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{{プログラミング・パラダイム}}
'''ジェネリック'''(総称あるいは汎用)'''プログラミング'''({{lang-en-short|generic programming}})は、具体的なデータ型に直接依存しない、抽象的かつ汎用的なコード記述を可能にする[[プログラミング (コンピュータ)|コンピュータプログラミング]]手法である。
'''ジェネリックプログラミング'''({{lang-en-short|Generic programming}})は、具体的なデータ型に直接依存しない、抽象的かつ汎用的なコード記述を可能にする[[プログラミング (コンピュータ)|コンピュータプログラミング]]手法である。
 
== 概要 ==
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1995年の書籍[[デザインパターン (ソフトウェア)|デザインパターン]]{{Full|date=2019年3月}}の共著者{{誰|date=2019年3月}}は(Ada、Eiffel、Java、[[C Sharp|C#]]の)ジェネリクスや、(C++の)[[テンプレート (プログラミング)|テンプレート]]としても知られるパラメータ化された型 (parameterized types) としてジェネリクスについて触れている。これらは、型を指定することなく、型を定義できるようにする(型は使用する時点で引数として与えられる)。このテクニック(特に[[デリゲート (プログラミング)|デリゲーション]]を組み合わせるとき)は非常に強力である。
 
== 歴史 ==
ジェネリックプログラミングは、計算機科学者{{仮リンク|デビッド・マッサー|en|David Musser|label=}}と{{仮リンク|アレクサンダー・ステパノフ|en|Alexander Stepanov|label=}}の1989年著書で確立されている。
定型プログラムの抽象化に焦点を当てているジェネリックプログラミングは、多様なデータ表現を結合させる汎用性の獲得によって従来アルゴリズムの効率性を高めて、ソフトウェアの多様性を促進させる<ref>{{cite book|url=http://stepanovpapers.com/genprog.pdf|title=Generic Programming|author1=Musser, David R.|author2=Stepanov, Alexander A.}}</ref>。
このパラダイムは、[[アルゴリズム]]と[[データ構造]]の機能的な分離によってプログラムの汎用性と再利用性を高めることを提唱しており<ref>{{Cite_web|url=http://msdn.microsoft.com/msdnmag/issues/05/04/PureC/|title=Pure C++:Generic Programming Under .NET|author=Stanley B. Lippman|publisher=[[マイクロソフト]]・[[MSDN]]マガジン|accessdate=2008-12-28|deadlinkdate=2019-03}}</ref>、[[抽象代数学|抽象代数]]理論との類似性も見られる<ref>{{cite book|author1=Alexander Stepanov|author2=Paul McJones|title=Elements of Programming|publisher=Addison-Wesley Professional|date=19 June 2009|isbn=978-0-321-63537-2}}</ref>。このパラダイムのルーツは、計算機科学者[[クリストファー・ストレイチー]]の1967年著書にある{{仮リンク|パラメトリック多相|en|Parametric polymorphism}}であり、こちらは「[[ML (プログラミング言語)|ML]]」などの[[関数型プログラミング|関数型言語]]で1970年代から実践されている。このパラダイムに相当する機能は、1970年代以降の「[[Scheme]]」「[[CLU]]」「[[Ada]]」「[[Eiffel]]」がジェネリクスなどの名称ですでに導入していた<ref>{{cite journal|year=1987|title=A library of generic algorithms in Ada|journal=Proceedings of the 1987 Annual ACM SIGAda International Conference on Ada|pages=216–225|doi=10.1145/317500.317529|isbn=0897912438|author1=Musser, David R.|author2=Stepanov, Alexander A.|citeseerx=10.1.1.588.7431|s2cid=795406}}</ref>。マッサーとステパノフによる形式化は言わば後付け理論であったが、[[オブジェクト指向プログラミング]]への応用を促進させた<ref>{{cite book|url=http://www.cse.chalmers.se/~patrikj/poly/afp98/genprogintro.pdf|title=Generic Programming – an Introduction|author1=Roland Backhouse|author2=Patrik Jansson|author3=Johan Jeuring|author4=Lambert Meertens|year=1999}}</ref>。[[ポリモーフィズム]]理論でのジェネリックプログラミングは、パラメトリック多相とはやや異なるポリタイピック (多相型) の方で説明され、[[圏論]]との親和性も認識された。
 
