showman-Amp 1961』をプレゼントしている<ref>{{Cite journal|和書|journal=[[YOUNG GUITAR]] |issue=2020年9月号 |publisher=シンコーミュージック・エンタテイメント |page=26}}</ref>。}}なども含めて様々な機材をいろいろ試してみるという流れになった<ref name="be with 116"/>。
 
== リリース形態 ==
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# '''Dinosaur'''
#: 本作の表題曲であるが、アルバムタイトルは全て大文字なのに対し、楽曲の方は頭文字のみ大文字となっている。
#: アルバム制作過程の初期に制作された楽曲で、当初はシングル曲候補でもあった<ref name="GiGS" />。約1分46秒のイントロのうち、前半のギターパートは「恐竜の雄叫び」をイメージしたもので、楽曲制作後に「頭にイントロダクション的なものをつけたい」という松本のアイデアで追加された<ref name="player"/>。本曲の[[ベース (弦楽器)|ベース]]のクレジットには[[ジェーンズ・アディクション|クリス・チェイニー]]と[[バリー・スパークス]]の2人がクレジットされているが、これは曲の本編のベースパートをクリスが収録し、後から追加されたイントロダクションのパートをバリーが収録したからである<ref name="be with 116"/>
#: 松本はアルバムの全体的なサウンド創りについて「細かいことをしていなくても、ただパワーコードを鳴らしているだけで凄いインパクトがあるサウンド」と説明し、その例として本曲を挙げ「Dinosaurのコーラス(サビ)はただパワーコード鳴らしているだけ」と解説している<ref name="player"/>。
#: 歌詞は先述の通り、「自分たちのスタイルは恐竜のように時代遅れ」という、稲葉曰くいい意味での開き直りをテーマにしている。また、稲葉によると「恐竜は誰も本物を見たことがない」と未知の部分が多い存在であることに着目し、そこから「頑張って生きてて、自ら進化しようとしている」というイメージを膨らませて歌詞を制作した<ref name="onhito"/>。
#: [[ミュージック・ビデオ|MV]]は「進化」をテーマに、巨大な[[モノリス]]がB'zの演奏に共鳴しさらに進化を遂げていく様子を[[コンピュータグラフィックス|CG]]でビジュアル化している<ref name="be with 116"/>。また、ミュージックビデオのイントロ部分で松本が使用しているランダムスターは、[[LOUDNESS]]の[[高崎晃]]と自身のファイヤーバードをトレードしたものである<ref name="be with 115"/><ref>{{Cite news|url= https://smart-flash.jp/entame/49045/1/1/|title=LOUDNESS高崎晃が語った「B’zの魅力」進化するギターに注目!|work=Smart FLASH|publisher=株式会社光文社|date=2018-09-06|accessdate=2024-03-10}}</ref>。
#: 映画『[[ジオストーム (映画)|ジオストーム]]』日本語吹替版主題歌。B'zが洋画の主題歌を担当するのは本曲が初となる。製作の[[ワーナー・ブラザース]]は、「松本孝弘が奏でる激しいギターサウンドとボーカル、稲葉浩志の情熱がほとばしる歌詞で魅了するB'zしかいない」とオファー。それを受けたB'zサイドは「昔ながらの男だが芯が強く進化していく主人公の姿が歌詞に登場するDinosaur(恐竜)に重なる」と感じ、本アルバム収録曲から「Dinosaur」を用意した。監督の[[ディーン・デヴリン]]は、「彼らの一貫したブレない音楽性は、本作の主人公、ジェイク・ローソンの生き方そのもののようで、出会うべくして出会った楽曲だと確信しました」などとコメントを寄せている<ref name="oricon">{{cite news|url=https://www.oricon.co.jp/news/2100615/full/|title=B'z、初の洋画主題歌 監督が絶賛「出会うべくして出会った楽曲」 |newspaper=ORICON STYLE |publisher=オリコン|date=2017-11-14|accessdate=2017-11-14}}</ref><ref name="BARKS">{{cite news|url=https://www.barks.jp/news/?id=1000148926|title=B'z、「Dinosaur」が映画『ジオストーム』日本語版主題歌に|newspaper=[[BARKS]]|publisher=ジャパンミュージックネットワーク株式会社|date=2017-11-14|accessdate=2017-11-14}}</ref><ref name="sansupo">{{cite news|url=https://www.sanspo.com/article/20171114-HSEPG7KBUFLXHPSATFDRCCHGVY/|title=B'z、30年目で初の洋画主題歌!監督「出会うべくして出会った」|newspaper=[[サンケイスポーツ|サンスポ・コム]]|publisher=[[産業経済新聞社]]|date=2017-11-14|accessdate=2017-11-14}}</ref>。
