猫足(ねこあし :Cabriole legs)とは、テーブルや椅子などの家具の脚の下部を、特有の形状に湾曲させたデザインのこと。猫脚カブリオールともいう[1]四足動物哺乳類の脚、特に有蹄動物の脚をまねたデザインを元としている。Cabrioleは、フランス語の「山羊のような跳躍」を意味する cabrioler を語源とする[2]

猫足の椅子

このデザインは、古代ギリシャ古代中国で見られたが、フランスイギリスオランダなどのヨーロッパでは18世紀初期に取り入れられた[3]。主にロココ様式、イギリスのクイーン・アン様式、フランスの15世様式の椅子などに顕著な例が見られる[4]。ヨーロッパではバロックルネサンス時代に、アカンサスをモチーフとした唐草文様の装飾が流行した。

また、生命力をイメージさせる天に向かって伸びる螺旋のデザインが、ルイ13世時代の家具デザインに好んで用いられた。ルイ14世の時代にはアカンサスを縦に引き延ばした波形が流行し、その造形が猫足のルーツとなった[5]ルイ15世の時代になると猫足はより優美に洗練され、椅子以外にもクローゼットやテーブルなどの脚部に盛んに取り入れられた。

19世紀後半には猫足のバスタブ(Clawfoot bathtub)がアメリカを中心に普及した。

脚注 編集

  1. ^ 渡辺優『図解インテリア・ワードブック』建築資料研究社、1996。 
  2. ^ Ernest Joyce and Alan Peters. Encyclopedia of Furniture Making. Sterling Publishing Company, Inc., 1987, pp. 208–221.
  3. ^ Encyclopædia Britannica – Cabriole Leg
  4. ^ 渡辺優『図解インテリア・ワードブック』建築資料研究社、1996。 
  5. ^ 矢田部 2004, pp. 100–108.

参考文献 編集

  • 矢田部英正『椅子と日本人のからだ』晶文社、2004年。ISBN 4794965966 

関連項目 編集