理論的な調(りろんてきなちょう、: Theoretical key)は、調号にダブルフラットあるいはダブルシャープが一つ以上入る調をいう。変ヘ長調変ニ短調嬰ト長調嬰ホ短調が代表的な例である。

概要 編集

ダブルフラットとダブルシャープは調号に入れると一般的に読みにくくなり、特に12平均率では使用する必要がほとんどなく、一般に、異名同音調で表記が簡単な調を使用する。(例「嬰ト長調 」→ 「変イ長調」)

他の音律では12平均率と異名同音の関係が異なることがあり、調号にダブルフラットあるいはダブルシャープが一つ以上必要となる場合がある。

 
 
調号にダブルシャープがある嬰ト長調 異名同音調である変イ長調
嬰ト長調 G A B C D E F 
変イ長調 A B C D E F G

表記法 編集

 
臨時記号によって表記された嬰ト長調の例。ヨハン・ゼバスティアン・バッハ平均律クラヴィーア曲集から前奏曲とフーガ嬰ハ長調BWV 848の一部

この調が異名同音調でまたは曲中で一時的にに使われる際には一般的に臨時記号で表現されるが、非常にまれに調号の形で現れることもある。ヴィクトル・エワルドの管楽五重奏第4番 作品8 の3楽章(変ヘ長調)、ジョン・フォウルズの《世界の鎮魂歌 World Requiem 》(嬰ト長調)が後者の例である。

 

脚注 編集