# '''CHAMP'''
#: 「B'z×セブン-イレブンフェア」および「[[セブンネットショッピング]]」TV[[コマーシャルソング|CMソング]]。CMのために書き下ろされた楽曲で、{{要出典範囲|タイアップ先からは「[[ultra soul]]みたいな曲」というリクエストがあった。|date=2024年5月}}
#: 「Dinosaur」同様にシングル曲候補でもあった<ref name="GiGS" />。
 
#: 楽曲制作の前には、メンバーとセブン-イレブン側とでセブン-イレブンの企業説明を兼ねた打ち合わせが行われた。企業説明では[[コンビニエンスストア]]業界1位の業績グラフなどが提示され、「セブン-イレブンには業界最大手という自負がある」という信念をメンバーは聞く。作詞を担当した稲葉は、「1位の孤独感」「1位しか応援しない姿勢」というテーマがアイデアとして浮かび、独走している人にしかわからない誇り、自信、苦悩を想像しながら作詞したという<ref name="be with 114">{{Cite journal|和書|journal=be with!|volume=114|publisher=[[B'z Party]]|date=2017-06}}</ref><ref name="be with 116"/>。B'zファンクラブの会報でのインタビューにて、インタビュアーから「聴く人によっては『B'zのことを歌っている』と思うのですが」と指摘された際に、稲葉は「(B'z自身のことを歌っていると)思われるだろうとは思っていたけど、それでもいいと思う。だけど自分の中ではないですね。自分では自分のことをCHAMPだと思わないですし」と回答している<ref name="be with 116"/>。
#: 発売に先駆け、2017年7月から開催された「B'z SHOWCASE 2017 -B'z In Your Town-」で演奏された。
#: MVでは、上記のSHOWCASEでの模様に加え、過去のライブ映像も使用している。
# '''Still Alive'''
#: 53rdシングル『声明/Still Alive』[[B'zの作品#シングル曲の表記|2nd beat]]。
#: アルバム制作よりも前に完成していた曲であるが、松本は「今回のアルバムにうまく溶け込んでいる」とコメントしている<ref name="be with 116"/>。
# '''ハルカ'''
#: 松本のソロ活動の際に一緒にプレイしたスティーヴ・ビルマンが、ベーシストとして参加している。松本は当時ライブで一緒になった時のスティーヴのプレイを気に入り、松本の推薦で本曲と「Queen Of The Night」を演奏してもらった。この曲に至っては、わざわざ彼のためにベースソロパートを開けて待っていたという<ref name="player"/>。
# '''それでもやっぱり'''
#: サビの最初の「それでもやっぱり」というフレーズは、元々は松本が稲葉の歌唱キーを考慮しサビに入る際に[[転調]]させたかったので、転調を示すために創られたメロディである。その後、松本が「このフレーズも歌ったらどうだろうか」と稲葉に提案し、稲葉のボーカルパートになった<ref name="player"/>。稲葉はこの曲の歌入れを何度もやり直したという<ref name="be with 116"/>。
# '''声明'''
#: 53rdシングル『声明/Still Alive』1st beat。
# '''Queen Of The Night'''
#: 「Queen Of The Night」とは、日本語で植物の「[[ゲッカビジン|月下美人]]」を意味する。
#: 70年代の終わりから80年代の初頭ぐらいにかけて流行ったサウンドを意識して制作された曲。松本は「当時リアルタイムで聞いていたこともあり、そういう匂いのする曲をやりたいと思った」と語っており<ref name="GiGS"/>、「ハートも濡れるナンバー 〜stay tonight〜」(1988年リリースの1stシングル『[[だからその手を離して]]』のカップリング曲)の延長みたいなものとコメントしている<ref name="be with 116GiGS"/>。
#:アルバムツアーでは本作唯一の未演奏曲となった。