ジェネリックプログラミングは「[[C++]]」では、やや性質を変えた[[テンプレートメタプログラミング|テンプレート・メタプログラミング]]になり、[[標準テンプレートライブラリ]] (STL) として実装された<ref>Alexander Stepanov and Meng Lee: The Standard Template Library. HP Laboratories Technical Report 95-11(R.1), 14 November 1995</ref>。[[イテレータ|イテレーション]]の方法論もここで確立されている<ref>Matthew H. Austern: Generic programming and the STL: using and extending the C++ Standard Template Library. Addison-Wesley Longman Publishing Co., Inc. Boston, MA, USA 1998</ref>。ステパノフはこのように述べている。
ジェネリックプログラミングは、アルゴリズムとデータ構造の抽象化と分類体系化を推し進める。このインスパイアは[[ドナルド・クヌース|クヌース]]([[文芸的プログラミング]])からであり、[[型理論]]ではない<ref>{{cite book|url=http://stepanovpapers.com/history%20of%20STL.pdf|title=Short History of STL|author=Stepanov, Alexander}}</ref>。その目標は、抽象化されたアルコリズムとデータ構造の体系的なカタログ化による進歩的なソフトウェア構築である<ref name="stroustrup20072">{{cite book|url=http://www.stroustrup.com/hopl-almost-final.pdf|title=Evolving a language in and for the real world: C++ 1991-2006|author=Stroustrup, Bjarne|doi=10.1145/1238844.1238848|s2cid=7518369}}</ref>。
また、[[イテレータ]]についてはこのように強調している。
イテレータの理論は、数学での[[環論]]や[[バナッハ空間]]のような、計算機科学の中枢になると信じる<ref>{{Cite web|title=STLport: An Interview with A. Stepanov|url=http://www.stlport.org/resources/StepanovUSA.html|website=www.stlport.org|accessdate=2021-09-26}}</ref>。
ジェネリックプログラミングは様々に応用されており、それと{{仮リンク|アドホック多相|en|Ad hoc polymorphism}}を融合した[[型クラス]]が「[[Haskell]]」に登場して<ref>{{cite web|url=https://www.microsoft.com/en-us/research/wp-content/uploads/2003/01/hmap.pdf|title=Scrap Your Boilerplate: A Practical Design Pattern for Generic Programming|publisher=Microsoft|access-date=16 October 2016|author1=Lämmel, Ralf|author2=Peyton Jones, Simon}}</ref>[[モナド (プログラミング)|モナド]]の実践手段にもされた。「[[Scala]]」は、{{仮リンク|サブタイプ多相|en|Subtyping polymorphism}}でアレンジした[[共変性と反変性 (計算機科学)|共変性と反変性]]を導入している。「[[D言語]]」は、{{仮リンク|多段階メタプログラミング|en|Multi-stage programming}}を[[C++]]のテンプレートに融合した強力な[[テンプレートメタプログラミング|テンプレート]]機能を導入している。
 
== 特徴 ==
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*Adaでは特化を許容しないため[[テンプレートメタプログラミング]]はできない。
:ただし仮パラメータに精密な制約を課することができるため、例えば、スワップ副プログラムを仮パラメータとして、[[ソート]]を目的とした汎用体の挙動をスワップ対象に応じて変化させたり、離散型の規定演算である大小判定を用いてMaxを実装するなど、特化の利点とされる目的の一部は他の方法により、達成することができる。
 
