「性同一性障害」の版間の差分
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Assemblykinematics (会話 | 投稿記録) 法律の出典整備(性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律、障害者基本法、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)。→歴史: 議員立法時の記述に出典付けし、加筆修正。→当事者: 追記(IVAN)。→外部リンク: Template:Egov law使用。 |
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'''性同一性障害'''は、'''Gender Identity Disorder'''<small> (''gender'' [性] - ''identity'' [同一性] - ''disorder'' [障害])</small> の訳語であり、医学的な疾患名である{{Sfn|野宮ほか|2011|p=14}}。国際的な診断基準として、[[世界保健機関]]が定めた国際疾患分類 [[ICD-10]]、[[アメリカ精神医学会|米国精神医学会]]が定めた診断基準 [[DSM-IV-TR]] があり、医師の診察においてこのいずれかの診断基準を満たすとき、性同一性障害と診断する{{Sfn|野宮ほか2011|p=14–17}}。
日本の「[[性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律]]
{{Quotation|この法律において「性同一性障害者」とは、生物学的には性別が明らかであるにもかかわらず、心理的にはそれとは別の性別(以下「他の性別」という。)であるとの持続的な確信を持ち、かつ、自己を身体的及び社会的に他の性別に適合させようとする意思を有する者であって、そのことについてその診断を的確に行うために必要な知識及び経験を有する二人以上の医師の一般に認められている医学的知見に基づき行う診断が一致しているものをいう。|性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律|第二条{{R|特例法}}{{Sfn|南野ほか|2013|p=299}}}}
としている{{R|特例法}}{{Sfn|南野ほか|2013|p=299}}。
==== 名称の変遷 ====
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なお「gender dysphoria」の中の「dysphoria」は違和感を意味し、[[ギリシャ語]]の「δυσφορια」に由来する(悪や苦痛を意味するδυσと、耐えることを意味するφοροςとの合成語で「不快」の意味)。現在も性別適合手術を受けていなくても当事者の法的性別変更を許可した英国の{{仮リンク|ジェンダー承認法|en|Gender Recognition Act 2004}}において当事者に言及する際用いられているほか、[[オランダ]]などで米国の精神医学の紹介に関して性同一性障害の別称としてこの「性別違和症候群」という表現が用いられている。
===用語===
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性同一性障害を有する者は、<small>(例えば MtF に対して)</small>「本当は男性」「実は男性」等といった、身体の性別、出生時に判定された性別を基準とする言われ方に対して嫌忌することが多い{{Sfn|野宮ほか|2011|p=136}}。性同一性障害を抱える者は、もし生来から自身の性同一性と同じ性別の身体で生まれてさえいれば、何ら違和感を持つこともなく普通にその性としての人生を過ごしてきたはずであり、人格や自己の性が“途中で変わった”わけではない。当事者は<small>(心身ともに)</small>「異性になりたい」のではなく、「本当は女性(男性)なのになぜ身体が男性(女性)か」という極めて率直な感覚を胸中に持っていることも多く、当事者自身にとっての「本当の性別」とは、まさしく自分を自分たらしめる自己意識にしたがった性別である。FtM にとっての「本当の性別」は男性であり、MtF にとっての「本当の性別」は女性であり、だからこそ現にその性別としての人生を過ごしているといえる{{Sfn|野宮ほか|2011|p=136}}。
=== 他の概念や疾患との別 ===
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; 「性嗜好」
: 性同一性障害は、大多数の人々と同じくあくまで性の自己意識に基づいた服装をしているものであり、性的快感を求めるための手段や性的欲望を満たす目的として異性装を
: 性同一性障害の診断において、身体的性別とは反対の性の服装をする事由がもっぱら性嗜好によるものは除外診断の対象となる。
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:;Secondary(二次性):性の自己意識に揺らぎがあり、身体的性別への違和感をもつ時期が比較的遅く、性指向が同性愛(FtM は男性、MtF は女性に対して)または両性愛。
; 中核群と周辺群 (Core & Periphery groups) <ref>阿部輝夫
:;中核群 (Core groups):性同一性障害の典型例。性の自己意識に揺らぎがなく、身体的性別への持続的な嫌悪感、身体とは反対の性への持続的な同一感があり、一貫してホルモン療法や性別適合手術などの医学的治療を強く求める。
:;周辺群 (Periphery groups):自身の身体的性別への違和感を持っているが、性の自己意識に揺らぎがあったり、ホルモン療法や性別適合手術などの医学的治療を自ら望まない、あるいは迷いがある。
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* [[前立腺肥大症]]の場合には症状が改善{{Sfn|野宮ほか|2011|p=86–97}}。
'''副作用'''
* [[血栓症]]の危険が増大
* [[心不全]]、[[心筋梗塞]]、[[脳梗塞]]の危険が増大{{Sfn|野宮ほか|2011|p=86–97}}。
* 高プロラクチン血症の発現の可能性
* 肝機能障害の発現の可能性
* 乳汁の分泌、下垂体腺腫の可能性{{Sfn|野宮ほか|2011|p=86–97}}。
* 血色素の減少([[貧血]]気味になる場合がある{{Sfn|野宮ほか|2011|p=86–97}}。