# '''SKYROCKET'''
#: 「SKYROCKET」とは、日本語で「[[ロケット花火]]」を意味する。
#: 稲葉から「割とハッピーな感じのリフで明るめの[[フロウ]]とかを1曲どうかな」と提案があり、それを受けて制作が進められた曲<ref name="be with 116"/>。
# '''ルーフトップ'''
#: 歌詞について稲葉は「昔見た映画で男の子と女の子が屋上ではしゃぐシーンがあって、それを思い出して書いた」とコメントしている。ちなみに、映画のタイトルは思い出せないとのこと<ref name="be with 116"/>。
#: ギターリフには[[シタール|エレキシタール]]の音が重ねられており、シタールの音は後付けである<ref name="player"/>。この曲で使用されたギターはゴールドトップ(1957年製のリイシュー)1本であるが、アンプは「ショウマン」「マーシャルJMP」「EVH5150III」を使い分けており、ギターを変えずアンプを変えて音の差を作り出し音創りが行われた<ref name="player"/>。
# '''弱い男'''
#: ピアノのカッティングや、スラップを混ぜたベースプレイなど、ファンキーなムードの楽曲。ギターリフ先行で創られた楽曲で、松本は「ギターリフに無理やりメロディをぶち込んだ」と振り返っている<ref name="player"/>。曲の間奏では、グレッグ・ヴェイルによる長尺の[[サックス]]ソロパートが収録されている。松本によると、アレンジの初期の時点で「グレッグに延々とサックスを演奏してもらう」というアイデアはあったという<ref name="player"/>。グレッグのレコーディングは、一気にアドリブで3、4テイク収録し「後はそっちで選んで」という感じだったという<ref name="be with 116"/>。
# '''愛しき幽霊'''
#: ハワイで制作された楽曲で、本アルバム制作過程で2番目に完成した<ref name="be with 116"/>。メロディのアイデア自体は以前から存在しており、松本によると曲のアイデアを保存する[[ボイスレコーダー|マイクロレコーダー]]の中から「2013年元旦」とメモされたデータからこの曲を見つけたという<ref name="player"/><ref name="RSJ">{{Cite journal|和書|journal=[[ローリング・ストーン#日本版|Rolling Stone Japan]]|volume=vol.01|publisher=[[ネコ・パブリッシング ]]|date=2017-12-25}}</ref>。ギターパートはすべて[[アコースティック・ギター]]で演奏されている。
# '''King Of The Street'''
#: [[コーエーテクモゲームス]]製作[[アクションゲーム]]『[[真・三國無双8]]』テーマソング。
#: 往年のハードロックスタイルの楽曲。当初は違うイントロだったが、松本が曲中で弾いていたギターリフのフレーズを稲葉が「イントロはこっちの方がいいんじゃない」と提案したため差し替えてみたところ、前のイントロよりもハマりが良かったということで現在のイントロになった<ref name="player"/>。
#: ライブでは「[[ギリギリchop]]」以来となるプロペラ(タオルを頭上でブンブン振り回す)が取り入れられた。
#: ちなみに、「Queen Of The Night」と「King Of The Street」という、同じアルバムの中に「クイーン」と「キング」が両方登場した曲名に関しては、稲葉は特に意図はなく、それについて認識していたものの放っておいたとのことである<ref name="be with 116"/>。
# '''Purple Pink Orange'''
#: ドラマチックなスローチューンのナンバー。松本も「大作になった」と評している<ref name="GiGS"/>。
#: 稲葉によると、「最悪の気分の時に目の前に広がった空の色がこの曲の始まり」とコメントしている<ref name="be with 116"/>。歌詞のモチーフは前から存在していた。この曲のメロを聴いたときに、そのモチーフが合いそうと思い使用したとのこと<ref name="onhito"/>。
#: アウトロのギターソロは、松本によるとほぼ一発録りだったという。当初は多少練ったソロにすることを考えていたが、アドリブで弾いたテイクを聴いているうちに気に入り、そのテイクにハーモニーをつけて完成させた<ref name="GiGS"/>。
#: 本曲の終結部のアレンジについては、従来のアルバムに多かった静かな終わり方にはしないように意識したという<ref name="be with 116"/>。
 
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