== Eiffelのジェネリシティ ==
1986年公開のEiffelは、初回版からジェネリシティを採用しており、クラスに総称化を取り入れた最初のオブジェクト指向言語である。ジェネリッククラスの定義は以下のようになる。
class
LIST [G]
...
feature -- Access
item: G
-- The item currently pointed to by cursor
...
feature -- Element change
put (new_item: G)
-- Add `new_item' at the end of the list
...
ジェネリッククラスのインスタンス化は以下のようになる。
list_of_accounts: LIST [ACCOUNT]
-- Account list
list_of_deposits: LIST [DEPOSIT]
-- Deposit list
ジェネリッククラスの型パラメータは制約(constraint)で修飾できる。
class
SORTED_LIST [G -> COMPARABLE]
 
==C++のテンプレート==
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some_c_function(&wrapper!(foo));
</syntaxhighlight>
 
== Scalaのジェネリクス ==
2003年公開のScalaは、ジェネリックプログラミングとサブタイピングを融合した最初の言語であり、[[ミックスイン]]も融合している。それをサポートする[[共変性と反変性 (計算機科学)|共変性と反変性]]、上限型境界と下限型境界、関連型の機能を初めて導入している。ただし上限型境界は型制約(constraint)と同じものなのでこれは初導入ではない。
 
以下のコード例は、いわゆる連結リストの作成であり、リスト要素を共変性にして、appendメソッドの引数に反変性と下限型境界<code>>:</code>を用いている。<syntaxhighlight lang="scala">
trait Node[+B] {
def append[D >: B](elem: D): Node[D]
}
 
case class ListNode[+B](h: B, t: Node[B]) extends Node[B] {
def append[D >: B](elem: D): ListNode[D] = ListNode(elem, this)
def first: B = h
def second: Node[B] = t
}
 
case class Null[+B]() extends Node[B] {
def append[D >: B](elem: D): ListNode[D] = ListNode(elem, this)
}
</syntaxhighlight>
 
272 ⟶ 326行目:
Javaのジェネリクスの実装上の制約により、配列のコンポーネントの型が何であるべきかを特定する方法がないために、ジェネリック型の配列を作成することは不可能である。従って<code><nowiki>new T[size];</nowiki></code>経由のようにメソッドが型引数<code>T</code>を持っていた場合はプログラマはその型の新しい配列を生成することができない。しかし、この制約はJavaの[[リフレクション (情報工学)|リフレクション]]のメカニズムを利用して回避することが可能である。クラス<code>T</code>のインスタンスが利用可能な場合、<code>T</code>に対応する{{Javadoc:SE|java/lang|Class}}オブジェクトのオブジェクトから1つを得て、新しい配列を生成するために{{Javadoc:SE|name=java.lang.reflect.Array.newInstance(Class, int)|java/lang/reflect|Array|newInstance-java.lang.Class-int-}}を使うことができる。もう1つのJavaのジェネリクスの実装上の制約は、<code>&lt;?&gt;</code>以外に、型パラメーターの型でジェネリッククラスの配列を生成することが不可能であるということだ。これは言語の配列の取り扱い方法に起因するものであり、タイプセーフを維持するために、明示的にキャストしなくともコンパイラが警告を出さないことを全てのコードで保証する必要があるからである。
 
==HaskellC#のジェネリプログラミング==
C#(およびその他の.NET言語)のジェネリクスは.NET Framework 2.0の一部として2005年11月に追加された。Javaと似てはいるが、.NETのジェネリクスは、コンパイラによるジェネリクス型から非ジェネリクス型へのコンバートとしてではなく、実行時に実装される。このことにより、ジェネリクス型に関するあらゆる情報はメタデータとして保存される。
[[Haskell]]言語にはパラメータ化された型 (parameterized types)、パラメータ多相 (parametric polymorphism)、そしてJavaのジェネリクスやC++のテンプレートの両方に似たプログラミングのスタイルをサポートする型クラス (type classes) がある。Haskellプログラムではこれらの構文を様々なところで利用しており、避けることはかなり難しい。Haskellはまた、さらなるジェネリック性と、多態が提供する以上の再利用性を目指すようにプログラマーと言語開発者を奮起させる、さらに独特なジェネリックプログラミングの機能がある。
 
