「アリエノール・ダキテーヌ」の版間の差分

|宗教 = [[キリスト教]][[カトリック教会]]

'''アリエノール・ダキテーヌ'''（Aliénor d'Aquitaine, {{lang-oc|Alienòr d'Aquitània}}, [[1122年]] - [[1204年]][[4月1日]]）は、[[中世]][[フランス王国]]の女性貴族で[[アキテーヌ公|アキテーヌ女公]]（在位：[[1137年]] - 1204年）。フランス王妃、[[イングランド王国|イングランド]]王妃でもあった。アキテーヌ公[[ギヨーム10世 (アキテーヌ公)|ギヨーム10世]]と[[アエノール・ド・シャテルロー]]の娘で[[ギヨーム9世 (アキテーヌ女公)|ギヨーム9世]]の孫。はじめ[[フランス君主一覧|フランス王]][[ルイ7世 (フランス王)|ルイ7世]]の王妃、後に[[イングランド君主一覧|イングランド王]][[ヘンリー2世 (イングランド王)|ヘンリー2世]]の王妃<ref>{{cite web|url=https://kotobank.jp/word/%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%AB%EF%BD%A5%E3%83%80%E3%82%AD%E3%83%86%E3%83%BC%E3%83%8C-1144162|title=アリエノール･ダキテーヌとは|publisher= コトバンク |accessdate=2019-12-05}}</ref>。

[[ベルナルト・デ・ヴェンタドルン|ベルナール・ド・ヴァンタドゥール]]ら[[吟遊詩人]]を庇護して多くの文芸作品を誕生させ、洗練された宮廷文化を[[フランス王国|フランス]]、[[イングランド王国|イングランド]]に広めた存在として知られる。子孫が、各地の君主及び妃となったことから「[[ヨーロッパの祖母]]」と呼ばれる。[[中世|中世盛期]]の西欧において、最も裕福で地位の高い女性の一人であった。

当時のアキテーヌ公領は、[[ガスコーニュ|ガスコーニュ公領]]、[[ポワチエ|ポワチティエ伯領]]など、フランス全土の3分の1近くを支配していた。[[アキテーヌ地域圏|アキテーヌ]]は宮廷愛や[[トルバドゥール]]で知られる南仏文化の中心地だった。アリエノールはその雰囲気を十分に受け、音楽、文学、[[ラテン語]]と当時の女性としては高い教育を受けて育った<ref>[[#石井 1988{{sfn|石井 美樹子|1988]] .|p.=39-41,49</ref>}}{{sfn|レジーヌ・ペルヌー|福本秀子|1996|p=18-19}}。

しかしながら、ギョーム9世祖父の時代に繁栄した宮廷は、ギョーム10世父の時代には縮小し、アキテーヌ公家は政治的・経済的に凋落傾向にあった<ref>[[#石井 1988|石井 1988]] .p.48-49</ref>。アリエノールは、父について領内を周り、政治にも自然と関心を持つ<ref>[[#石井 1988|石井 1988]] .p.50-51</ref>。ギョヨーム10世の裁可した特許状には、幼いアリエノールのサインも残されている<ref>[[#{{sfn|石井 美樹子|1988|石井 1988]] .p.=48-51</ref>}}。また父から溺愛されていたという{{sfn|森護|1994|p=33}}。

母アエノールと弟ギヨームが[[1130年]]に早世したため、アリエノールは8歳で大領地の女相続人となった。母を失ったことで、母方の祖母[[ダンジュルーズ・ド・リル＝ブシャール|ダンジュルーズ]]や父方の祖母[[フィリッパ・ド・トゥールーズ|フィリッパ]]の情熱的で大胆な生き方に強い影響を受ける<ref>[[#{{sfn|石井 美樹子|1988|石井 1988]] .p.=52-53</ref>}}。また相続人として、周辺各国から大いに関心を集め、傲慢な性格が形成された<ref name="mori1994-33">[[#{{sfn|森 護|1994|森 1994]] .p.=33</ref>}}。