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==== 性別適合手術 ====
外科的手法によって本来の性(性の自己意識)に合わせて形態を変更する手術療法のうち、内性器と外性器に関する手術を「[[性別適合手術]]」(''sex reassignment surgery''
FtM に対しては、子宮卵巣摘出術、膣粘膜切除・膣閉鎖術、尿道延長術、陰茎形成術がある。MtF に対しては、精巣摘出術、陰茎切除術、造膣術、陰核形成術、外陰部形成術がある。
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日本においては、法律に定められた要件を満たせば戸籍の性別変更が可能だが、そのために必要なホルモン療法や性別適合手術には[[健康保険]]の適用がなされていない。ただし、ホルモン療法については戸籍変更後であればホルモン補充療法という形で健康保険の適用を受けることができる。また、性別適合手術においては経済的な負担を理由に健康保険の適用を求める当事者がいる一方、すでにある程度の当事者が自己負担で手術を受けて終えていることも性同一性障害特例法による性別の取扱いの変更数(2014年末現在までに総数5166名)<ref>gid.jp 日本性同一性障害と共に生きる人々の会[http://gid.jp/html/GID_law/index.html 性同一性障害特例法による性別の取扱いの変更数の推移]</ref>などから確認できる。
性別適合手術を経た人のうち、世間の認識との誤解に苦しんで自殺した人の割合は全体の4割に及ぶ。また、全体の7割は自殺を考えたことがあるとされている<ref>[[椿姫彩菜]]『わたし、男子校出身です。』[[ポプラ社]]、2008年、251頁、ISBN 978-459-11-0385-2。</ref>。
== 統計 ==
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== 法律 ==
=== 日本 ===
日本では、「[[性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律]]」第2条において、「性同一性障害者」が同法第3条第1項各号に該当する場合、請求による[[家庭裁判所]]の性別の取扱いの変更の審判によって、民法をはじめとする各法令手続き上の性別が変更されたものとみなされる{{Sfn|南野ほか|2013|p=213}}。一般的には、戸籍法における「男女の別」の変更を示している。
第三条の定める要件は以下のとおり{{R|特例法}}{{Sfn|南野ほか|2013|p=299}}。
{{Quotation|
一 二十歳以上であること。<br />
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四 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。<br />
五 その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。
|性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律|第三条{{R|特例法}}{{Sfn|南野ほか|2013|p=299}}}}
このほか
障害者基本法第4条2項にて「社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときは、それを怠ることによつて前項の規定に違反することとならないよう、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければならない。」とした{{R|障害者基本法}}。
これを受け、[[障害者差別解消法]]の中でも、この『[[合理的配慮]]』の実施が、[[日本国政府]]や[[地方公共団体]]や[[独立行政法人]]や[[特殊法人]]については[[義務]](強制)として、また一般事業者については[[努力義務]]として位置づけられている。
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** 2001年10月11日−2002年3月28日 - ドラマ『[[3年B組金八先生]]』第6シリーズにおいて、主人公の一人に性同一性障害を抱える者として描かれた。当時この番組で初めて性同一性障害を知ったという人も多く{{Sfn|虎井まさ衛|2003|p=162}}、一般に広く知られるきっかけとなった。
** 2003年4月 - 東京都世田谷区議会議員選挙において、性同一性障害の当事者がそのことを明かしたうえで立候補を表明し当選した。立候補の際、[[世田谷区]]選挙管理委員会に対して戸籍上の記載とは異なる性別での届け出をし受理された。当選後の特別区議会議長会が発行する議員名簿にも申し出どおりの性別で掲載された。
** 2003年7月10日 - 「[[性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律]]」(性同一性障害特例法)が成立{{Sfn|南野|2013|p=208}}。
** 2004年7月16日 - 「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」が施行{{Sfn|南野ほか|2013|p=213}}。
** 2006年5月 - 兵庫県の小学校低学年の男児が「女児として」学校生活を送っている例が紹介された。
** 2007年12月31日 - [[第58回NHK紅白歌合戦]]において、性同一性障害を抱える歌手が、戸籍上の性別の記載は男性であったが、女性陣の紅組として出場した。
** 2014年3月31日 - [[中古車]]販売会社に勤務していた女性が[[自殺]]したのは、性同一性障害を理由に退職強要されたことが原因であるとして、女性の遺族が[[岩国市|岩国]][[労働基準監督署]]を相手取り、[[労働災害]]であることを認定した上で[[労働者災害補償保険|遺族補償年金]]が受けられるよう求め、[[広島地方裁判所]]に訴訟を起こす<ref>“[http://mainichi.jp/shimen/news/20140401ddm012040105000c.html 性同一性障害:「退職強要」遺族が提訴]”. ''毎日新聞'' (2014年4月1日) {{リンク切れ|date=2019年4月}}</ref>。
** 2018年 - [[お茶の水大学]]が性的違和のある男子生徒の受け入れを表明。また、[[日本女子大学]]などの私立女子大学も同様のことを検討中と報道された<ref>“[https://www.asahi.com/articles/ASL7C2DC0L7CUBQU002.html 「心は女性」入学 お茶大が診断書なくても受け入れへ]”. ''朝日新聞''. (2018年7月11日). 2019年5月1日閲覧。</ref>。
* '''日本国外'''