.NETジェネリクスの機能
*型情報を削除せず、[[共通言語ランタイム|CLR]]の内部でジェネリクスが構築されるため(そしてコンパイラ上では全く構築しないため)、キャストや動的チェックの実行からくるパフォーマンスヒットがない。また、プログラマーはリフレクションを通じてジェネリック情報にアクセスできる。
**型情報を削除しないので、Javaでは不可能なジェネリック型の配列の生成が可能。
*ジェネリック型の引数として参照型だけでなく値型(組み込みの基本型、およびユーザー定義型の両方)も利用できる。値型の場合、JITコンパイラは特殊化のためにネイティブコードの新しいインスタンスを作成する。このことにより[[ボックス化]]をする必要がなくなり、パフォーマンスが向上する。
*Javaと同様、ジェネリック型引数がそれら自身のジェネリック型であるようにできる。つまり、<code><nowiki>List<List<Dictionary<int, int>>></nowiki></code>のような型は有効である。
*C#(および一般の.NET)は、キーワード<code>where</code>を使用することで、値型/参照型、デフォルトコンストラクタの存在、親クラス、実装するインターフェイスなどでジェネリック型を制約することができる。
*[[共変性と反変性 (計算機科学)|共変性と反変性]]をサポートしている。C# 4.0以降ではout修飾子またはin修飾子により、型パラメータを共変または反変にすることができる。これによって、ジェネリック型の代入と使用の柔軟性が向上する。
 
<syntaxhighlight lang="csharp">
using System;
using System.Collections.Generic;
 
static int FirstIndexOfMax<T>(List<T> list) where T: IComparable<T>
{
if (list.Count == 0) {
return -1;
}
int index = -1;
for (int i = 0; i < list.Count; ++i) {
if ((index == -1 && list[i] != null) ||
(index >= 0 && list[index] != null && list[i] != null && list[index].CompareTo(list[i]) < 0)) {
index = i;
}
}
return index;
}
</syntaxhighlight>
 
この例では<code>FirstIndexOfMax</code>メソッドの型パラメータ<code>T</code>に対して、<code><nowiki>IComparable<T></nowiki></code>インターフェイスを実装していなければならないという制約を指定している。このことにより、<code><nowiki>IComparable<T></nowiki></code>インターフェイスのメンバである<code>CompareTo</code>メソッドが利用可能になっている。
 
[[C++/CLI]]は.NETのジェネリクスとC++のテンプレート両方をサポートする。ただしこれらの間に互換性はない。
 
==Haskellの型クラス==
[[Haskell]]には、{{仮リンク|パラメトリック多相|en|Parametric polymorphism}}と[[テンプレートメタプログラミング]]の特徴を合わせたような[[型クラス]] (type class) がある。ただしHaskellの型クラスの本質は、データ型に付与する{{仮リンク|制約(mathematics)|en|Constraint (mathematics)|label=制約}}としての{{仮リンク|アドホック多相|en|Ad hoc polymorphism}}である。
 
型クラスの定義はこう書式される。<code>Eq</code>が型クラス、<code>a</code>が総称化された型変数である。演算子<code>==</code>と<code>/=</code>も総称化されたままである。
 
<pre>
class Eq a where
(==), (/=) :: a -> a -> Bool
</pre>型クラスのインスタンス化はこう書式される。<code>Point</code>は2つの<code>Double</code>型(<code>x</code>, <code>y</code>)を持つ型である。<code>Eq</code>で<code>Point</code>が制約され、演算子<code>==</code>と<code>/=</code>が<code>Point</code>で詳細化される。インスタンス化とは即ち、型の制約および関数/演算子の詳細化である。
 
<pre>
instance Eq Point where
(Pt x y) == (Pt x' y') = x == x' && y == y'
</pre>型構築子(データ型)の定義と型クラスのインスタンス化のセット書式もある。<code>deriving</code>によって<code>Eq</code>が<code>Point</code>に付与され、<code>==</code>と<code>/=</code>も詳細化される。なお、<code>deriving</code>による関数/演算子の詳細化は他に説明を要するがここでは割愛する。
 
