疫病の乙女(えきびょうのおとめ、Plague Maiden、モロヴァ・ジェヴィツァ、ポーランド語: Morowa dziewica a.k.a. ペストの乙女)は、ポーランド・リトアニア共和国の民話に登場する存在。彼女は、疫病が町を襲う前に現れると言われている[1]

疫病の乙女
Folk tale
名称 疫病の乙女
別名 ペストの乙女
モロヴァ・ジェヴィツァ(ポーランド語: Morowa dziewica
ポーランド・リトアニア共和国
地域 東ヨーロッパ

概要 編集

疫病の乙女は、被害者のドア越しに赤いハンカチを振っているとよく描写される。赤色は、元々その色に染まっているか、血が染み込んでいるからである[1][2]。いくつかの民話では、彼女は白い服を着て、赤い花冠を付けている[2]

あるバラッドでは、イエス聖母マリアの名前が刻まれた剣を使って疫病の乙女を殺し、彼女のハンカチを取り上げた男の物語が語られた[1][3]。バラッドの終わりに、男とその家族は死亡するが、彼らの町は再び疫病に見舞われることはなかった[1]。赤いハンカチは町の教会に保管されたと語られるが、その場所は明らかにされていない[4]

この伝説は、アダム・ミツキェヴィチが詩『コンラッド・ヴァレンロット英語版』の中で言及した[1]

背景 編集

スラヴ語ではペスト(ポーランド語: dżuma、ロシア語: чума)やコレラ(ポーランド語: cholera、ロシア語: холера)は女性名詞であり、民話では伝染病が女性として擬人化されることがしばしばあった[5]

出典 編集

  1. ^ a b c d e Mickiewicz 1975, pp. 189–190
  2. ^ a b Grimm 1999, pp. 1185–1186
  3. ^ Ziegler 2009, p. 85
  4. ^ Siemieński 1845
  5. ^ 越野剛「特集 ロシア帝国のポーランド人と1830-31年のコレラ」『スラヴ学論集』第24巻、日本スラヴ学研究会、2021年、131頁、ISSN 21880573 

参考文献 編集