1130年、父ギョーム10世は、[[教皇|ローマ教皇]][[インノケンティウス2世 (ローマ教皇)|インノケンティウス2世]]の[[対立教皇]]である[[アナクレトゥス2世 (対立教皇)|アナクレトゥス2世]]を強く支持し、宗教界だけでなく一般社会にも衝撃を与えたため、[[クレルヴォーのベルナルドゥス]]修道士に強く諫められる事態となった<ref>[[#石井 1988|石井 1988]] .p.53</ref>。しかし、ベルナルドゥスとの会見を反故にしてインノケンティウス2世派の教会を破壊し支持者を追放したため、破門された<ref>[[#{{sfn|石井 美樹子|1988|石井 1988]] .p.=53-55</ref>}}。

5年後の[[1135年]]、再びベルナルドゥスとの会見に臨むと、父ギョーム10世は明らかに改心し、また老いの兆候が顕著になった<ref>[[#{{sfn|石井 美樹子|1988|石井 1988]] .p.=55-57</ref>}}。

アキテーヌ公領をアリエノールが相続することは法的に可能だった<ref name="ishii1988-58">[[#石井 1988|石井 1988]] .p.58</ref>が、フランス国王の臣下として40日の軍役義務があり、かつ広大な領地を野心ある諸侯に囲まれ、女性一1人でアキテーヌ公領を維持するのは困難と考えられた<ref name{{sfn|石井美樹子|1988|p="ishii1988-58"/>}}。

[[ギヨーム10世 (アキテーヌ公)|ギヨーム10世]]には弟[[レーモン・ド・ポワティエ|レーモン]]がいたが、現在は[[第1回十字軍]]が聖地に建設した[[十字軍国家]]のひと1つである[[アンティオキア公国]]の君主であった。また、ギヨーム10世には庶子の男子がいたが、継承権はなかった。そこで、嫡出の男子を得るため、[[1136年]]に{{仮リンク|リモージュ伯|en|Viscounty of Limoges}}エイマールの娘エマとの再婚を画策する<ref name="ishii1988-58"/>。しかし、エマがリモージュの相続人であることから、南仏貴族達の反発にあい、エマは{{仮リンク|アングレーム伯|en|Counts and Dukes of Angoulême}}{{仮リンク|ウルグリン2世 (アングレーム伯)|label=ウルグリン2世|en|Wulgrin II of Angoulême}}と結婚させられた。さらに、[[アンジュー]][[アンジューの領主一覧|伯]][[ジョフロワ4世|ジョフロワ]]に加勢してノルマンディー侵攻を試みるが失敗し、ギヨーム10世は塞ぎ込むようになる<ref>[[#石井 1988{{sfn|石井 美樹子|1988]] .|p.=58-59</ref>}}。

父の様子に対し、アリエノールと妹[[ペトロニーユ・ダキテーヌ|ペトロニーユ]]（ペトロニラ）は、社交界を取り仕切るようになった。14歳になり結婚適齢期を迎えたアリエノールは、容姿を「世界の薔薇」と讃えられ、宮廷での恋愛遊戯を楽しむようになった<ref>[[#{{sfn|石井 美樹子|1988|石井 1988]] .p.=61-62</ref>}}。

翌[[1137年]]、父ギヨーム10世は奔放な娘たちを見かねて、[[ポワティエ]]から[[ボルドー]]の{{仮リンク|オンブリエール城|fr|Palais de l'Ombrière}}へ二2人を移す<ref>[[#石井 1988|石井 1988]] .p.62</ref>。そして、自身は[[イベリア半島]]北部の[[サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路|]]へ[[サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路|巡礼]]する予定だったが、同年[[4月8日]]、[[サンティアゴ・デ・コンポステーラ]]を目前にして小川の水に中り、38歳で死去する<ref>[[#石井 1988|石井 1988]] .p.63-65</ref>。遺言によりアリエノールの後見はフランス王[[ルイ6世 (フランス王)|ルイ6世]]に託された<ref>、アリエノールとルイ王太子（後の[[#石井ルイ7世 (フランス王)|ルイ7世]]）の結婚も決められた{{sfn|桐生操|1988|p=13-14}}{{sfn|石井 美樹子|1988]] .|p.=62-65</ref>}}{{sfn|レジーヌ・ペルヌー|福本秀子|1996|p=21}}。