<pre>
data Point = Pt Double Double deriving Eq
</pre>関数の定義の中で型クラスによる制約を付与する書式もある。<code>=></code>がそうである。この関数<code>sum</code>は型クラス<code>Num</code>で制約されたデータ型の配列のみを引数にする。
 
<pre>
sum :: Num a => [a] -> a
</pre>ここまでの説明でHaskellの型クラスは、関数/演算子オーバーロードのための手段であることが推論されるようになる。このオーバーロードは非常に融通が利くので、[[モナド (プログラミング)|モナド]]の実践などで活躍する。
 
'''Haskellの型クラスの特徴'''
 
Haskellの6つの事前定義された型クラス(同一性を比較できる<code>Eq</code>という型と、値を文字列に変換できる<code>Show</code>という型を含む)は''導出インスタンス'' (derived instances) をサポートしている特別なプロパティを持つ。プログラマーが新しい型を定義するということは、クラスのインスタンスを宣言するときに、普通であれば必要なクラスメソッドの実装を提供することなく、この型がこれらの特別型クラスのインスタンスとなることを明示できるということである。全ての必要なメソッドは型の構造に基づいて導出(つまり自動的に生成)される。
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<code>Eq</code>と<code>Show</code>の導出インスタンスへのサポートは、それらのメソッドである<code>==</code>と<code>show</code>を、パラメーター的な多態関数とは質的に異なるジェネリックにする。これらの"関数"(より正確には型でインデックス付けられた (type-indexed) 関数のファミリー)はたくさんの異なる型の値を受け入れることができ、各引数の型によってそれらは異なる動作をするが、新しい型へのサポートを追加するためにわずかな作業が必要とされる。Ralf Hinze氏 (2004) は、あるプログラミングテクニックによりユーザー定義型のクラスに対して同様の結果を達成できることを示した。彼以外の多くの研究者はこれと、Haskellの流れとは違う種類のジェネリック性やHaskellの拡張(下記参照)に対する取り組みを提案していた。
 
'''「決まり文句を捨てる」アプローチ'''
=== PolyP ===
 
決まり文句を捨てるアプローチ (Scrap your boilerplate approach) は簡易的なジェネリックプログラミングのHaskellに対するアプローチである (Lämmel and Peyton Jones, 2003)。このアプローチはHaskellのGHC>=6.0の実装でサポートされる。このアプローチを使うことで、ジェネリックな読み込み、ジェネリックな明示、ジェネリックな比較(つまりgread、gshow、geq)と同様に、横断スキーム(例えばいつでもどこでも)のようなジェネリック関数をプログラマーは記述できる。このアプローチはタイプセーフなキャストとコンストラクタアプリケーションの実行のための一部の基本要素に基づいている。
 
=== PolyPの多相型 ===
PolyPはHaskellに対する最初のジェネリックプログラミング言語拡張であった。PolyPではジェネリック関数は''polytypic''と呼ばれた。通常データ型のパターン[[ファンクタ]]の構造によって構造的な導出を通じて定義できるpolytypic関数のような特別な構文を言語に導入した。PolyPでの通常データ型はHaskellのデータ型のサブセットである。通常データ型tは''* → *''の種類でなければならず、もし''a''が定義における表面的な型の引数である場合は、''t''に対する全ての再帰呼び出しは''t a''形式でなければならない。これらの制約は、異なる形式の再帰呼び出しである入れ子のデータタイプと同様に、上位に種類付けされたデータ型を規定する。
 
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</pre>
 
==その他の言語==
===「決まり文句を捨てる」アプローチ===
 
決まり文句を捨てるアプローチ (Scrap your boilerplate approach) は簡易的なジェネリックプログラミングのHaskellに対するアプローチである (Lämmel and Peyton Jones, 2003)。このアプローチはHaskellのGHC>=6.0の実装でサポートされる。このアプローチを使うことで、ジェネリックな読み込み、ジェネリックな明示、ジェネリックな比較(つまりgread、gshow、geq)と同様に、横断スキーム(例えばいつでもどこでも)のようなジェネリック関数をプログラマーは記述できる。このアプローチはタイプセーフなキャストとコンストラクタアプリケーションの実行のための一部の基本要素に基づいている。
 
