稲葉善治
稲葉 善治（いなば よしはる、1948年7月23日 - ）は日本の実業家、工学博士。ファナック代表取締役会長兼CEO、日本ロボット工業会会長。藍綬褒章受章、旭日重光章受章。
人物・経歴 編集
茨城県真壁郡上野村（のちの明野町）でファナック創業者稲葉清右衛門の長男として生まれる[1][2]。当時父が務めていた富士通本社工場があった川崎市で育ち、幼少期には同じ社員寮に住んでいた同級生の父だった池田敏雄によく遊んでもらったという[3]。
川崎市立大戸小学校を経て[4]、4年生から「名門」の世田谷区立奥沢小学校に越境通学し、世田谷区立桜丘中学校[5]、都立新宿高等学校を経て、1973年に東京工業大学工学部機械工学科を卒業し[6]、父と同じ会社で働くのが嫌で、無断でいすゞ自動車に入社した[7]。
1983年ファナックに入社。1989年取締役、1992年常務、1995年専務、2001年代表取締役副社長、2003年代表取締役社長。2004年富士通監査役。2016年ファナック代表取締役会長兼CEO[8][9]、日本ロボット工業会会長[10][11]。2020年トプコン取締役[12]。日本工作機械工業会副会長を経て[13]、2021年日本工作機械工業会会長[14]。
射出成形機電動化の開発を手掛け、1999年東京大学工学博士、同年精密工学会賞受賞。このほかNC工作機械、産業用ロボット、知能ロボット等の開発に取り組み、2007年には国際生産加工会議（CIRP）ニコラウ賞を受賞。2009年藍綬褒章受章、2018年旭日重光章受章[15]。電気加工学会副会長[16]、経済産業省ロボット産業政策研究会委員[17]、日本産業機械工業会運営幹事なども歴任[18]。
親族 編集
稲葉家は小田氏の末裔で、江戸時代から庄屋だった名家だが、祖父の代で投資で財産を失ったという。父でファナック創業者の稲葉清右衛門は16代当主[2]。ファナック取締役専務の稲葉清典は長男[1]。産婦人科医の稲葉憲之元獨協医科大学学長は叔父[2][19]。母・望の旧姓は横瀬で、母方の祖父は南満州鉄道子会社の満州綿花の経営者で、戦後下妻市長を務めた横瀬花兄七。明野町の稲葉家の同郷だった遠縁の尾見半左右の紹介で、尾見家の親戚だった母も富士通に入社し父と知り合った[20]。
脚注 編集
- ^ a b 「ファナック、35歳取締役を起用 名誉会長の孫 」日本経済新聞2013/6/7付
- ^ a b c ファナック会長 稲葉善治（2）故郷明野 祖父の投機で身代傾く 父は一高不合格で発奮 猛勉強日本経済新聞2022年1月3日 2:00
- ^ ファナック会長 稲葉善治（5）池田敏雄さん 社宅に風変わりな「天才」 国産コンピューター先駆者と遊ぶ日本経済新聞2022年1月6日 2:00
- ^ ファナック会長 稲葉善治（6）一人っ子 家に置き去り 読書好きに 父はコントロール開発任される日本経済新聞
- ^ ファナック会長 稲葉善治（9）桜丘中学 「越境3人組」時代先取り アニメ制作や多重録音に挑戦日本経済新聞2022年1月10日 2:00
- ^ 稲葉善治社外取締役インタビュー TOPCON
- ^ ファナック会長 稲葉善治（1）創業2代 ワンマンの父と距離感 FA・ロボット 「技術屋一筋」の夢日本経済新聞2022年1月1日 2:00
- ^ 「ファナック社長に47歳山口氏 稲葉氏は会長兼ＣＥＯ 」日本経済新聞2016/4/27 16:30
- ^ 「経営者：編集長インタビュー 稲葉善治 ファナック社長 2015年6月16日特大号」週刊エコノミスト16日 6月 2015
- ^ 「役員」日本ロボット工業会
- ^ 「日本ロボット工業会、新会長に稲葉善治氏」産報出版
- ^ 第128期有価証券報告書 トプコン
- ^ 「組織概要」日本工作機械工業会
- ^ 「日工会会長に稲葉善治氏 ファナック会長」日刊工業新聞2021/5/28 14:30
- ^ “秋の叙勲4079人 桐花大綬章に今井敬氏 五木ひろしさんらも”. 日本経済新聞 (2018年11月3日). 2023年1月23日閲覧。
- ^ 「精密工学会賞 第 7 回（2011 年度） 」精密工学会
- ^ [1]経済産業省
- ^ 役員及び運営幹事
- ^ ファナック会長 稲葉善治（10）大学受験 父「東大以外は認めない」 介入への対処、憲之叔父に学ぶ日本経済新聞2022年1月11日 2:00
- ^ ファナック会長 稲葉善治（3）尾見半左右さん 「富士通の奇人」の道開く 両親の就職や縁談の恩人日本経済新聞
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