当時のフランス王室[[カペー朝]]は、未だ王権が強固ではなく、直接の支配は王領のみに限られていたのに対し、アキテーヌ公家は広大な領地に加え、多数の有力貴族を臣従させていた<ref>[[#石井 1988|石井 1988]] .p.66</ref>。アリエノールの後見人となったルイ6世は、彼女の夫に自分の息子[[ルイ7世 (フランス王)|のルイ王太子]]を選び、婚姻によってアキテーヌを手に入れて王権を強固にさせようとする<ref>[[#石井 {{sfn|桐生操|1988|p=14-16}}{{sfn|石井 美樹子|1988]] .|p.=66-67</ref>}}{{sfn|レジーヌ・ペルヌー|福本秀子|1996|p=16-18,21-22}}。

ルイ王太子は、次男として誕生し、聖職者となるべく教育を受けていたが、兄[[フィリップ・ド・フランス (1116-1131)|フィリップ]]が1131年に急死したため、王位継承者となった。1137年[[6月18日]]、ルイ王太子は[[十字軍]]遠征に匹敵する規模の行列で、ボルドーに向かう<ref>。ルイ6世の従弟の[[#石井ヴェルマンドワ伯]][[ラウル1世 1988(ヴェルマンドワ伯)|石井 1988ラウル1世]]、[[ブロワ]]伯兼[[シャンパーニュ伯]][[ティボー4世 .p.69</ref>。(ブロワ伯)|ティボー4世]]、ルイ6世の学友であり、[[パリ]]郊外の[[サン・ドニ]]にある[[サン＝ドニ大聖堂]]の修道院長でもある[[シュジェール]]が従い、ルイ6世は若い王子に王太子としての振舞いについて細かい注意を与え、シュジェールを通してアリエノールとの接し方を教えようとした<ref>[[#石井 {{sfn|桐生操|1988|p=16-18}}{{sfn|石井 美樹子|1988]] .|p.=69-71</ref>,109}}{{sfn|レジーヌ・ペルヌー|福本秀子|1996|p=22-24}}。

[[7月1日]]に王太子一行はアキテーヌ領内に到着する<ref>。[[#石井 1988|石井 1988]] .p.71-72</ref>。7月11日|11日]]、ボルドーに到着したルイ王太子と対面したアリエノールは、その頼りなげな姿に落胆するものの政略によって人生が急変した点においてルイに共感した<ref>[[#石井 1988|石井 1988]] .p.77</ref>。しかし、アキテーヌ公家（[[ポワティエ家]]またはラヌルフ家）に比して[[カペー家]]の歴史は浅く<{{#tag:ref group="注釈">|[[ポワティエ家]]（ラヌルフ家）の祖は{{仮リンク|ラヌルフ1世 (アキテーヌ公)|en|Ranulf I of Aquitaine|label=ラヌルフ1世}}（[[820年]] - [[866年]]）であるのに対し、[[カペー家]]は[[ユーグ・カペー]]（[[987年]] - [[996年]]）を祖とする。詳細はそれぞれの項を参照。</ref>|group=注釈}}、またアキテーヌ公領の方が遥かに豊かで広大であることから、驕った考えを持っち内心でルイを見下していた<ref>[[#石井 {{sfn|桐生操|1988|p=19}}{{sfn|石井 美樹子|1988]] .|p.=71-72,77-78</ref>}}{{sfn|レジーヌ・ペルヌー|福本秀子|1996|p=24-25}}。

[[7月25日|25日]]にボルドーの{{仮リンク|サン＝タンドレ大聖堂|en|Bordeaux Cathedral}}（詳細は[[月の港ボルドー]]を参照）で結婚式が挙行、続く大宴会で1000人も招待され数日間賑やかに催された。[[8月1日]]、アリエノールとルイ王太子がポワティエ入りしたその日、ルイ6世が危篤となったため、王太子夫妻はパリ郊外の[[サン・ドニ]]に急行してルイ6世の葬儀を済ませ戴冠式も挙行する<ref name="mori1994-34">[[#森 1994|森 1994]] .p.34</ref>。こうして[[ルイ7世 (フランス王)|ルイ7世]]夫妻は結婚とほぼ同時に国王ルイ7世・王妃アリエノールとなった<ref name{{sfn|桐生操|1988|p="mori199418-20,22-23}}{{sfn|石井美樹子|1988|p=78-90}}{{sfn|森護|1994|p=33-34}}{{sfn|レジーヌ・ペルヌー|福本秀子|1996|p=15-16,19-20,25-28,30-34"/>}}。