==C#と.NETのジェネリックプログラミング==
C#(およびその他の.NET言語)のジェネリクスは.NET Framework 2.0の一部として2005年11月に追加された。Javaと似てはいるが、.NETのジェネリクスは、コンパイラによるジェネリクス型から非ジェネリクス型へのコンバートとしてではなく、実行時に実装される。このことにより、ジェネリクス型に関するあらゆる情報はメタデータとして保存される。
 
.NETジェネリクスの機能
*型情報を削除せず、[[共通言語ランタイム|CLR]]の内部でジェネリクスが構築されるため(そしてコンパイラ上では全く構築しないため)、キャストや動的チェックの実行からくるパフォーマンスヒットがない。また、プログラマーはリフレクションを通じてジェネリック情報にアクセスできる。
**型情報を削除しないので、Javaでは不可能なジェネリック型の配列の生成が可能。
*ジェネリック型の引数として参照型だけでなく値型(組み込みの基本型、およびユーザー定義型の両方)も利用できる。値型の場合、JITコンパイラは特殊化のためにネイティブコードの新しいインスタンスを作成する。このことにより[[ボックス化]]をする必要がなくなり、パフォーマンスが向上する。
*Javaと同様、ジェネリック型引数がそれら自身のジェネリック型であるようにできる。つまり、<code><nowiki>List<List<Dictionary<int, int>>></nowiki></code>のような型は有効である。
*C#(および一般の.NET)は、キーワード<code>where</code>を使用することで、値型/参照型、デフォルトコンストラクタの存在、親クラス、実装するインターフェイスなどでジェネリック型を制約することができる。
*[[共変性と反変性 (計算機科学)|共変性と反変性]]をサポートしている。C# 4.0以降ではout修飾子またはin修飾子により、型パラメータを共変または反変にすることができる。これによって、ジェネリック型の代入と使用の柔軟性が向上する。
 
<syntaxhighlight lang="csharp">
using System;
using System.Collections.Generic;
 
static int FirstIndexOfMax<T>(List<T> list) where T: IComparable<T>
{
if (list.Count == 0) {
return -1;
}
int index = -1;
for (int i = 0; i < list.Count; ++i) {
if ((index == -1 && list[i] != null) ||
(index >= 0 && list[index] != null && list[i] != null && list[index].CompareTo(list[i]) < 0)) {
index = i;
}
}
return index;
}
</syntaxhighlight>
 
この例では<code>FirstIndexOfMax</code>メソッドの型パラメータ<code>T</code>に対して、<code><nowiki>IComparable<T></nowiki></code>インターフェイスを実装していなければならないという制約を指定している。このことにより、<code><nowiki>IComparable<T></nowiki></code>インターフェイスのメンバである<code>CompareTo</code>メソッドが利用可能になっている。
 
[[C++/CLI]]は.NETのジェネリクスとC++のテンプレート両方をサポートする。ただしこれらの間に互換性はない。
 
==その他の言語のジェネリックプログラミング機能==
数多くの関数型言語はパラメータ化された型 (parameterized types) とパラメータ多相 (parametric polymorphism) の形で小規模なジェネリックプログラミングをサポートする。さらに標準MLとOCamlはクラステンプレートとAdaのジェネリックパッケージに似たファンクタを提供する。
 
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== 関連項目 ==
* [[総称型イテレータ]]
* [[ポリモーフィズム]]
* [[ダック・テンプレートメイピプログラミング]]
*[[部分評価]]
 
{{Normdaten}}{{プログラミング言語の関連項目}}
{{DEFAULTSORT:しえねりつくふろくらみんく}}
[[Category:ソフトウェア工学]]