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; 【法律】性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律
: 名古屋高裁決昭和54・11・8及び東京高裁決平成12・2・9における戸籍訂正に関する抗告事件
: 2003年6月には与党で法案がまとまり、同年7月1日
: 2008年6月10日、改正案が衆参両院本会議で全会一致で可決、成立し、一部の要件が緩和された{{Sfn|南野ほか|2013|pp=210-211}}。
; 【判例】性同一性障害者解雇事件
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{{Notelist}}
=== 出典 ===
{{Reflist|2
<ref name="特例法">{{Cite web|url= https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=415AC1000000111 |title=性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(平成十五年七月十六日法律第百十一号) |date=平成三十年六月二十日公布(平成三十年法律第五十九号)改正 |quote=施行は基準日時点 |accessdate=2019-02-20}}</ref>
<ref name="障害者基本法">{{Cite web|url= https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=345AC1000000084 |title=障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号) |date=2013年6月26日公布(平成二十五年法律第六十五号)改正 |quote=2016年4月1日施行 |accessdate=2019-12-20}}</ref>
<ref name="障害者差別解消法">{{Cite web|url= https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=425AC0000000065 |title=障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成二十五年法律第六十五号) |date=2018年6月20日公布(平成三十年法律第五十九号)改正 |quote=施行は基準日時点 |accessdate=2019-12-21}}</ref>
}}
== 参考文献 ==
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* {{Cite book|和書|author=ジョン・コラピント著|title=ブレンダと呼ばれた少年 ― 性が歪められた時、何が起きたのか|editor=村井智之訳|publisher=扶桑社|year=2005|isbn=9784594049584|ref={{Sfnref|ジョン・コラピント著、村井智之訳|2005}} }}
* Hilleke E Hulshoff Pol, Peggy T Cohen-Kettenis, Neeltje E M Van Haren, Jiska S Peper, Rachel G H Brans, Wiepke Cahn, Hugo G Schnack, Louis J G Gooren and René S Kahn '[http://eje-online.org/cgi/content/full/155/suppl_1/S107/ Changing your sex changes your brain: influences of testosterone and estrogen on adult human brain structure]' 2006,''European Journal of Endocrinology'', Vol 155, suppl_1, S107-S114. DOI:10.1530/eje.1.02248
* {{Cite book|和書|author=[[南野知
</div>
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=== 当事者 ===
* FTM(Female To Male) - [[安藤大将]]、[[虎井まさ衛]]、[[KAB.]]、[[成瀬芳貴]]、[[華京院レイ]]、[[真道ゴー]]、[[細田智也]]
* MTF(Male To Female) - [[カルーセル麻紀]]、[[柴谷宗叔]]、[[操-misao]]、[[上川あや]]、[[松本太郎 (漫画家)|松本太郎]]、[[KABA.ちゃん]]、[[こうぶんこうぞう]]、[[はるな愛]]、[[石橋磨季]]、[[能町みね子]]、[[如月音流]]、[[麻倉ケイト]]、[[小西真冬]]、[[IVAN]]、[[椿姫彩菜]]、[[中村中]]、[[GENKING]]、[[モカ・迷いうさこ]]、[[西原さつき]]、[[真境名ナツキ]]、[[たけうち亜美]]、[[佐藤かよ]]、[[朱崇花]]
=== その他===
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=== 国の機関===
*
* [http://hourei.ndl.go.jp/SearchSys/viewEnkaku.do?i=blIf6kVoQlMhBDqQ3HjBCg%3D%3D 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律 (平成15年7月16日法律第111号)] - 日本法令検索([[国立国会図書館]])
* [http://www.moj.go.jp/JINKEN/kadai.html#15 性同一性障害者] - 主な人権課題([[法務省]])
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