父の死から4ヶ月足らず、アリエノールは15歳でフランス王妃となった。南仏アキテーヌの女領主として育った陽気なアリエノールと、修道院育ちであり生真面目で信仰心の篤いルイ7世は性格が合わなかった<ref name="mori1994-34"/>。後に離婚した際にアリエノールはルイ7世のことを「王と結婚したと思ったら、僧侶だった」と言ったといわれる。しかしルイ7世の温和な性格から、不仲は表面化しなかった<ref name{{sfn|森護|1994|p="mori1994-34"/>}}。2人の間には[[マリー・ド・フランス (1145-1198)|マリー]]、[[アリックス・ド・フランス (1150-1195)|アリックス]]の娘2人が生まれたが男子をもうけることはでき出来なかった。

[[1147年]]の[[第2回十字軍]]に、アリエノールはアキテーヌ諸侯を説得して参加者を増やし、援助と引き換えに[[フォントヴロー修道院]]など教会への寄進や特権の更新も盛んに行い資金を調達、アキテーヌ軍を引き連れ、夫ルイ7世と共に参加した。信仰篤い上、1143年の惨劇に対する贖罪を十字軍に求めていたルイ7世に対し、アリエノールは物見遊山目的であり、王妃の随員や衣類などの荷物だけで部隊が形成された上、さらにその護衛部隊も必要となり、進軍の多大な妨げになっていた<ref>[[#森 1994|森 1994]] .p.34-35</ref>。こうしたことから、フランス軍が[[アナトリア半島|]]（小アジア]]）で[[ルーム・セルジューク朝]]軍に惨敗した原因ともなった<ref name="mori1994-35">。内実はともかく、国王夫妻はベルナルドゥスの支持を背景にシュジェールや重臣たちの反対を押し切って[[#森 19945月12日]]にサン＝ドニを出発した{{sfn|桐生操|1988|p=34-45}}{{sfn|石井美樹子|1988|p=133-136,143-149}}{{sfn|森 護|1994]] .|p.=34-35</ref>}}{{sfn|レジーヌ・ペルヌー|福本秀子|1996|p=55-64}}。

[[エウゲニウス3世 (ローマ教皇)|エウゲニウス3世]]からの離婚証認教書を受け取るや否や、アリエノールは領地に帰還する。独身となった彼女には、各地からの求婚が相次いだが全てを拒否し<ref name="mori1994-36"/>、わずか2ヶ月後の[[5月1918日]]に、[[アンジュー]]伯・[[ノルマンディー公]]アンリと再婚する。ルイ7世とは近親婚を理由に離婚したにも関わらず、アンリはルイよりも近い血縁関係にあった。再婚は自領を守るために男性が必要不可欠だったからだが、アンリにルイ7世には無い資質と性格（数か国語を操る豊かな教養と荒々しい性格）を見出していたからではないかと言われている。アンリの方も領土拡大および対イングランド支援の野心とアリエノールの成熟した魅力に惹かれていたとされる。また再婚直後にフォントヴロー修道院に多額の寄進を行い、この修道院と生涯を通して密接に関わっていった{{sfn|桐生操|1988|p=81-85}}{{sfn|石井美樹子|1988|p=206-210}}{{sfn|森護|1994|p=36-37}}{{sfn|レジーヌ・ペルヌー|福本秀子|1996|p=99-110}}{{sfn|アンリ・ルゴエレル|福本秀子|2000|p=36-37}}。

多情なアリエノールの、再婚とアンリへの軍資金提供に、ルイ7世は激怒する<ref name="mori1994-36"/>。さらに、この結婚によりフランス国土の半分以上がアリエノールとアンリの物となったことは、フランス王国にとって大きな脅威となった（「[[アンジュー帝国]]」）<ref。ルイ7世は急ぎ顧問会議を召集、アンリがルイ7世の封臣にも関わらず王の許可無く結婚したことを理由にフランス宮廷への出頭を命令、無視されると7月にアンリの弟{{仮リンク|ジョフロワ name(ナント伯)|en|Geoffrey, Count of Nantes|label=ジョフロワ}}を加えてノルマンディーへ出兵した。対するアンリは素早い進軍で奪われた諸城を奪回、反乱を起こした弟も降伏させ、ルイ7世が急病に倒れた幸運にも恵まれ、ルイ7世と休戦して8月末までに危機を切り抜けた。フランス軍攻撃でアンリのイングランド渡海は遅れ、アリエノールは夫と共にアキテーヌを巡回して過ごした{{sfn|桐生操|1988|p="mori199485-37">[[#森 199488}}{{sfn|石井美樹子|1988|p=210-212}}{{sfn|森 護|1994]] .|p.=37</ref>}}{{sfn|レジーヌ・ペルヌー|福本秀子|1996|p=115-117}}。

[[1153年]]1月にアンリがイングランドへ渡海すると[[アンジェ]]で留守を預かり、[[8月17日]]に長男{{仮リンク|ギヨーム9世 (ポワティエ伯)|en|William IX, Count of Poitiers|label=ウィリアム}}を出産した。アンリの方は母[[マティルダ (神聖ローマ皇后)|マティルダ]]を通してイングランド王位継承権を主張、対するスティーブンは病気だった上息子[[ウスタシュ4世 (ブローニュ伯)|ユースタス]]に先立たれたため、[[11月6日]]にアンリはスティーブンから後継者に定められた。[[1154年]][[10月25日]]、スティーブン王の崩御により、アンリはイングランド王を継承して[[ヘンリー2世 (イングランド王)|ヘンリー2世]]となり、[[プランタジネット朝]]が成立した。同年[[12月197日]]にアリエノールは夫や幼いウィリアムと共にイングランドへ渡海して翌[[12月8日|8日]]に上陸、[[12月19日|19日]]にアリエノール（英名：エリナーまたはエレノア）は夫と共に戴冠する<ref name="mori1994-37"/>。こうして、フランス国土の半分以上がイングランド領となり、後の[[百年戦争]]の遠因となった。この後1413年間に、アリエノールは息子5人と娘3人を産み、夫と共に領土を統治し[[アンジュー帝国]]の拡大に務める。ただしウィリアムは[[1156年]]に夭折している{{sfn|桐生操|1988|p=88,91-96,98}}{{sfn|石井美樹子|1988|p=212-213,219-223,265}}{{sfn|森護|1994|p=37-38}}{{sfn|レジーヌ・ペルヌー|福本秀子|1996|p=117-124}}{{sfn|アンリ・ルゴエレル|福本秀子|2000|p=37-39}}。

ヘンリー2世が子女を周辺諸国との友好維持のために活用しようとしたのに対し、アリエノールは自らのアキテーヌ領の維持にしか関心が無かった<ref name="mori1994-38">[[#森 1994|森 1994]] .p.38</ref>とされるが、ヘンリーとマルグリットの結婚では共同歩調を合わせていた。成人した王子たちの処遇を巡り、[[若次男ヘンリー王|ヘンリー]]にはプランタジネット家の[[アンジュー]]・[[メーヌ]]・ノルマンディー]]を、三男リチャード（後の[[リチャード1世 (イングランド王)|リチャード1世]]）にはアリエノールの[[アキテーヌ地域圏|アキテーヌ]]を与えた一方、四男ジェフリー（後の[[ジョフロワ2世 (ブルターニュ公)|ジェョフリーロワ2世]]）は[[コンスタンス・ド・ブルターニュ]]との婚姻により[[ブルターニュ]]のみとなり、ヘンリー2世が最も愛した末子[[ジョン (イングランド王)|ジョン]]（後の欠地王）に至っては与える所領が無かった。一方、三女[[マティルダ・オブ・イングランド|マティルダ]]は[[ザクセン公国|ザクセン]][[ザクセン君主一覧|公]]兼[[バイエルン公国|バイエルン]][[バイエルンの君主一覧|公]][[ハインリヒ3世 (ザクセン公)|ハインリヒ獅子公]]に、四女[[エレノア・オブ・イングランド|エレノア]]は[[カスティーリャ王国|カスティーリャ]][[カスティーリャ君主一覧|王]][[アルフォンソ8世 (カスティーリャ王)|アルフォンソ8世]]に、五女[[ジョーン・オブ・イングランド (シチリア王妃)|ジョーン]]はシチリア王[[グリエルモ2世]]にそれぞれ嫁いだ{{sfn|桐生操|1988|p=130-131}}{{sfn|石井美樹子|1988|p=269}}{{sfn|森護|1994|p=38-39}}{{sfn|アンリ・ルゴエレル|福本秀子|2000|p=53-54}}。

2度目の夫[[ヘンリー2世 (イングランド王)|ヘンリー2世]]との間には5男3女の8人の子を儲けた。

# {{仮リンク|ギヨーム9世 (ポワティエ伯)|en|William IX, Count of Poitiers|label=ウィリアム}}（1153年 - 1156年） - ポワチティエ伯

# [[マティルダ・オブ・イングランド|マチティルダ]]（1156年 - 1189年） - [[ザクセン君主一覧公国|ザクセン]][[ザクセン君主一覧|公]]兼[[バイエルン大公国|バイエルン]][[バイエルンの君主一覧|公]][[ハインリヒ3世 (ザクセン公)|ハインリヒ獅子公]]妃

# [[ジョフロワ2世 (ブルターニュ公)|ジェフリー]]（1158年 - 1186年） - [[ブルターニュ公国|ブルターニュ]][[ブルターニュ君主一覧|公]]ジョフロワ2世

# [[エレノア・オブ・イングランド|エレノア]]（1162年 - 1214年） - [[カスティーリャ王国|カスティーリャ]][[カスティーリャ君主一覧|王]][[アルフォンソ8世 (カスティーリャ王)|アルフォンソ8世]]の王妃

# [[ジョーン・オブ・イングランド (シチリア王妃)|ジョーン]]（1165年 - 1199年） - [[シチリア王国|シチリア]][[ナポリとシチリアの君主一覧|王]][[グリエルモ2世]]の王妃、後に[[トゥールーズ伯]][[レーモン6世 (トゥールーズ伯)|レーモン6世]]の妃

# [[ジョン (イングランド王)|ジョン]]（1167（1166年 - 1216年） - イングランド王（欠地王）

* 『[[冬のライオン]]』 - 1183年のクリスマスに、ヘンリー2世夫妻と王子たちが集ったことを創作したアメリカの舞台演劇。[[1968年]]の映画版では[[キャサリン・ヘプバーン]]が、[[2003年]]のテレビ版では[[グレン・クロース]]が、エレノア（アリエノール）を演じた。

* {{Cite book |和書 |author=[[森護石井美樹子]] |title=英王妃エレアノール <small>ふたつの国の王妃物語となった女</small>|publisher=[[河出書房新平凡社]] |series=[[河出文庫]] |date=19941988-0904|isbn=978-43094727444582472158|ref=森石井 19941988}}

* {{Cite book |和書 |author=レジーヌ・ペルヌー、[[福本秀子森護]]訳 |title=英国王妃アリエノール・ダキテーヌ物語|publisher=パピルス[[河出書房新社]] |series=[[河出文庫]] |date=19961994-0309|isbn=978-49381651784309472744|ref=ペルヌー森 19961994}}（原書はフランスで1965年に発刊）

* [[ウィシェリアム・マーシャル (初代ペワインブルック伯)]]

* [[ブリテンのトマニオール]]

* [[ロビン・フッドダクス]]

{{先代次代|[[アキテーヌ公|アキテーヌ女公]]|1137年 - 1204年<br><small>共同統治：[[ルイ7世 (フランス王)|ルイ]]・[[ヘンリー2世 (イングランド王)|アンリ1世]]・[[オットー4世 (神聖ローマ皇帝)|オトン]]・<br>[[リチャード1世 (イングランド王)|リシャール1世]]・[[ジョン (イングランド王)|ジャン1世]]と共同統治</small>|[[ギヨーム10世 (アキテーヌ公)|ギヨーム10世]]|[[ジョン (イングランド王)|ジャン1世]]}}

{{先代次代|[[ポワチティエ伯|ポワティエ女伯]]|1137年 - 1153年<br><small>共同統治：ルイ7世（1137年 - 1152年）、ヘンリー2世（1152年 - 1153年）</small>|[[ギヨーム10世 (アキテーヌ公)|ギヨーム108世]]|{{仮リンク|ギヨーム9世 (ポワティエ伯)|en|William IX, Count of Poitiers|label=ギヨーム9世}}}}